つくりのこだわり

紙

書く音が聞こえる
1960年代から自社で開発を行う
オリジナルの筆記用紙

毎日めくり、何かを記したくなる。
多くの方にずっとそう思ってもらえる、いつまでも変わらない紙をつくるためには、守り続けなければならないことがあります。それは「MD用紙」を作るための機械、工程、そして人の目、手、想い。

ここでは、書き心地を極めるためのさまざまな過程の一端をご紹介します。

多種多様なパルプから
欲しい質感の紙が生まれる。

東京ドームの3倍ほどの敷地面積をもつ工場の一角には、紙の原料となるパルプシートが保管されている大きな倉庫があります。パルプそのものの原料は木材。その木材の種類によって、出来上がる紙の質感や硬さが異なってきます。

「MD用紙」に使用されるのは広葉樹でつくられたパルプ。強度が高い硬い紙になる針葉樹に比べ、広葉樹は柔らかな風合いに仕上げることができます。

まずは、パルプを水に分散させます。

見極めが重要となる着色と叩解、
水のコンディション。

紙の製造で大切になってくるのが水の存在。ここでは川から汲み上げ、ろ過を経た純度の高いものを使用しているのですが、自然の水のため季節によって粘性が変わってきます。その時々の水質に合わせ叩解の方法を調整していかないと仕上がりが変わってしまうのです。

また、分散後のパルプがやや黄色味がかっていることにお気づきでしょうか。

実は先の工程と同時に着色が行われているのです。微妙な違いが許されない繊細な作業によって、「MD用紙」の独特なスキンカラーは生まれます。結束している繊維を叩いてほぐした状態はまるでおかゆのようです。

次に紙漉きに入ります。

和紙をつくる工程で、紙料が入った水の中を簀桁(すげた)ですくい上げ、左右に振り全体になじませていくシーンを見たことがある方も多いと思います。

それと同じように、紙の元となるパルプがまんべんなく広げられ、高速で回転するワイヤーの上を流れていきます。

人の目、手、記憶が頼りになる
すべての工程を経て完成。

ある程度水分が抜けた紙の原料を加熱、乾燥します。あとは、キャレンダーで表面を平らにし巻き取り、カットすればひとまずは完成です。

製品化された紙を何度も見て触って比べ、皆さんに届けられるクオリティなのかどうかを検査員がチェックをします。

どれかひとつの工程でも妥協すれば、全く別のものになってしまう。完成してもまだ、緊張状態は続きます。

徹底的なテストに合格したものだけを
皆さんの元に。

「MD用紙」ができあがったら、最後に工場内でテストを行います。テストの間も機械は高速で回り続けているので、もしも合格しなかったら……。そんな工場の人たちの心の内が、静まり返り緊迫したこの空間のムードからひしひしと伝わってきます。

テストは厚さ、重さ、紙の色などのスペック検査にはじまり、最も時間をかけて行われるのが筆記性の確認。さまざまなタイプのペンを用意し、「MD用紙」に文字や線を繰り返し書き、徹底的にチェックを行っていきます。

インクのにじみ具合、乾きやすさ、裏抜け、さらに紙のすべりやひっかかり具合といった書き味、肌触り、風合いなどの質感まで。
あらゆる項目すべてが合格となった「MD用紙」が、MD PAPER PRODUCTS®︎として皆さんのお手元に届けられるのです。

「MD用紙」の歴史

1960年代の開発当初から「MD用紙」はホワイトだけを展開していました。この紙を用いた「ミドリ」の『ダイアリー』『日記』『ダイヤメモ』はいまだに人気のロングセラー製品です。

「MD用紙クリーム」が誕生したのは2006年。目に優しく、あたたかみのある紙色は、万年筆とも相性ぴったり。ほんの少しのひっかかり具合と書き味の滑らかさが絶妙のバランス。書き味を愉しみながら気持ちよく書ける紙です。

「MD用紙コットン」は、2013年に新開発しました。コットンパルプを20%配合したふんわりとやさしい紙です。もともとコットンペーパーは耐久性と保存性に優れていて、欧米では古くから重要書類や公文用紙に使用されてきた高級用紙として知られています。木材パルプよりも繊維が細く、長いので、手触りやなめらかさ、空気を含んだようなやわらかな質感が感じられます。

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