2017年2月20日

僕らが欲しかった万年筆

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僕にとっての万年筆との出会いは、中学生の
入学祝いで両親からもらったのが最初だった。
当時はまだそんな習慣がぎりぎり残っていて、
万年筆も腕時計や革靴みたいに大人になるための
通過儀礼のような道具のひとつで、
入学や卒業祝いにあげるモノの定番だった。

手に入れると、早速カートリッジインクを
差し込んだり、紙にインクを垂らしたりして、
ちょっと大人になった気分でワクワクしながら
その新しい道具を使ってみた。
だけど、中学生にとって万年筆が必要なシーンは
ほとんどなく、いつからか引き出しの奥に
しまわれて、その存在を忘れるとともにどこかに
なくなってしまった。

その後、万年筆をまた使ってみようと思ったのは
ちょうど10年前のトラベラーズノート発売時。
そのアナログな質感に万年筆が似合うと思って
土橋さんがすすめてくれたラミーのアルスターを
手に入れた。
それからは、お気に入りのデザインを見つけると
何本か購入し使っていたんだけど、どれも安価な
ものばかりでずっと使い続けるまでには至らず、
それほど熱心な万年筆ユーザーにはなれなかった。
ただ、手紙やお礼状などを書く際には、やっぱり
ちゃんとした万年筆で書きたいなと思い、数年前、
思い切ってペリカンのスーベレーンを購入。
書き味はもちろん、手にした時の存在感も
素晴らしくて、手紙などを書く時のためにいつも
ペンケースに忍ばせている。
だけどトラベラーズノートのペンホルダーに付けて
ふと思い付いたことを書き留めるには、ちょっと
大げさ過ぎるような気がした。

3月、トラベラーズノートの仲間、
ブラスプロダクトに万年筆が登場する。
トラベラーズノートにしっくりくる万年筆が
ずっと欲しかった僕らにとって、2010年に
ブラスプロダクトをリリースして以来、万年筆を
そのラインアップに加えることは念願だった。

トラベラーズノートのペンホルダーにざっくりと
差し込んだり、ポケットにそのまま放り込んだり
して、いつでもどこでも気軽に持ち歩き使える。
ちょっとした傷はあまり気にならず、むしろ
それが味と思えるような、タフでガシガシと使える、
使い勝手の良い職人の道具のような佇まい。
高級品ではなく、かといって壊れやすい安物でもない、
シンプルだけど丁寧に作られた上質な日用品のような
使い心地。
毎日使うことで愛着がより深まり、人生の旅の相棒
として永く使い続けたくなる。
目指したのは、そんな万年筆だ。

だけど、それは簡単なことではなく、構想から
形になるまでずいぶんと時間が経ってしまった。
それを可能してくれたのは、100年以上前からペンを
作り続けている日本のある工場との出会いだった。
職人や技術者たちがコンマ単位で調整した精密機械の
ようなパーツを設計からサンプル作成を何度も
繰り返してくれて、やっと形になった。
手にした時の質感、書き味、キャップが閉まる時の
カチっと鳴る音、そして無垢の真鍮の佇まい。
最終サンプルができた時には、僕らがずっと欲しかった
僕らにとっての理想的な万年筆が生まれたのを実感する
ことができた。
僕はその最終サンプルを2週間ほど使っているけど、
とても気に入っている。
真鍮の色がいい感じに味が出てきて、書くことが
また少し楽しくなったような気がする。

それぞれの仕事場や静かな書斎のデスクはもちろん、
空港のラウンジや長距離電車の中、旅先のカフェで、
さらにアウトドアのキャンプサイトや、安宿のベッド
の上でも、ふと何か思い付き、書き留めるのに
使ってほしい、そんな万年筆です。
あと1ヶ月と少しで店頭にも並ぶと思いますので、
ぜひ、手にとってみてください。


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2017年2月13日

東京駅からはじまる新しい旅

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たまの出張で、東京駅へ行き新幹線に乗ると、
今でもちょっとわくわくする。
朝から駅弁を買って、西に向かう時なら
横浜を過ぎたあたりで食べ始め、車窓から
富士山が見える頃に、車内販売のコーヒーを飲む。
そして、文庫本を開いてのんびりページをめくる。
そんなことを想像して、弁当は何しようかとか、
持っていく本を選んだりするのもまた楽しい。

ふと窓の外を見ると、海が広がっていたり、
一面雪景色になっていたりして、そんな時は
本を読むのを休んで、しばらく車窓を眺める。
到着駅についてホームに降りると、体に感じる
空気の温度や匂いが新鮮で、やって来たなあ、
としみじみ感慨にふけるのもいい。

学生の頃によく利用した青春18切符での旅も
いいなあ。
何度も乗り換えなければいけないけれど、
その分、それぞれの土地の空気を感じられるし、
通勤や通学などで利用する乗客たちの言葉が
だんだん変化していくのも楽しい。
気が向けば、予定を変更して訪れたことがない
町を歩くことだってできる。
夜になって住む人の少ない路線を走っていると、
だんだんと乗客も減って、車窓からはぽつん
ぽつんと見える家の光をながめている時の
うら寂しい気分も好きだ。

寅さんが、家族と喧嘩をしたり、ふられたり
すると、トランク片手に家を出て、駅に向かう。
僕はそんなシーンを見ると、切なくなるのと
同時に、ほのかな憧憬の念を抱いてしまう。

海外で電車に乗る時は、なおさら高揚する。
インドの混沌とした寝台列車、バンコク発
チェンマイ行きの個室寝台。夜の闇のなかを
疾走するミッドナイトエクスプレス......。
スピードや便利さ、価格などでは、飛行機や
高速バスに比べると劣ることも多いけれど、
やっぱり電車や駅には、旅情をかきたてる
特別なものがある。

先週末にすでにこちらでお知らせしていますが、
今年4月27日に東京駅のグランスタ丸の内に、
トラベラーズファクトリー ステーションを
オープンします。
ゆっくりページをめくる時間を持てる電車の
旅は、トラベラーズノートとの相性もぴったり。
このあたらしい場所を起点にどんなノートとの
旅がはじまるのか、僕らも今から楽しみです。
栄光に向かって走るあの列車に乗って行こう、
なんてフレーズが頭のなかをぐるぐる巡って
いるのです。
まさにこれからその準備が本格的にはじまるの
ですが、皆さまも楽しみにしていただければ
嬉しいです。

話変わって、2月14日のバレンタインデーに
トラベラーズノートと仲間のあたらしい
ラインアップをトラベラーズカンパニー
オフィシャルサイト
にてお知らせします。
こちらもぜひ楽しみにしてください。


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2017年2月 6日

Born To Run

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先日のイベントの打ち上げで、
シンガーソングライターの山田さんが
最近出版されたブルース・スプリングスティーンの
自伝が面白いと話をしていて、そういえば、
アメリカでも本屋でその本が平積みされていたのを
思い出して、読んでみることにした。

ブルース・スプリングスティーンといえば、
出会いはやはり僕が中学生の頃に大ヒットした
『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』。だけど、
本当の意味で彼の音楽にはまっていったのは、
その次にリリースされたレコード5枚組のライブ
アルバムだった。毎週のように通っていた
錦糸町の貸レコード屋、友&愛でそのレコードを
見つけて借りることにしたのは、その物量に対して
レンタル代がお得だと思ったからのような気がする。
そんな理由はともかく僕はこのライブ盤を何度も
聴くうちに、スプリングスティーンの放つ
ロックンロールマジックにすっかりノックアウト
されて、彼がそれ以前にリリースしたアルバムを
一枚ずつ、友&愛で借りていった。
(まだ高校生だったからね)

ブルース・スプリングスティーンの自伝は、
ちょうど上巻を読み終えたところ。
幼少期からはじまり、ロックに目覚めギターを
手にし、バンドを組んでライブを重ねていく場面を
経ながら、『ボーン・トゥ・ラン』で成功を手に
するまでを中心に描かれている。
だけど、ロックスターのサクセスストーリー
というより、悩み傷付きながら自分なりの表現を
手にしていくまでの軌跡が生生しく綴られている。
そこで何よりも感じるのは彼のロックへ向かう
真摯な姿勢と深い愛情だ。

読みながら、僕もロックに何度も救われてきた
ことを思い出した。
自分が何者か分からず、周囲に馴染めず、
間違った場所にいるように感じていた思春期。
ロックが、孤独な日々をやり過ごす勇気を
与えてくれた。

バンドを組んでギターを手にして歌うことで、
自分にも何かができるかもしれないと思うことが
できたし、メンバーとグルーブを体感することで、
同じ思いを共有できる仲間と一緒に何かを作ること
の喜びを教えてもらった。
それは孤独で内向的だった僕を大きく変えて、
世の中に向かっていく力を与えてくれた。

さらに、トラベラーズノートを作る時には、
ロックが僕らにヒントを与え、目標となった。
ロックがかつての僕の心を触発し、生きていく
勇気を与えてくれたように、僕らが作ったものも、
わずかでも誰かに勇気や希望を与えられるかも
しれない。
それを本気で信じることで、仕事のやり方が
大きく変わっていった。ロックを奏でるように
プロダクトを作り、ライブをやるようにイベントを
行い、お店を作った。

この本のなかで、スプリングスティーンは、
ラジオからはじめて自分の曲が流れてきた時の
ことを、興奮気味に語っている。
かつて15歳の彼がラジオから流れるボブ・ディラン
の音楽に触発され、心を呼び覚ましてくれたように、
自らも同じ旗を立てる誰かを触発している。
そんな栄光の連鎖のひとつになれたのだと実感した
と語っている。
ちょっと夢みたいなことかもしれないけど、
僕らもいつかそんなことを実感したくて、
ノートを作っているのかもしれない。


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2017年1月30日

魅惑のオリーブ

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どうでもいい話だけど、オリーブの塩漬けが好き。
イタリア料理やスペイン料理などで付け合わせで
よく出てくるあの緑や黒の小さな果実。
見かけるようになったのは、大人になってからで、
子供の頃はその存在すら知らなかったし、
きっと最初に見かけた時は、なんだこいつは?
と思いながら無理して食べて、結局なにがおいしい
のかよく分からなかったような気がする。
だけどスペインを旅した時に、なにかにつけて
これが出てきて、なんとなく食べているうちに、
すっかりその味が癖になって、好きになっていった。

ピーマンとかミョウガのように、子供の頃には
嫌いだった食べ物のおいしさに、大人になって、
ふと気付いた時もそうだけど、
ぜんぜん聞き取れなかった英語の会話の意味が
ぼんやり分かった時や、うるさいだけだったロックの
ビートの気持ち良さにはじめて気づいた時みたいに、
自分の世界が広がった気分になり嬉しくなった。

それからは日本に帰ってからも、たまに
ディーン&デルーカとかで、詰め合わせの
オリーブを見つけると買って帰り、パクパクと
何個も食べてしまう。

オリーブの塩漬けは、きっと日本でいえば、
たくあんとか梅干しみたいな存在で、海外でそれを
食べると、きっと日本のことを思い出すように、
オリーブの実を食べることで、スペインの照りつける
日差しやバルの匂いを思い出して、ちょっとした
旅気分を味わったりもしている。

なんとなくオリーブについて調べてみると、
古代ギリシャの繁栄に、当時貴重だったオリーブの
栽培が大きな影響を及ぼしていて、そのことから
ギリシャ神話や聖書には、富や勝利、平和の象徴
としてオリーブが登場しているそうだ。
黄金色をしたオリーブオイルは、いかにもそんな
例えにされそうな色だし、ヨーロッパの硬めのパンを
オリーブオイルに浸して食べるとおいしいもんね。
3月15日には、オリーブの日というのもあるそうで、
個人的なオリーブブームはしばらく続きそうなのです。


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2017年1月23日

好きなものは好きだと言おう

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先週土曜日のトラベラーズファクトリーでは、
アアルトコーヒーの庄野さんが来てくれて、
昼間はカフェイベント、夜はコーヒー教室&
ブックトークを開催。

カフェイベントでは、吉祥寺のカレー屋、
ピワンさんとアアルトコーヒーのカフェ14gに
よるコラボカレーパンが登場。
これがもう絶品で、カレーパンの概念が変わる
ような味だった。
スパイスの効いた深みのあるカレーに、素材の
あまみを感じるパンの味......、思い出したら
また食べたくなってきたなあ。
カレーパンは早々と売れ切れてしまって、それを
お目当てに来ていただいた方にはとても残念な
思いをさせてしまったし、なによりおいしいので
いつかまた皆様に届ける機会を持ちたいな。

そして、夜はコーヒー教室&ブックトーク。
前半には、庄野さんのコーヒー教室を行い、
後半は庄野さんと僕で、庄野さんのあたらしい本
『コーヒーと小説』のことを中心にお話しする
トークイベントを行った。

実は、シンガーソングライターの山田稔明さんが
たまたまギターを持って遊びに来ていて、急遽、
飛び入りで歌ってくれることになった。
コーヒー教室とブックトークの合間に、
トラベラーズノートのために作ってくれた
『notebook Song』と、14gのために作った
『my favorite things』の2曲を演奏してくれた。

思いがけずスペシャルなイベントとなり、
その後のトークイベントで、僕は思わず
トラベラーズブレンドや『notebook Song』が
生まれたいきさつを話した。
どちらも僕らが憧れ好きなものを作る人に気持ちを
伝えることから生まれたもので、庄野さんも、
やっぱり好きなものは好きだと言う方がいい、と
言った。
そういえば、山田さんが歌った『notebook song』
には、ノートに詰まった好きなものがいくつも
登場してくるし、『my favorite things』はその
曲名のとおり、朝のコーヒーからはじまる好きな
ことを綴った歌だ。

『コーヒーと小説』もまた、小説好きの庄野さんが
純粋に面白い話だから読んでほしいと10編の小説を
選んだ本。
イベント前に再度読み返すと、その小説の多くに
登場する女性がしたたかで魅力的であるのと同時に、
男はいじいじ悩んでばかりでなんともだらしない。
トークショーでは、庄野さんも僕と同じように、
もともとは好きなものを素直に好きだと胸を張って
言うことができないひねくれもので、ネガティブで
悩んでばかりだったということがわかった。
だから、そんな登場人物にシンパシーを感じるの
かもしれない。
素直に好きだと言うことができるようになったのは
大人になってからだけど、そのおかげで素敵な仲間と
出会えたし、 さらに美味しいコーヒーやパンに
素晴らしい音楽が僕らの基地、
トラベラーズファクトリーに集まって、お客様と
ともに楽しむことができたんだ。
その喜び実感できる素敵な1日になった。

トークイベントでは、おみやげとして、僕が本に
ついて書いた文章と絵をまとめたZINE、
TRAVELER'S DIARIES about Booksを参加して
くれた方々に配った。
サンフランシスコのお店で、Zineが壁一面に並ぶ
姿に感動して、急遽作ってみたんだけど、ハシモトが
素敵な表紙をつけてくれて、思いのほかいい感じに
できあがったので、もうすこしページを増やして、
また作ってみたいなと思っている。


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2017年1月16日

おいしいコーヒーを飲もう

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先月のアメリカへの旅では、いろいろな場所で
コーヒーを飲んだ。
以前と比べると、アメリカでもエスプレッソを
出してくれるカフェが増えたけど、
普通のダイナーやグロサリー、ホテルの朝食で
飲むコーヒーは、まさにアメリカンコーヒーと
言いたくなるような、薄めのすっきりした味の
コーヒーが多い。
これを飲むと、アメリカにいるなあと、
しみじみと思うことができる。

映画『バグダッド・カフェ』の冒頭シーンを
思い出す。
ラスベガスとロサンゼルスを結ぶ砂漠地帯に
あるモーテル兼カフェ。
なぜかカフェにとって大事な商売道具である
コーヒーマシンが壊れている。
客からコーヒーのオーダーを受けると、
道端で魔法瓶を拾ったのを思い出し、その中に
入っていたコーヒーを入れて、常連客に出す。
すると、客は苦いと思わす吹き出してしまう。
そして、たっぷりお湯を足して、
うん、これだと言いながら飲む。

その魔法瓶はドイツ人の旅行者が置いていった
もので、アメリカとヨーロッパの文化の
ギャップを感じさせるシーンだ。

ヨーロッパは、濃いエスプレッソが主流。
エスプレッソをお湯で薄めたアメリカーノも
飲めるけど、ドリップコーヒーと比べると
おいしいものでもないし、現地でもちょっと
邪道扱いだったりする。

アメリカの薄いコーヒーも、ヨーロッパの
エスプレッソも、旅慣れてくるにつれて、
だんだんその魅力がわかってきて、
おいしく飲めるようになってくるのだけど、
日本に帰って、深煎りのコーヒー豆を挽いて
ハンドドリップでいれたコーヒーを飲むと、
やっぱりこれがおいしいなあって思うのは、
長年飲み続けているからだろうか。

今週末、アアルトコーヒーの庄野さんが
トラベラーズファクトリーにやってきて、
コーヒーを淹れてくれるイベントを開催する。

いつもイベントの準備が終わると、
オープン前に庄野さんがコーヒーを淹れてくれる。
僕はこのコーヒーが好きだ。
焙煎したての豆で庄野さんが淹れてくれるから
おいしいにきまっているんだけど、
窓から明る光が差し込むトラベラーズファクトリー
の2階で、徳島からやってきてくれた庄野さんと
お互いの近況などを話しながら飲む。
そんな状況が、コーヒーの味をさらにおいしく
させてくれるような気がする。

今回は、徳島のアアルトコーヒーのカフェ14gの
パンやお菓子も持ってきてくれるし、ちょっと
特別なパンを試作中とのことこちらも楽しみ。
ぜひ、遊びにきてください。

昨年『コーヒーと小説』も出版したところでも
あるので、ぜひ、コーヒーを飲みながら、
本やコーヒーの話も楽しんでいただけたら
嬉しいです。

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2017年1月10日

やっぱり革が好き

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4回目の年男を迎えて、いよいよそれが必要に
なったらしい。
最近、急に細かい文字が見にくくなった。
特にノートに細かい字や絵を描こうとすると、
焦点が定まらず、手探りで描いている気分になる。
そんなわけで、お店で見かけて、試しに老眼鏡を
かけてみたら、なるほどよく見える。
旅先だったけれど、そのまま衝動的に購入した。

老眼鏡の場合、常にかけているわけではないので
普段はケースなどに入れて持ち歩く必要がある。
しばらくは、付属品の塩ビ製のケースに入れて
いたけど、やはりちゃんとしたモノが欲しくなり、
いろいろ探してみた。だけど、なかなか丁度良い
ケースを見つけることができなかった。
市販品のケースは、大小さまざまなサイズの
メガネに対応しなければいけないのでちょっと
大きめに作られている。
僕が手に入れたのは、スリムなサイズのメガネ
なので、それらでは無駄に大きなケースに
なってしまうのだ。
そこで、お正月休みに自分で作ってみようと思った。

革は、もちろんトラベラーズノートの革。
メガネのサイズにあわせてカットし、
縫い合わせて、ホックをつける。
2〜3時間革と格闘した後、完成した。
何度も出し入れしたり、触ったりして使い心地を
確かめる。うん、なかなかいい感じ。

当然、自分のメガネにぴったりのサイズだし、
トラベラーズの革だから、使うほどに味もでる。
それだけで、持ち歩いて使うのが楽しくなった。
やっぱり革っていいなあ。

そういえば、トラベラーズファクトリーで発売
したばかりの、文庫用のブックカバーもそう。
もともと本にカバーを付けて読むなんてことは
しれなかったんだけど、トラベラーズらしい
ものができたと、すっかり気に入って、最近は
いつもカバーに付けて本を持ち歩くようになった。
それだけで本を開く時は、トラベラーズノートを
開くような気分になれるし、日々革に味が
出てくるのも嬉しい。
本を読む時間が今まで以上に楽しくなった。

僕らが道具に求めていることって、そんな気分
なのかもしれない。もちろん使い勝手や機能性も
大事だけど、同時に、何かを書き留めたり、
本を読んだり、そんな日々の何気ない行為が
ちょっと楽しくなったり、嬉しくなったりする。
そんな道具に囲まれて暮らしていきたい。
それがさらには、日々の生活や旅をもっと楽しく
素敵にしてくれるのだと思う。

コンピューターやエネルギーの技術革新のように、
僕らの生活や行動に大胆な変化をもたらすような
モノではないけど、ささやかながらも、心に沁みる
温かみや、わくわくするような高揚感とともに、
生活にポジティブな変化をもたらしてくれる。
ノートというアナログのプロダクトを中心に
持つ僕らは、そんな気分をなによりも大切にして
いきたいな。

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2017年1月 2日

Happy New Year 2017

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昨年10周年を迎え、トラベラーズノートとともに
迎える新年も11回目となった。
(ほんとうは発売の前年にサンプルとして作ったの
を持っていたから12回目なんだけどね)

「10年ひとつのことを持続すればどんな奴でも
まあ、一丁前になる」と吉本隆明氏が言っていた
そうだけど、最近になってちょっとだけ、
その意味がわかったような気がする。

文房具や雑貨などの業界では毎年ほんとうに
たくさんのプロダクトが生み出されている。
そんななか、同じモノが10年以上残っていくのは、
けっこう難しいことだったりする。
そのためには、作り手や、それに代わる誰かが
強い意志と深い愛情とともにそのプロダクトに
寄り添っていくことが大事だと思う。

トラベラーズノートがここまで続いてきたのは、
作り手である僕らだけでなく、愛情を持って
このノートに関わってくれる人たちや使ってくれて
いる人たちがたくさんいたからに他ならない。
もし今、トラベラーズノートが一丁前と呼ばれる
ようなものなれたとするならば、そうやって 
10年もの間たくさんの人たちに愛されて使われて、
鍛えられていったからだと思う。

47歳の僕にとっては、10年はあっという間に
過ぎていったような気がするけど、
10年前には、スマホやSNSはまだなかったし、
今の日本の電気メーカーの劣勢や、逆に日本に
これだけ多くの外国人観光客が訪れている状況は、
想像できなかったような気がする。
なにより、5年前にはあの大震災があって、
今でも多くの人たちに大きな傷を残している。
また、10年の間には、子供がうまれたり、
転職したり、恋をしたり、失恋したり、それぞれの
人生の中で記憶に刻まれて転機になるようなことが
あった人も多いと思う。

そんな中で、たくさんの人たちの生活に寄り添い
続けてきた10年間の歴史こそがトラベラーズノート
の宝であり、他にはまねできないなによりの強みだと
思う。

次の10年に向けて、抱負や展望を聞かれることも
多いけど、今までだって、トラベラーズノートが
導いてくれる流れに身を任せて、風の吹くまま、
気の向くままに直感を信じて進んできただけだし、
これからもそれは変わらないような気がする。
何より作り手である僕ら自身がトラベラーズノートに
飽きることなく、その仕事を楽しむことができたら、
これからも可能性は広がっていくと思っている。
今だって、今年の旅を想像してワクワクしている。

さて、2017年。今年は僕は年男で、偶然、
デザイナーのハシモトも周回違いの年女。
だからというわけではないですが、チーム一同、
いつも以上にがんばりますので、
今年もトラベラーズノートをよろしくお願いします。
それでは、2017年もよい旅を!

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2016年12月26日

路上の旅

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サンフランシスコを出る頃に降っていた雨は、
ハイウェイを南に走るにつれて雨足を弱め、
サンノゼを過ぎると、晴れ間が見えてきた。
朝食をとらずに急いでホテルを出たため、
空腹を感じてきた。
ここまで走って、日本の高速道路には頻繁に設置
されているサービスエリアのような休憩施設を
一度も見なかったため、適当な出口でハイウェイを
降りてみる。

すると、映画で見るような、典型的なアメリカの
ダイナーがすぐに目についた。
早速車を止めて中に入った。
映画だと、よそ者が入ってきたな、という感じで
店内から冷たい視線を浴びるんだけど、
だれも僕らのことを気にとめる様子もない。
ほっとしながら、これも映画や写真集でよく見る
直角のボックスシートに座り、メニューを開いた。
僕の中で勝手にパンケーキと並んで、
ダイナーの定番メニューのひとつだと思っている
フレンチトーストとコーヒーをオーダーした。

店内は、きっと普段はそっけないほど飾り気が
ないのだろうけど、今はクリスマスシーズン
ということで、安っぽいツリーと窓に簡単な
飾り付けがされていた。
だけど、そのチープさが逆に、手作りの温かさを
感じさせてくれた。

しばらくすると、南ヨーロッパあたりに
ルーツを持ってそうなガタイのいいマスターが、
コーヒーを持ってきてくれた。
真ん中がくびれているどっしりとしたマグに入り、
味は薄くてさっぱりの正しいアメリカンコーヒーだ。
続いて、厚めの白い皿にざっくりと盛り付けられた
フレンチトーストも出てきた。
キツネ色の焦げ目が付いたフレンチトーストに、
フライドエッグとソーセージが2本添えられて、
ピッチャーには、たっぷりのメイプルシロップ。
さしずめ日本で言えば、白いご飯にお味噌汁、
塩鮭に焼き海苔、そして、生卵が小鉢に入った
朝定食といったところだろうか。
これぞアメリカン・ブレックファストって感じで
僕は思わず笑顔になった。
早速、メイプルシロップをたっぷり注いで食べた。

旅先では、朝食がおいしい。
特に、地元の人たちが日常的に利用するカフェや
食堂で彼らに紛れ込んで食べるのがいい。
ニューヨークでは、小さなデリで食べたベーグルの
サンドイッチが美味しかったな。

さて、お腹を満たすと、再び車に戻り、ハイウェイを
南に向かって走った。
途中何度かハイウェイを降りて、風景を楽しんだり、
コーヒーや食事をとりながら、101号線をひたすら
南へ下った。
アクセルを踏むことで、メーターの走行距離が
増えていき、今いる場所からどこかに向かって、
確実に進んでいく。
まっすぐ続く道を進みながら、やはり旅の醍醐味は
移動にあることをあらためて実感した。

ロサンゼルスが近付くにつれて、陽が沈んできた。
道路灯がほとんどないため、真っ暗の道を
進まなければならなかった。
ガソリン切れのサインが光るなか走り続け、やっと
見つけたガソリンスタンドは、エドワード・ホッパー
の絵のように、ぼんやりと孤独を感じさせる光を
放っていた。
ガソリンを入れ、うんざりするようなトイレで
用を済ますと、再び車を走らせた。

ロサンゼルスに着く頃には、走行距離は640キロに
なっていた。640キロと言えば、東京から徳島まで
の距離とそう変わらない。

ロサンゼルスでは、トラベラーズノートを
扱ってくれているお店のバイヤーが、僕らの到着を
待っていてくれた。
早速、僕らをグラフティアーティストのアトリエに
連れていってくれた。
工場街にある倉庫を改造したアトリエに入ると、
600キロの長い旅の疲れも忘れ、あたらしい出会い
に胸をときめかせていた。

移動して、誰かに出会い、そしてまた移動する。
あたらしい出会いは、さらにあたらしい旅へと
誘い、旅は永遠に終わることがなく続いていく。
トラベラーズノートを手にしてから10年、僕らの
旅は、そんな風に広がってきた。

さて、トラベラーズノート10周年を迎えた今年は、
4月の台湾からはじまり、香港、上海、そして
ニューヨークでトラベラーズカンパニーキャラバン
の旅をすることができたし、さらに、チェンマイ、
北京、アメリカ西海岸へと旅をした。
なんだか夢のような1年だったけど、
皆様にとっても、素敵な旅をすることができた
1年であれば嬉しいです。

あと1週間でまた2017年という、あたらしい旅が
はじまります。
まだ何も書かれていない2017年ダイアリーを
セットをしながら、今年の旅に想いを馳せ、
新しい旅のことを想像する。
忙しい季節に毎年繰り返すこの習慣は、けっこう
好きな時間でもあります。
それでは、皆様よいお年を、そしてよい旅を。


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2016年12月20日

Merry Christmas 2016

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ウェス・アンダーソン監督が制作したH&Mの
クリスマス動画がYouTubeにアップされているの
だけど、これが素晴らしい。

ウェス・アンダーソン監督と言えば、
『ダージリン急行』『ムーンライズ・キングダム』
『グランド・ブタペスト・ホテル』などで知られる
僕も大好きな監督のひとり。
動画では、わずか4分弱の映像で、電車のなかで
おこるクリスマスの素敵なシーンが描かれている。

雪の中を走る寝台列車の窓が開き、エイドリアン・
ブリュー演じる車掌が憂鬱気味に外を眺める。
映像に映るカレンダーが、その日はクリスマスで
あることを教えてくれる。
深くため息をついて、車内放送の用のマイクを
持つと、悪天候と機械トラブルで到着が大幅に
遅れることを乗客に伝える。
それは、本来なら家族や恋人とクリスマスの夜を
過ごすはずだったのが、間に合わなくなってしまう
ことを意味する。
誰かに渡すはずのプレゼントを持って、到着を
心待ちにしていた乗客たちの表情も曇っていく...。

後は、下にリンクを貼っておいたので
実際の映像を見ていただきたいのですが、
最後のシーンで、クリスマスっていいなあと
幸せな気分になれるのです。

ミニチュアの世界のような映像の作りこみ方、
ちょっとおかしな味わい深いキャラクター、
思わず胸がきゅんとなるシーン転換など、
4分弱のコマーシャルフィルムなのに、
ウェス・アンダーソンの世界がぞんぶんに表現
されていて、見終わると、感動するのと同時に
ふつふつと刺激を受けた。

そんなわけで、単純な僕らは、クリスマス間近に、
トラベラーズファクトリーで行われる
tico moonさんのライブでは、2階をいつもより
クリスマスっぽく装飾してみようと思った。

ちょうどサンフランシスコのお店で、
あの映像に出てきたような雪の結晶のモビールを
見つけて、これだと思って購入。
帰国後、お店が閉店するのと同時に飾り付けを
はじめた。
だけど、付けてみたらぜんぜんボリュームが
足りなくて、もっとたくさん買ってくれば
よかったと後悔。
そこで急遽、近くの100円ショップでいろいろ
買い足して、さらに壁にチョークで飾り書体で
メリークリスマスと描いた。
静かなクリスマスソングをBGMに、誰かの笑顔を
想像しながら作業をするのは、思いのほか楽しくて、
あっという間に時間は過ぎていき、終点の時間が
気になる頃にやっと完成した。
最初にイメージしたものとはちょっと違うけど
それはそれで手作りの味わいがあるクリスマスの
空間になったと思った。

その装飾が少しは功を奏したのかは分からないけど、
tico moonさんの素晴らしい演奏で、ライブは、
とてもクリスマスらしい心が温まる素敵な時間に
なった。

tico moonさんの奏でるハープとギターの音色に
うっとりと耳を傾けながら客席の方を眺めてみると、
笑顔だったり、穏やかな表情だったりで、みなさん
幸せそう。
あの日のあの時間にトラベラーズファクトリーの
2階に集まってくれた人たちは、きっとみんな
心温まるハッピーなクリスマスのひとときを
過ごしていたはずで、それをみんなで共有することで、
あの空間に幸せのハーモニーが生まれたような気分
になった。
そして、あらためてクリスマスっていいなあと思った。

あと少しでクリスマス。
トラベラーズファクトリーでは、トラベラーズノート
をはじめ、クリスマスプレゼントにおすすめのモノを
たくさんご用意しています。
クリスマスの日、たくさんの場所で湧き起こる
笑顔のハーモニーのためにささやかなお手伝いが
できたら、僕らも幸せです。

Merry Christmas and Have a nice Trip!


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2017年2月

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店長のプロフィール

(株)デザインフィルでトラベラーズノートの企画を担当している飯島です。