2018年2月19日

I Wanna Be Adored

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「最近、よく来てくれる小学生の男の子が
いるんですよ」
そんな話をトラベラーズファクトリー中目黒の
スタッフから聞いた時、最初はそのことをよく
理解できなかった。
文房具は扱っているけど、小学校で使うような
ものは、ほとんどないと思っていたし、
小学生がトラベラーズノートやブラスペンを
使う姿もイメージできなかった。
正直に言えば、最初聞いた時には騒いだりして
他のお客さんの迷惑になったりしたら嫌だな、
なんて思った。

だけど、スタッフに聞いてみると、そんなことは
全くなく、純粋にトラベラーズファクトリーの
商品や空間に興味があって来てくれて、さらに
お小遣いで買い物もしてくれる時もあるとのこと。
そのうち、彼の友人も来るようになり、
トラベラーズファクトリーが近くの小学校の一部の
生徒の間で話題になっていると伝えてくれた。

そんな報告を聞いているうちに、
僕は純粋にその少年たちに興味を持ち、会いたいと
思うようになった。

それから数ヶ月して、イベントがあって
トラベラーズファクトリーにいる時、ついに彼らに
会うことができた。
一人は、トラベラーズノートのパスポートサイズと
ブラスペンシルを手に持っていたので、
「使ってくれているんだね。ありがとう」
と話しかけてみた。すると、
「はい、こんにちは」と丁寧に挨拶をして
トラベラーズノートを見せてくれた。
「まだ使い始めたばかりで、あまり書いていません」
と彼は言うと、僕のトラベラーズノートを見ながら
「これは、どれくらい使っているんですか」
と質問をしてきた。
「これは12年使っているんだ。君のだって、
これから大人になるまで使い続ければ、
もっともっと味が出てくるよ」
と答えながら、まだ12歳の彼が大人になるまで
使い続けているトラベラーズノートを想像し、
逆に羨ましい気持ちになった。

例えば10年後、22歳になった彼が
バックパッカーとして海外を旅していて、
手元には年齢には釣り合わないくらいすっかり
味が出たトラベラーズノートとブラスペンシルがある。
それを見た誰かがこんなことを言う。
「ずいぶん味のあるノートとペンだね」
すると彼はこう答える。
「子供の頃、トラベラーズファクトリーという
お店が近所にあってそこで買ったんです」
「小学生の頃から使い続けているなんて素敵だね」
「まだ小学生だったから思い切った買い物だったけど
それからもそこに通ってお店の人と話をするうちに、
紙に書いたり、旅をすることにどんどん興味を持って
このノートに日々のことや旅のことを綴るように
なったんです。
それで今は、旅をしながら小説を書いています」
そして、誇らしげにノートを開くと、
慣れた手つきで鉛筆を走らせて物語を綴っていく...。
思わずそんなシーンが頭に浮かんだ。

「早くこんな風に味がでるといいな」
と彼が友達と店内で話している姿を見ていると、
小学生が買い物に来ると聞いた時に感じた
ちょっとした違和感はすっかりなくなった。

そういえば、僕だって小学生の頃に乗ることも
できないのに友達と近所のバイク屋さんに通い、
新しくリリースしたばかりのバイクのカタログを
嬉々として集めていた。
バイク屋のお兄さんは「ひとり1部ずつだよ」と
言いながらも、本物のお客になるにはあと何年も
必要な僕らに嫌がらずにカタログをくれた。
手を油で真っ黒にしてバイクを修理している店員、
「調子はどう?」と彼に親しげに話しかけながら、
ヘルメットを片手に入ってくる客、オイルの匂い、
そこは少年時代の僕らにとって憧れの世界だった。
家に帰ると、ボロボロになるまでカタログを見返し
颯爽とバイクにまたがる自分を夢見ていた。

小学生の頃にはじめて自分のお小遣いで
レコードを買った時だってそうだった。
当時のレコードの値段は2800円で、
小学生にとってかなりの大金だったから、
けっこう思い切らないと買えないものだった。
だけど、たくさんのレコードが並ぶ店内で何度も
通った後に初めてレコードを買った時は、
大人になったみたいで誇らしい気分でいっぱい
だった。

今でもその時の気分は、はっきり覚えているし、
大人の世界への憧れこそが、あたらしい世界へと導き
自分の価値観やセンスのベースを作ってくれた。
今だって、いろいろな人に憧れるし、
憧れが何かはじめるきっかけを与えてくれたり、
後押しをしてくれることがたくさんある。
ちょうど今、中目黒でイベントを開催している
ko'da styleのこうださんやair room productsの
かもさんだってそんなそんな存在だ。

だからこそ、トラベラーズファクトリーが、
これから思春期を迎えようとしている少年に
ちょっとした憧れを与えているとすれば、
こんなに嬉しいことはない。

ストーン・ローゼズの歌みたいに
憧れられたいなんて思うほど自信家ではないけど
こんな世の中だからこそ、若い世代が憧れる
ようなモノや場所、生き方を提示していくことは、
僕ら大切な大人の責任だということに、あらためて
気付かされた。
もういい歳だしね。


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2018年2月13日

My Funny Valentine

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女の子が少し不安な面持ちで店内に入って来る。
ゆっくり商品を手に取ったり、戻したりしながら、
何かを考えごとをしているようにも見える。
そこでスタッフの一人が、さりげなく声をかけた。
「何かお探しですか?」
「あ、はい、プレゼントを探しているのですが」
ちょっと緊張気味に女の子は答える。

店内には、God Help The Girlの曲が流れている。
不安で押しつぶされそうだった女の子が、
音楽によって生きていく勇気を与えられ、
救われていく。そんな映画で使われていた曲だ。

女の子は、バレンタインデーのプレゼントを
探していると伝えてくれた。
その表情から、きっとその相手とは、安心して
一緒にいれるような状態ではなく、
このプレゼントをきっかけにそうなれれば、
ということなのが察せられた。
だけどスタッフは、あからさまにそんなことは
表さず、一緒になって何がいいかを考えた。

小さな店内を何周もして悩んだ末に、
このお店の一番のおすすめである
トラベラーズノートに決めた。
「いつも手にするもので、長く使うほどに愛着が
湧くので、ずっと付き合っていきたい方への
ギフトにぴったりですよ」
そんな言葉が決め手になった。
このノートに二人の物語が綴られていったら、
どんなに素敵だろう、と思った。

女の子はほっとしたように支払いを済ませると、
スタッフが丁寧にラッピングするのを眺めた。
するとスタッフは、ギフトに添えるカードを
渡してくれた。
そこで2階でコーヒーを飲みながら、
カードにメッセージを書いてみようと思った。

誰もいない静かな2階で、ペンを手にとると、
マイ・ファニー・バレンタインが流れてきた。
しばらく耳をすませてチェット・ベイカーが
物憂げにつぶやくように歌うのを聴いていると、
いつもおどけて自分のことをからかってばかりいる、
相手を思い出し切ない気持ちになった。
もうすぐ大学を卒業して、それぞれ違う道を
歩こうしている2人。
その前に自分の気持ちを伝えたかったけど、
それは、簡単なことではなかった。
夏目漱石が英語教師をしていた時、
I love youを「我君を愛す」と訳した生徒に、
「日本人はそんなことを言わない。月が綺麗ですね、
と言えば通じるんだ」なんて言ったそうだけど、
そんな言葉で通じ合える昔の日本人がちょっと
羨ましかった。

結局カードには、相手の名前と自分の名前の間に
これからもよろしくね、と一言だけ書いた。

「いろいろありがとうございました」
女の子はあえて明るく声をかけながら店を出た。
「こちらこそありがとうございます。
プレゼント、喜んでもらえるといいですね」
とスタッフもまた笑顔で答えた。
外はすっかり暗くなり、頬には2月の冷たい風が
あたった。


それから1ヶ月。
またその女の子がやってきた。
隣には、彼女と同じ年頃の男性がいた。
彼は女の子のために自分とお揃いのノートを買うと、
2人で嬉しそうにスタンプを押した。


もうすぐバレンタインデー。
こんなことがトラベラーズファクトリーであったら
いいなあと妄想を書き綴ってみました。

話変わって今週2月16日(金)~2月19日(月)、
トラベラーズファクトリー中目黒にて、
葉山で作られる帆布バッグ、KO'DA STYLEと
メイドインジャパンの背伸びせずに着られる
心地よいシャツ、AIR ROOM PRODUCTSの
展示販売イベント、BAG AND SHIRTSを開催します。
春を予感させてくれる素敵なシャツとバッグです。
ぜひご覧ください。


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2018年2月 5日

続けていくということ

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ヨーロッパから帰ってからの一週間は、
怒涛のようにいろいろなことがあって、
悩んだり、驚いたり、嘆いたり、悲しんだり、
喜んだりしながらバタバタと過ぎていった。

そんな中、あらためて考えさせられたのは、
自分たちのありたい形を守りながら続けていくこと
の大変さだ。
自分たちの意思とは関係なく、世の中や周囲の
状況は変化していく。
トラブルは日々あるし、不安に押し潰されそうに
なったり、逃げ出したくなるようなこともある。
いろんなことが思い通りにいかない中で、
みんな希望と絶望の狭間で揺れ動きながら
なんとか日々を過ごしている。

なんだか弱音を吐き出しているみたいだけど、
決して未来を悲観している訳じゃなくて、
トラベラーズノートやトラベラーズファクトリーが
みんなをもっと楽しくわくわくさせるような存在に
なり、同時に僕や一緒に働く仲間たちが、充実感を
持って楽しくいきいきと仕事をしている、
そんなイメージは決して夢みたいなことじゃなく
ぼんやりだけど現実感を伴って頭に浮かんでいる。
それは決して簡単ではないけど、そこに向かって
水前寺清子ばりに時には2歩下がっても3歩進んで
いると思っている。

そんな一週間の最後の締めくくりは、
トラベラーズファクトリー中目黒で開催した
アアルトコーヒー庄野さんによるカフェイベント
だった。
この日、庄野さんはあえてより手間がかかる
ネルドリップでコーヒーを淹れてくれて、
美味しいピワンさんと14gとのコラボカレーパンと
あわせて、よりまろやかで優しい味わいのコーヒー
をいただくことができた。

実はこの日2月3日は、アアルトコーヒー12周年の
誕生日にあたる日だった。
そんな大切な日に、トラベラーズファクトリーでの
イベントを受けてくれるのも庄野さんらしいけど、
僕らもその思いに応えたくて打ち上げにサプライズ
パーティーを企画した。
庄野さんに内緒で、ゆかりのある方々に声をかけ、
みんなでアアルトコーヒーの12周年を祝おうと
考えたのだ。

そんな声がけにそれぞれ忙しいなかで、
シンガーソングライターの山田稔明さんに
高橋徹也さん、デザイナーの吉積さん
tico moonの影山さんに友加さん、
mille booksの藤原さん、巣巣の岩崎さん、
吉祥寺のカレー屋、ピワンの石田さんと村山さん、
そして、写真家のキッチンミノルさんが集まって
くれた。
さらに、ピワンさんはなんとこのために
絶品のカレーライスを振舞ってくれて、美味しくて
楽しくて、嬉しい打ち上げとなった。

庄野さんとの出会いは、2009年の夏だから
もう8年以上の付き合いになる。ここに集まって
いただいたみんなは、それから庄野さんを通じて
知り合った方がほとんどで、僕らの世界を広げて
くれた庄野さんにはあらためて感謝の気持ちで
いっぱいになった。

アアルトコーヒーは、トラベラーズノートより
1ヶ月ほど先輩なので、トラベラーズノートも
あと少しで12年続くことになる。
さらにここに集まった皆さんもまた、音楽をはじめ、
お店や本作り、写真に料理など、それぞれが信じる
仕事を何年も続けてきている。
当然、その過程には様々な苦労もありながらも、
目線は常にそれぞれのファンや受け手に向かい
真摯に誠実に仕事に取り組み続けてきた方々だ。
そんな皆さんと同じ席で楽しく飲んで話しができる
ことが素直に嬉しかった。

僕らと同じように、きっとこれを読んで
くれている皆さんにも、日々の暮らしのなかで、
時には辛いことや悲しいこと、逃げ出したくなる
ようなことはあるかもしれません。
だけど、そんな時トラベラーズノートを開いたり、
トラベラーズファクトリーに足を運ぶことで、
美味しいコーヒーや食べ物、美しい音楽や写真、
本のように、ささやかでも、生きていくことの
素晴らしさや美しさに気づき、新しい旅を
はじめる勇気を得られるような存在になれるよう、
これからも僕らの仕事を実直に続けていきたいと
思います。


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2018年1月29日

Shops to sell TRAVELER'S notebook with love

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1日中どんよりした雲に覆われ雨が降り続ける
パリから、澄み切った青空が広がるバルセロナに
入ると自然と心が開放的になり、笑顔になった。
建物や道路に光が反射してきらきら輝いている。
ホテルにチェックインすると、重いコートを部屋に
置いて、少し軽装になって街へ出た。

スペインでは、この2、3年で少しずつ
トラベラーズノートを扱う店舗が増えている。
バルセロナに着くと、事前にもらったいたリストを
もとに、まずは地下鉄に乗ってトラベラーズノートを
扱うお店を回った。
最初に足を運んだのはTinta Gris。
石畳の道路に面した鉄の大きな扉を開けると、
お店が地下に広がっている。
すると、一番目が付く場所にトラベラーズノートが
並んでいるのを見つけた。
やっぱり遠い異国で僕らの作ったプロダクトが並んで
いるのを見るのは嬉しい。思わず笑顔になって、
カウンターに立つ女の子に、僕らはこのノートを
作っている者です、と声をかけた。
すると女の子も笑顔で応え、お店の奥に行き、
オーナーを連れて戻って来た。
オーナーは、黒のトラベラーズノートを手に
「私も使っているのよ」と言いながらやってきて、
僕らを温かく歓迎してくれた。
ここはイタリアやイギリスから紙を仕入れて
スペイン国内に卸している紙問屋さんが始めたお店
いうことで、店内には、色とりどりの美しい紙が
並んでいた。
そんな紙に詳しい店主からトラベラーズノートに
使っているMD用紙の書きやすさを褒めてもらったり
カスタマイズの楽しさについて話を聞いたりすると、
本当に自分でトラベラーズノートを使って、
その楽しさをお客さんに伝えたいという想いで
愛情を持って販売してくれていることが伝わった。
紙を貼って作ったオリジナルの箱をお土産にもらい
僕らはお店を出て、また次の店へと向かった。

今後は、papirvmという旧市街で何百年も前から
そこにあるかのような佇まいのお店。
3坪ほどの小さな店内には、ヨーロッパに古くから
ある革表紙のノートがずらりと並んでいる。
そんな棚の一部を陣取ってトラベラーズノートを
置いてあるのを見つけた。
聞くと、ここは200年以上続く老舗のノート屋さんで、
革表紙のノートは、当時から作り続けているこのお店
のオリジナル商品とのこと。
遠い日本からバルセロナまでやってきて、
ヨーロッパの伝統的なノートと一緒に並ぶ
トラベラーズノートがちょっと誇らしく見えた。
店主は僕のトラベラーズノートを見ると、
とてもいい感じに味が出ていると、褒めてくれた。

その後も何件かお店を訪問したけれど、ほとんどの
お店でスタッフの方やオーナーが実際にトラベラーズ
ノートを使っていて、愛情を持って大切に販売して
くれているのが伝わってきた。

それはマドリッドに移ってからも一緒で、
7年前からトラベラーズノートを扱ってくれている
Do Designでは、オーナーのソフィアさんが旅先で
綴られたリフィルが素敵に飾られていたし、
広い店内に数多の美しいギフトアイテムが並んでいる
EL MODERNOでは、オーナー夫妻がカバンから
何冊もトラベラーズノートを取り出して、アイデア
スケッチから売り上げまで綴られているノートを
僕らに見せてくてた。

みんな忙しい時間を割いて、ノートの楽しさを
伝えてくれるのとあわせて、これからのスペインでの
展開についてのアイデアを熱く話をしてくれた。

ここ数年でトラベラーズノートがスペイン国内で
広がっているのは、アートゥローさんとラケルさん
夫妻がこの国で販売パートナーとしての仕事を
初めてくれたことが大きな理由だ。
そして彼らもまた、トラベラーズノートのヘビー
ユーザーでもある。

今回足を運んだお店の多くは、決して大きくはない
けれど、そのセレクトや空間作りにオーナーの
想いやこだわりが強く感じられるようなお店だ。
オーナーやスタッフがほんとうに好きなモノを
愛情を持ってお客さんに伝えようとしていることが
伝わってくる。
これらのお店は、地元の人にはもちろん旅人である
僕らにとっても魅力的で、そんな場所で大切に
トラベラーズノートが販売されているのを見て、
僕らも嬉しくなるのと同時に、これらのお店での
トラベラーズノートを魅力をもっと高めていくような
ことをしていきたいと思った。

例えば、トラベラーズファクトリーステーションに
その場所にしかないスタンプやリフィルがあるように
マドリッドやバルセロナにしかない何か特別なことが
あって、そこでスタンプを押しながらオーナーに
おすすめの場所を聞いたり、その土地ならではの
ものを手に入れたりすることができれば、
トラベラーズノートとともにする旅がもっと楽しく
なるはず。
さらにそんな場所が、スペインに限らず、日本国内や
世界中にある。
それらのトラベラーズノートを扱う、小さいけど
オーナーの顔が見える店がトラベラーズファクトリー
を中心にネットワークを結んで、ともに情報や体験を
交換しあう。そんなイメージが広がってきた。
そのためにはまだ時間もかかるだろうし、
いろいろなハードルもあるだろうけど、
今回の旅で、決して不可能ではないということが
実感できた。

トラベラーズノートととの旅は、きっとこれからも
もっと楽しくなるはずです。
ぜひ、ご期待ください。


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2018年1月24日

MAISON & OBJET PARIS 2018

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皆さま、おはようございます。
一昨日の東京は何年振りかの大雪で交通機関にも
いろいろトラブルがあったようですが、皆さんは
ご無事だったでしょうか。

大雪の後に朝を迎える東京とは逆に、
気持ち良い気候のバルセロナで眠りに入る前に
この日記を書いています。
時差は不思議です。ここでは23日の夜11時なのに
東京は24日の朝7時。日本の方が8時間先をいって
いることになります。
日本はニューヨークに対しても14時間先を進んで
います。日付変更線から2時間離れているので
1番ではないけど、日本は世界中の中でかなり時代
の最先端を進んでいる国ということになります。
だからどうしたという話ではありますが、
2018年1月24日という今日は、みんなで一斉に
迎える訳ではなく順番に少しずつ迎えているのです。
そんなことは分かっているよ、というような話だとは
思いますが、今夜を迎えながら朝を迎えている場所の
ことを考えるとやっぱり不思議な気持ちになります。

さて、今回出張の一番の目的は、パリの展示会、
メゾン・エ・オブジェにトラベラーズとして
初めて出展すること。
現在もまだ会期中ですが、大きなトラブルもなく
どうにかトラベラーズらしい空間を作り込み、
世界中の方にトラベラーズの世界を体感して
いただくことができました。

まず嬉しかったのは、ブースを訪れる方で
トラベラーズノートやトラベラーズファクトリーを
知っている方が思いのほか多かったことでした。
買い付け目的ではない方が何人もトラベラーズノート
を手にしてブースに立ち寄ってくれて、嬉しそうに
スタンプやシールでカスタマイズを楽しんでいる姿を
見ることができました。
もちろんヨーロッパでのトラベラーズノートの
認知度は、まだまだ決して高い訳ではないですが、
それでもヨーロッパ各国でパートナーやお店の方、
ユーザーの方がこの10年の間少しずつその輪を
広げてくれているのを実感できました。
さらに、たくさんの新しい出会いもありました。
今回の出店を通じてフランスをはじめ、
ヨーロッパ各国、アメリカでトラベラーズノートを
見る機会が増えていく予感を感じました。

フランスでは、販売パートナーとの付き合いは
まだ始まったばかりですが、熱い想いでトラベラーズ
をフランスに広げようとしている2人と話せたのも
今回の収穫でした。
トラベラーズノートというプロダクトは、
使い方の説明が必要だし、リフィルのラインアップも
たくさんあり、さらには革の個体差などもあって、
正直なことを言えば、販売をするという意味では、
手間がかかる面倒な商品でもあります。
だけど同時に、それを深く理解し愛を持って伝える
ことで無限に広がる可能性があるプロダクトだとも
思っています。
その可能性を共有し、一緒にトラベラーズノートの
世界を作っていく仲間がヨーロッパにもいて、
さらにその仲間がまだ増えていけば、その世界は
もっと楽しくなります。
例えば、旅先でトラベラーズノートを扱っている
お店へ行けば、お店の方からおすすめの場所を紹介
してもらったり、さらにそこにしかないリフィルや
チャーム、スタンプがあったり...。
いつかそんなことができればいいなと考えています。

最初に書いた通り、今はパリからバルセロナに移動
しています。さらにマドリッドに立ち寄ってから
帰国します。
そのお話はまた後日こちらでもお伝えします。

話は変わりますが、本日24日11時ごろより、
トラベラーズファクトリーオンラインショップにて
旅に便利なキャンバスバッグとポーチ、さらに
ブラスプロダクトと一緒に使いたいトラベラーズ
ファクトリーオリジナルのブラスプロダクトなどの
新商品が発売となります。
ぜひご覧ください。


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2018年1月15日

メゾン・エ・オブジェ パリに出展する理由

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トラベラーズノートが生まれる前の17年前のこと。
僕は海外担当の営業としてドイツのフランクフルトで
開催している文房具の国際展示会ペーパーワールドに
参加したことがある。
当時はまだ社名はデザインフィルではなくミドリで、
ペーパーワールドには毎年出展していた。
もちろん当時の僕は、ヨーロッパの展示会は
初めての経験で、その巨大な会場に世界中から
出展社やバイヤーが集まる雰囲気に大きな衝撃を
受けた。

ヨーロッパの高級筆記具メーカーのブースでは、
まるでホテルのように作り込まれた商談室の中で、
シャンパン片手に商談がされていたり、
イタリアのブースでは、ガラスペンや革のノートに
船や馬車などの模型が棚に雑然と並び、その奥の
カウンターにはカットする前の大きなパルメザン
チーズがドンと置かれ、それをつまみにグラッパや
エスプレッソが振舞われていたりして、それまで
日本で経験してきた展示会とはまったく違う迫力に
圧倒されたのを覚えている。

ちなみに当時のミドリのブースでは、
コンパクトなホチキスやカッター、ハサミなどの
プラスチック成形品がメインで、デザインや品質の
評価も高く、パリやロンドン、ニューヨークなど、
欧米のデパートやライフスタイルショップにも
置かれていた。
それらの商品は、世界のお店で露出を増やし
売り上げを伸ばしていくにつれて、より安価の
似たような商品が、次々と現れて販売が難しく
なっていった。
当時はミドリというブランドの認知度も低く、
あっさり似たような商品に切り替えられてしまう
のを、営業として悔しい気持ちで見ていた。
そして数年後には、ペーパーワールドへの出展も
やめてしまった。

そんな中、初めてパリで開催される展示会、
メゾン・エ・オブジェにトラベラーズカンパニー
として出展する。
メゾン・エ・オブジェは、インテリアやデザイン
雑貨などの業界では世界最大の展示会だ。
もともとトラベラーズとしては、こういった
ビジネス向けの展示会に出ることにあまり積極的
ではなかったし、日本でも海外でも、どちらかと
言えば今まで開催してきたようにユーザーの方と
直接関わるイベントを大切にしてきた。

今回、メゾン・エ・オブジェに出展する理由は、
トラベラーズノートを一度しかるべき場所で
きちんと紹介したいという気持があったからだ。
トラベラーズノートが生まれてからの12年間の歴史、
今まで作ってきたモノ、やってきたこと、仲間たち、
それらを僕たちが作り育ててきたオリジナルの本物
として、オフィシャルな場所できちんと表現し、
見てもらいたいと思った。
それがフェイクが出回ってきていることへの牽制
にもなるし、さらなる新しい出会いのきっかけにも
なると考えた。

フランスのパリという遠隔地の展示会場で、
どこまでトラベラーズの世界が作り込めるか、
正直に言えば不安はたっぷりある。
もちろんこれまで手間と時間をかけて準備をして
きたし、会場では現行のプロダクトだけでなく、
今まで作ってきたコラボレーションプロダクトや
トラベラーズファクトリーのプロダクトも並べる
予定だ。さらに展示会なのにカスマイズコーナーも
作るし、アアルトコーヒーのトラベラーズブレンドを
飲むこともできる。
つまりいつものトラベラーズファクトリーのような
空間をそこに作ろうと考えている。
思い描いている空間ができるかどうかは、現地で
いかに作り込みができるかにかかっているけど、
トラベラーズが作り出す世界が展示会に足を運ぶ
世界中のバイヤーやメディア、メーカーの人たちに
どんな風に感じてもらえるか楽しみだな。

メゾン・エ・オブジェは初参加だし、ブースも
それほど大きくはないけれど、ヘッドライナーを
食っちゃう意気込みでフェスに初参加するバンドの
ような気分でがんばりたい。
トラベラーズここにありと示していきたい。

そんなわけで期待と不安とともに
トラベラーズノートを手にして、明日よりパリへ
旅立ちます。
旅や展示会の模様なInstagramやfacebook、
twiiterでも随時流していく予定なので
ぜひご覧ください。


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2018年1月 9日

コーヒーを飲むための理想的な場所

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父親は魚屋だったので、魚を仕入れるために
毎日朝早く家を出て、築地の市場へ通っていた。
小学生の頃、父親に付いて築地に行ったことがある。

まだ空が暗いうちに家を出て、車で築地に向かう。
フォークリフトやターレットが忙しそうに
動き回るのを避けながら進んで、市場に入ると、
朝なのに活気に満ちた世界が広がっていた。
魚や台を洗うためにホースで水が大胆に撒かれて
水浸しの地面を、長靴を履いて歩いていく。
まぐろにサンマやアジ、エビにイカ、貝におでん種
など、それぞれ違う仲卸のお店を足早に訪れて
次々と注文をし、腹巻の中に入った黒革の財布から
現金を出して支払っていく。

最初はたくさんの魚が並んでいる市場の雰囲気や
買い付けのやりとりを楽しく見ていたけれど、
ただ付いているだけでやることもないから、
すぐに飽きてしまった。
しばらくすると、「よし終わりだ。飯にしよう」と
父親が言った。
僕はホッとするのと同時に、市場ということで
何か特別なものが食べられるのかなとワクワクした。
すると、向かったのは小さな喫茶店だった。
そして席に座ると、何も注文をしていないのに
トーストにゆで卵が付いただけのモーニングセット
がでてきた。

父親は「さあ、食べろ」とだけ言うと、黙って
新聞を開いて読み始めた。
築地にいながら魚もない普通の朝食に、僕は
ちょっとがっかりしながら、ジャムをパンに
塗って食べた。
周りにはひと仕事終えた大人たちがたくさんいて
みんな静かに新聞を読みながら、
コーヒーを飲んだりパンを食べたりしている。
父親はパンを食べ終わると、美味しそうにコーヒーを
飲んだ。僕もミルクと砂糖を入れてかき混ぜて、
覚えたてのコーヒーを口に入れた。
それが美味しかったのかどうかは、正直に言えば
覚えていない。
そもそもあの頃はコーヒーの美味しさ自体を
わかっていなかった。
だけど市場の仕事を終えた男たちの中で一緒に
コーヒーを飲むのは、大人になったようで、
気分が良かったのを覚えている。
きっとあの喫茶店は、築地で働く人たちにとって、
コーヒーを飲むための理想的な場所にひとつだった
のだろうな。
今覚えば、僕がコーヒー好きになった理由に
あの体験もあるのかもしれない。

今年の10月に築地市場が豊洲に移転するという
ニュースを眺めながら、まだ届いたばかりの
アアルトコーヒーの新鮮な豆で淹れたコーヒーを
飲んでいたらそんなことを思い出した。

週末、トラベラーズファクトリー中目黒の
初オープンにあわせて、新春イベントとして
福引ガチャガチャと振る舞いコーヒーを開催。
たくさんの方に足を運んでいただいた。

いつもより賑やかな店内で、ハンドドリップで
淹れたトラベラーズブレンドをみんなに飲んでもらう
僕は福引の案内をしたり、コーヒーを出したり
しながら、お客さんとのお話をするのを楽しんだ。
久しぶりにお会いする方に、初めて会う方、
一人で来られた方に、何人かで来られた方、
海外から来た方に、近所の方など、皆さん笑顔で
優しい日差しが差し込むトラベラーズファクトリーの
2階でコーヒーを飲んでいる。
そんな光景を眺めながら、築地の喫茶店とは
タイプが違うかもしれないけど、僕らにとっての
コーヒーを飲むための理想的な場所のひとつになった
ような気がした。

朝の一杯からはじまり、昼食後、仕事の途中の
一服に、夜や休日に本や音楽とともに飲む一杯まで
コーヒーは日常にほっとするひと時を与えてくれる。
僕は朝と夜には大抵コーヒーを飲むし、さらに
昼間もコーヒーを飲んだりするから、1日3、4杯は
コーヒーを飲む。

家や職場でもコーヒーを飲むけど、日常的に、
美味しいコーヒーを飲むことができるお気に入りの
場所を大切にしたいと思っている。
トラベラーズファクトリー中目黒の2階が、
皆様にとってのそんな場所のひとつになれれば
嬉しいなと思います。

1月のトラベラーズファクトリー中目黒は、
毎年恒例のコーヒー月間ということで、いつもの
トラベラーズブレンドに加え、アルヴァーブレンド
をお出ししています。
さらにアアルトコーヒーさんのハウスブレンドや
ストレートブレンドなどの豆も販売しています。
一段と寒さが厳しくなり、コーヒーがますます
美味しい季節です。
ぜひ、この機会にお試しください。


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2018年1月 1日

Happy New Year 2018

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2017年の最終営業日、自転車に乗って
トラベラーズファクトリー中目黒まで行った。
家から中目黒までは17キロ、ゆっくり走って
約1時間の道のり。
走り始めは向かってくる風の冷たさを感じたけど、
しばらく走り続けていくうちに少し汗ばんできて、
寒さも感じなくなった。
東京の東側から西へ向かうと、ちょうど皇居を
過ぎたあたりから、アップダウンが多くなる。
かなりきつい坂道を必死の思いで登ると、
今度は急な下り坂となる。下り坂をペダルを
動かさずに調子よく走っていても結局信号で
足止めを食う。なんだか損をしたような気分で
再び走り始めると、また急な登り坂があらわれる。
走りながら、まるで僕らの仕事みたいだな、
なんて思った。

途中コーヒーを飲んで休んだりしながら
夕方に中目黒に到着。
ここに来たのは、この日でファクトリーをやめて
しまうスタッフに会うため。
5年間中目黒で一緒に仕事をしてきたんだけど、
海外へ旅立つために残念ながらここを去ることに
なったのだ。
6年間お店をやっていると、そんなことが何度も
あるんだけど、最近それが続いていて、
別れの寂しさとあわせて、これからのことを思うと
急な登り坂に遭遇したような気分になってしまう。

人は生きていれば誰でも1冊の本が書けるという
ようなことを言うけれど、
トラベラーズファクトリーが始まって、
たくさんのスタッフたちと出会い一緒に仕事を
していると、みんなにそれぞれの物語があるという
当たり前のことにあらためて気付かされる。
その物語のどこかにトラベラーズファクトリーが
登場していて、そのみんなの物語の集積が
トラベラーズファクトリーという世界の物語を
作っているのだ。
そこには20年に渡って続いた「北の国から」
みたいなドラマがある。

例えば6年前に何もわからないまま手探りで
トラベラーズファクトリーをオープンした時のことは
黒板五郎に純と蛍が、富良野の山奥で古い家を修繕し
川から水をひいたり、風車でランプを灯したりして
必死に暮らし始めた時みたいだし、
黒板家の人たちに草太兄ちゃんに中畑のおじさん、
正吉や雪子おばさんなど様々な登場人物の人生が
交錯しながら、物語が深まっていくように、
ここで働くスタッフをはじめイベントに関わる仲間や
お客さんの人生の片鱗に触れ合いながら、
トラベラーズファクトリーの物語が作られている。

出会いと別れは、「北の国から」の中でも
何度も繰り返されてきたし、その出会いから
はじまるエピソードがドラマのストーリーを作って
いったように、トラベラーズファクトリーで今まで
一緒に仕事をしてきたスタッフのほとんどに
それぞれ少なくても1話分のエピソードがあって、
エピソードを繋げていけば、それはトラベラーズ
ファクトリーの物語であるのと同時に、壮大な
人間ドラマになりそうだ。
トラベラーズノートやトラベラーズファクトリーの
ことをいつか小説のように書いてみたいな、なんて
思った。

物語の流れから考えると、
2006年3月のトラベラーズノート発売から
トラベラーズファクトリー中目黒オープンまでの
6年間が第1章で、そこからまた6年間のファクトリー
奮闘記が第2章になるのかな。
6年区切りで考えると、まだはじまったばかりの
2018年は、第3章がはじまる年になる。

第3章はどんな物語になるのだろう。
第1章や第2章同様、きっと一筋縄ではいかない
問題がいくつも巻き起こるだろうし、笑いと涙が
溢れたドラマが繰り広げられるのは間違いない。
その物語の主人公はトラベラーズノートで
舞台の基地となるのはトラベラーズファクトリー
であるのことも変わらない。
物語を作っていくのは、今トラベラーズに関わる
仕事をしている僕を含めた全てのスタッフと、
これから新しく加わるスタッフ、さらにプロダクト
やイベントを一緒に作ったり、世界中でノートを
広げようとしてくれているたくさんの仲間たち、
そして、トラベラーズノートを使い、トラベラーズ
ファクリーに足を運んでくれているすべての方々だ。
だから僕には物語がこれからどんな展開になり、
どんなエピソードを生んでいくのは分からないけど
物語の続きが気になってしょうがない。

中目黒からの帰路、すっかり夜になった東京を
自転車で走りながらそんなことを考えていた。
日々のこともちょっと俯瞰して波乱万丈のドラマ
だと思えば、辛いこともちょっとだけ楽になるし、
楽しいシーンや感動の場面を作り出そうという意欲
も高まるのかもしれないな。

そんなわけで、2018年もトラベラーズノート及び
トラベラーズファクトリーをよろしくお願いします。
今年もみなさんのトラベラーズノートにも、
きっとたくさんの物語が綴られていくと思いますが、
その多くが楽しくで幸せな物語であるのを
願っています。

トラベラーズファクトリー中目黒は、新年は
1月6日よりオープンします。あわせて毎年恒例の
新春イベントとして福引ガチャガチャや振る舞い
コーヒーを行います。
また、エアポートとステーションは新年も休まず
営業しています。ぜひ遊びに来てください。

Have a happy new year & a nice trip
with TRAVELER'S notebook!


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2017年12月25日

ヘビーデューティーの道具

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古本屋でなにげなく手にした小林泰彦氏の
『ヘビーデューティーの本』を読んでみたら
これが面白い。

この本は1977年に出版された本の復刻版で、
1960年代末ごろにアメリカで生まれた
「セルフエイド」や「アースムーブメント」という
考え方とともに広まっていったアウトドアの
ファッションや道具を詳細なうんちくとともに
紹介している。

ヘビーデューティーは、丈夫で頑丈といった意味
だけど、L.L.ビーンをはじめとするアウトドア
メーカーが、アメリカの猟師や漁師、きこり、
開拓者などが使っていた道具や服などをもとに、
ナイロンやアルミなどの新素材を組み合わせたり、
新しいアイデアやライフスタイルから生まれた、
厳しいアウトドアでもきちんと機能し、酷使に
耐える道具や服のことをそう定義している。
そして、そういった服や道具を日常の生活に
取り入れることを提唱している。

僕自身は少年時代にその洗礼を受けるには少し
遅すぎたけど、それでもポパイやホットドック
プレスなどの雑誌を読んで、デイパックや
マウンテンパーカーなどが紹介されているのを
憧れとともに読んだのは覚えている。

この本を読んでいると、あの頃のわくわくした
感覚がふつふつと蘇ってくるのと同時に、
それらの道具の背景や奥行きをあらためて知る
ことができた。

例えば、量産のバックパックは、
アメリカ先住民が使っていたものをまねて、
木のフレームにキャンバスを張ったものが始まりで
さらにそれがアルミとナイロンに変わり、腰にベルト
をつけたことで、飛躍的に使いやすくなったとある。
また、バックパックは、何日か補給なしで自給自足で
自然のなかで自力で生きていくために、
必要最低限の道具や食料をいれておくためのもの
でなければならないという考えとあわせて、
重いものを上部に入れて軽いものを下に詰める
などの使い方を解説している。

少年時代だったら、行くあてもないアラスカの
荒野に思いを馳せながらそれらの道具に深い憧れを
抱いただろうし、今の自分だって、これらの道具と
どこかに旅に出る姿を想像してしまう。

つまりヘビーデューティーの道具とは、
使用する目的やシーンに対して必要かつ充分な
機能と耐久性があり、その形や機能には必然性と
意味がある本物であるといこと。
長く使えて、本物が故の物語があるからこそ
美しいくて愛着を持って使えるし、使い手に想像力や
高揚感を与えてくれる。

例えばヴィクトリノックスのナイフを手にする
ことで、日常で鉛筆を削ったり、封筒を開封する
のに使ったりしながら、同時にアウトドアでの使用
にも耐えうるサバイバルの道具であることで、いつか
その道具とともにする旅を想像しワクワクする。

今年もあと少し。
2017年もたくさんのプロダクトをリリースして
きたけど、僕らも作る道具もまたそうありたいと
思っている。
ブラスプロダクトのラインアップに新たに加わった
万年筆に、オリーブエディションをはじめ、
ミスターソフティーにハウスインダストリーズ、
ACE HOTELなど様々なコラボレーションに、
トラベラーズファクトリーのオリジナルプロダクト
も想いは同じで、毎日手にして使うことで新たな旅
や新しい生活を想像してほしいと考えて作っている。

皆様にとって2017年はどんな旅だったでしょうか。
僕らは相変わらずあまりゆっくり立ち止まることも
ないバタバタとした旅でしたが、皆様のおかげで
楽しく充実した旅になりました。
皆様にとってもまもなく終わりを迎える2017の旅
が楽しくわくわくするもののであったことを
願います。
そして、2018年もトラベラーズノートとともに
よい旅を!


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2017年12月18日

Have Good Music and Merry Christmas!

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街にクリスマスソングが聴こえてくると、
いよいよ今年もあと少しで終わりなんだなあ、
なんて思ったりしますよね。

もともと自分から積極的にクリスマスソングを
聴くなんてことはなかったけど
トラベラーズファクトリーができて、
クリスマスに店内で流す曲を探してみると、
意外とクリスマスソングに名曲が多いのを発見したり
お気に入りのミュージシャンが演奏するクリスマスに
ぴったりの曲が見つけたりして、毎年、クリスマスに
流れるBGMのプレイリストを更新するのをけっこう
楽しみにしている。

週末は、トラベラーズファクトリー中目黒で
スパイラルリングノートバイキングを開催。
たくさんの方にノートを作っていただきました。
ちょうどクリスマスも近いということで、
ギフト用にノートを作っていかれる方も多く
いらっしゃった。
クリスマスの飾り付けがされたファクトリーの店内で
クリスマスバージョンのBGMを1日中聴いていると、
やっぱりしみじみと今年あったことを思い返して
いたりする。
そんな風に記憶を呼び起こしてくれるのも音楽の
素敵な効用のひとつだ。

音楽と言えば、今年の大きなトピックは
山田稔明さんがトラベラーズノートのことを歌った
『notebook song』のCDリリース。
ずっと音楽が好きだった僕にとって、
音楽CDの制作に関わることができて、
さらにそれがトラベラーズノートのことを歌った曲
だなんて、夢のような出来事だった。

また、個人的には、昨年キャンセルになって
行けなかった2組のアーティストのライブに行く
ことができたことも、今年の音楽にまつわる大きな
トピックだった。

ひとつ目は、ここでも書いたけど、
ちょうどトラベラーズファクトリーステーションの
オープン直前に、搬入作業を抜けて見に行った
武道館でのストーン・ローゼズのライブ。
昨年、メンバーの怪我でキャンセルになったライブ
の代替公演として開催されたもの。

そして、もうひとつ。
ロサンゼルスのACE HOTELでのキャラバンイベント
の初日、イベントが終わと、ハリウッドボウルに
駆けつけて、モリッシーのライブに行った。
モリッシーは、ここでも何度か書いている元スミスの
ボーカリストで昔から聴き続けているお気に入りの
アーティストの一人。
昨年はじめて行くはずだった横浜でのライブが、
なぜか当日になってキャンセルが決まって落胆した
ことも以前ここに書いたけど、それが1年越しで
見ることができたのだ。しかもロサンゼルスで
実現するなんて、やっぱりいろいろがんばって
いると報われるものだなあと、しみじみ思った。

ハリウッドボウルは、かつてビートルズもライブを
行った老舗の野外ライブ会場。
会場に着いた頃にはもう8時半を過ぎていて、
ちょうど前座のビリー・アイドルのライブが
終わったところだった。
セキュリティーチェックで、このチケットは使えない
なんて一悶着があったりして、自分もネットで初めて
買ったチケットだから若干自信もなかったりした
のだけれど、別室に連れていかれてチケットをさらに
調べてもらうと、なんとか中に入ることができた。

その一週間前のカルフォルニア州パソロブレスの
ライブは、暖房施設が故障しているからという理由で
キャンセルになったいたし、実際にライブが始まる
までは本当に見られるのかとちょっとした不安が
あったけど、最後の最後までひやひやさせらるのが
モリッシーのライブらしいな、なんて思った。

会場に入ると、急いでツアーTシャツを買って、
席へと向かった。何も食べないまま来たので、
売店で何か買おうと思ったけど、あまりにも
たくさんの人が並んでいて諦めた。
それでも、みんながモリッシーの音楽を体験するのを
高揚感を持ちながら待っているのが伝わってきて、
自分のその中の一人であるのがとても嬉しくなった。
席は公演直前に取った安いチケットだったから
随分後ろの方だったけど、この場に入れるだけで
満足だった。

そして9時を過ぎる頃、本当にモリッシーが
登場して歌い始める。
2曲目には、18歳の頃に何度も聴いたスミスの曲を
演奏。あの頃にはその30年後にロサンゼルスで、
ライブでその曲を聴くことになるなんて想像すらも
できなかった。
そもそもモリッシーは、自分の居場所がわからない
孤独でさえない日々を送る人たちへのシンパシーを
スミス時代からソロになっても変わらず歌い続けた
ミュージシャンだ。
会場に集まる人たちは、僕と変わらない年齢の
人たちが多かったように見えたけど、きっと、
みんな思春期の頃からその歌に魅了され続け、
救われてきたのだと思うと、みんな仲間のような
気になったし、さらにここがロサンゼルスだと思うと
なおさら嬉しくなってきた。

今もモリッシーは、ミュージシャンとして
音楽シーンの最前線に立ちながら
「会社員が奴隷みたいに働いているのに、
僕は1日中ベッドで過ごして、幸せだ」
なんて歌っている。
ライブ会場にいるみんなだって、あいからず
孤独を感じ、世の中の矛盾や理不尽なことと戦い
ながら、日々を過ごしている。
価値観の本質的なところは、18歳の頃とちっとも
変わっていない。
だけど、誠実に何かを本気でやっていけば、
自分の居場所がわからず、孤独でさえない日々を
送ってきた人だって生きていく価値を少しは
見いだせるようになる。
Ace Hotel やトラベラーズファクトリーに
たくさんの人たちが集まって、僕らが作るものや
イベントに笑顔を見せてくれる。僕らだって、
モリッシーの100万分の1くらいは誰かを
勇気付けているかもしれない。

「30年後の48歳になった時、ロサンゼルスで
またその歌を生で聴くことなるよ。
モリッシーは58歳になっても現役で歌っていて、
お前は相変わらずその歌に感動している。
だけど、毎日それなりに楽しくやってるから
大丈夫だよ」
タイムマシンがあったら18歳の自分にそう言って
あげたいな。

結局何も口にできないままライブが終わって、
会場を出た路上で売っていたホットドックを食べた。
完全なベジタリアンであるモリッシーのライブの後
だったからちょっとだけ罪悪感があったけど、
ほんとうに美味しかった。

話は変わり、あと少しでクリスマス。
トラベラーズファクトリーでも、
クリスマスギフトにおすすめの商品をたくさん
ご用意しています。
インスタでも#tfaおすすめクリスマスギフト
紹介しているのでぜひチェックしてみてください。
みなさんに素敵なクリスマスが訪れますように。


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(株)デザインフィルでトラベラーズノートの企画を担当している飯島です。