2017年12月11日

スパイラルリングノートバイキングのこと

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年末年始に企業名や店名が入ったカレンダーや
ダイアリーをもらったりすることってないですか。
どちらも使っていれば、いつも目につくところにある
ものなので、何か用があった時には、その名前を
すぐに思い出してもらえるから、かつてはタオルや
てぬぐいとともに会社やお店の年末年始ギフトの
定番だった。
最近は、年末年始にお得意様へ挨拶まわりをする
なんてことも少なくなったし、企業でもこの手の
販促費用が削減されるようになったのと合わせて、
ダイアリーは個人的な好みが多様化し、
貰うのではなく自分で選んで買う方が主流になり、
需要はだいぶ少なくなったけど、うちの会社では、
今でも企業名を名入れした販促用のダイアリーを
けっこう作っている。

デザインフィルは、この企業の販促用ダイアリーの
製造には、50年以上の長い歴史があり、
サイズは手帳型にA5やB5、さらに製本方法も
糸かがり製本からリング綴じまでたくさんの
ライアップがある。
リング綴じのダイアリーは、手でリングを綴じている
ので、少ない数でも作りやすいことが特徴であり利点
でもあった。
例えば、ダイアリーの1枚目に会社の写真を印刷した
ページを入れて、最後のページには各支店の住所が
入ったリストを入れるなんてことが、糸かがり製本の
ダイアリーよりも少ない数で簡単にできるのだ。

販促用ダイアリーの売り上げがピークだった頃は、
年末が近づくと、よく全社スタッフ総出でダイアリー
のセットを手伝っていた。
会議室に集まって、企業名が箔押しされたビニールの
カバーを挿したり、のし掛けをしたりして、
なんとか納期に間に合うように作業をしていた。

例えば、最後のページに校正ミスが見つかるなんて
事態が発生すると、糸かがり製本のものはすべて
作り直しをしないといけないのだけど、
リング綴じは、一度リングを外して、新た印刷した
ページだけを差し替えれば、他のページはすべて
活かすことができる。そんなこともリング綴じの
メリットだった。

リングを綴じる作業は、手作業とはいえ、
ちょっとしたコツが必要で、熟練したスタッフで
ないとできなかった。
手伝ってみようと見よう見まねでリングを綴じても
素人が綴じたものはリングの並びが汚かったり、
ページがめくりにくかったりして、
「こんなの使えないよ」と一蹴されてしまう。
上手は人は、ささっと素早い手さばきで、きれいに
リングを綴じて、横で見ていてもほれぼれとした。

スパイラルリングノートの原型はこのリング綴じの
ダイアリーで、トラベラーズカンパニーの
ラインアップに加えた理由には、長い間この会社で
受け継がれてきた技術や経験を形にしたかった
という想いもあった。
もちろん、スパイラルリングノートもすべて手作業で
リングを綴じて作られている。

そして、スパイラルリングノートバイキングという
イベントが生まれたのは、それをさらに多くの人たち
と共有したいという想いからだ。

デザインフィル流山工場では、毎日たくさんの
ノートや便箋を作っているから当然紙もたくさんある。
指定通りの色に印刷するためには、何枚も紙を余計に
必要とするし、さらに製本時の不良なども想定すると、
実際に製品になることなく廃棄されてしまう紙も多い。
それらはきちんとした製品を作るためには必要なもの
ではあるけど、当然現場のスタッフは、捨ててしまう
紙を有効に使えたらいいな、と思っていた。

ある日、そんな廃棄する予定の紙を
スパイラルリングノートのサイズに断裁して並べて、
みんなで好きな紙を選んでノートを作ったら楽しそう
だなと考えたのは、トラベラーズチームで本社と工場を
行き来しながら生産管理を担当している石井だった。

工場で社内イベントをすることになった時に、実際に
試してみることにした。
思い付いたらまずは自分たちでやってみるというのが
僕らの信条だ。
流山工場にはスタッフのための大きな食堂があるので、
そこを借りてやることにした。すると、食堂だったら、
昔から使っているお皿に紙を並べてバイキングみたい
トレイを持って選んだら楽しそうだという話しになり、
ノートバイキングという名前が生まれた。
バイキングって決して高級なものではないけれど、
ずらりと並んだ料理から、好きな食べ物を好きなだけ
選ぶのって、ちょっとワクワクしますよね。
紙を選ぶワクワク感が、バイキングと言う名前を
付けることで、より大きくなった気がした。
そして実際にやってみると、仕事で紙を見慣れている
はずのみんなが笑顔でノート作りを楽しんでくれた。

トラベラーズファクトリーができた6年前、
一番最初に開催されたイベントが
このスパイラルリングノートバイキングだったのは
必然だった。

流山工場の食堂が始まりだったから、その後も
イベントで使っている紙を載せるメラミン製の皿と、
紙をピックアップするためのアルミのトレイは、
実際に流山工場で何十年も前から使っていたものを
使っている。
最初は紙を取るためにトングも用意したけれど、
これはあまりにも取りずらかったのでやめた。

僕らは、ノートバイキング用の紙を用意する時、
MD用紙のような定番の紙はご飯、柄が印刷された
紙や色紙はおかず、さらにカンガルーポケットや
ミツバチ封筒のように最後に添える紙は、デザート
と表現し、例えば、どこのイベントではご飯が
ちょっと足りなかったね、なんて言ったりする。

そんな風にしてはじまったノートバイキングが、
2014年には金沢、奈良、徳島、広島と日本各地を
キャラバンして開催し、さらに2015年のヨーロッパ
のアムステルダムを皮切りに、ロンドン、ベルリン、
そして去年には台北、香港、上海のアジア三都市、
今年はニューヨークにロサンゼルスと世界各地で
行われ、たくさんの人たちが笑顔で参加してくれて
いることを思うと、とても感慨深い。

そして、今週12月15日、16日、1年ぶりに
トラベラーズファクトリー中目黒で
スパイラルリングノートを開催します。
世界中で開催したこのイベントですが、やっぱり
トラベラーズファクトリーが一番似合います。
僕らもホームに帰ってきた気分です。
今回はトラベラーズファクトリー6周年記念の
オリジナルデザインの表紙もご用意します。
クリスマスも近いので、ご自分用とあわせて
プレゼント用のノートを作るのもいいかもしれ
ません。贈る人のことを思いながら、紙を選ぶ
のも楽しい時間です。
ぜひ、ご参加ください!


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2017年12月 4日

最高の博物館と美術館がある街

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ニューヨークのAce Hotelでのイベントが終わり、
帰国の前日。
ホテルを出て近くのダイナーで朝食をとると、
グランドセントラルステーションまで歩き、
地下鉄に乗ってセントラルパークへ向かった。
駅から地上へ出ると、目の前にダコタハウスが見えた。
100年以上前に建てられたこのお城みたいな
高級アパートは、ジョン・レノンが晩年に住み、
さらに、その門の前でマーク・チャップマンによって
殺された場所として有名で、たくさんの人が記念撮影
をしていた。

セントラルパークの中に入りしばらく歩くと、
ストロベリーフィールズと呼ばれるジョン・レノンの
記念碑があり、ちょっとした観光名所になっている。
いつもここでは誰かがギターを片手に歌っていて、
その横では恋人と手を繋いだり、ベンチに座ったり、
記念写真を撮ったりしながら、そこにいるみんがが
彼の音楽や彼が伝えようとしたメッセージに思いを
馳せているみたいだ。
そんな風景を眺めていると、なんだかここが他にない
かけがえのない場所のように思えてきた。
ちょうど僕らがいた時はジョンの曲ではなく、
ピンク・フロイドの「あなたがここにいてほしい」が
歌われていて、それはそれでとてもしっくりきた。

この日は秋晴れという言葉がぴったりの快晴で、
少し冷たい澄んだ空気を思いっきり吸い込みながら
セントラルパークを散策した。
枯葉の隙間からリスが現れ、足早に去っていった。
静かな公園の湖には鴨が泳いでいる。
しばらく歩くと、子供たちが、広場で遊んでいたり、
先生の後ろに並んで歩くのを見かけるようになった。
近くにあるアメリカ自然史博物館を見学した子供達が、
帰る前にひと遊びしているようだ。

アメリカ自然史博物館といえば、
サリンジャーの小説「ライ麦畑でつかまえて」の
主人公ホールデンが一番好きな場所だと語っている。
幼い頃、先生に連れられてクラスのみんなで並んで
手を繋ぎながら、インディアンの丸木船や
エスキモーが凍った湖に穴を開けて魚を釣っている
展示を眺めたことを、ホールデンは子供の頃の純真さ
を懐かしむように語っている。

すべての物がいつも同じところに置いてあり、
変わらないことがこの博物館の良さだとホールデンは
言うけど、ニューヨークから帰ってきてあらためて
この小説を読み返してみると、この小説が出版された
1951年から比べても、今もその展示はそれほど
変わっていないような気がする。
アメリカの大地を写実的な絵で描いた背景の前に
置かれたシロクマや鹿、パイソンなどの剥製は、
今にも動きだしそうだし、インディアンが暮らす姿を
再現した展示はかつてのこの土地の姿をリアルに
想像させてくれる。
今回の旅ではじめて訪れたこの場所を僕は、
すっかり気に入ってしまった。

「ライ麦畑」は、主人公ホールデンが学校の寮を
抜け出し、ニューヨークを3日間さまよい歩く姿を
描いた小説だ。
高校生の頃この小説に出合ってはまった僕は、
何度も繰り返し読むうちに、セントラルパークに
グランドセントラルステーション、ロックフェラー
センターのスケートリンクやこの自然史博物館など、
ニューヨークの名所の多くを、この小説で知った。
そういえば、ダコタハウスの前でジョン・レノンを
殺した犯人は、その手に「ライ麦畑」を持っていた
ことは有名な話だ。

「ライ麦畑」には出てこないけれど、
ニューヨーク近代美術館 MOMA もニューヨークを
訪れたら絶対に足を運ぶべき場所のひとつ。
ゴッホからはじまり、モネにマティス、ピカソから
エドワード・ホッパーにポロック、ウォホールまで、
写真で見慣れた素晴らしい作品がたっぷりあって、
目の前でじっくり見ることができるし、
美術館特有の堅苦しさとか尊大さがなくて、
フレンドリーな温かさが漂っているのが魅力。
僕らは行った時は、残念ながらウォホール作品は
出張中のようで一枚も見られなかったんだけど、
代わりに、僕の大好きな写真家ステファン・ショア
の特別展をやっていた。
寂れたモーテルに、色あせた看板、なんでもない
パンケーキなど、ニュー・カラーと呼ばれる独特の
色合いの写真は、僕にとっての憧れのアメリカの
原風景。
思いがけずその素晴らしい作品をたっぷり見ることが
できて、ますますMOMAが好きになった。

政治的にはいろいろ問題はあるし、僕が見たり
体験したことなんて巨大な国のほんの一部でしか
ないけれど、それでもアメリカは僕らをワクワク
させてくれるし、人生をもっと楽しくしてくれる
素敵なアイデアをたくさん与えてくれる国だ。
ニューヨークに行って、自然史博物館にMOMAを
訪れれば、きっとみんなもそう思うはずです。
まだ行ったことがない方はぜひいつか足を運んで
みてください。


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2017年11月27日

Driving from LA to Palm Springs

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ロードムービーの傑作『パリ・テキサス』では、
アメリカを車で走るシーンがたくさん登場する。
前半は失踪していた主人公トラビスがテキサスの
田舎町で見つかり、その弟がLAに連れて帰る姿を描く。
飛行機に乗るのを嫌がるトラビスのために
レンタカーを使い、ロードサイドのモーテルに
泊まりながら、数日かけて車でLAまで走り続ける。
妻と息子を投げ出して失踪した兄と、その息子を
自分の子供として育てている実直な弟との2人の旅は、
お互いあまり言葉を交わすこともなく、暗いトーンの
緊張感を感じる。
それでも、淡々と変化ない道を走る旅を続けるうちに、
最初は記憶喪失のように言葉を発することがなかった
兄は、少しずつ弟に心を開いていく。

後半は、トラビスと幼い息子が、その母親であり
元妻に会うためにまた旅に出る。
テキサス州ヒューストンまでの長い道のりを車で
走りながら、前半の旅と同じように旅を通じて
親子の関係を少しずつ修復していく。

僕にとって、ドイツ人監督がアメリカを描いた
『パリ・テキサス』こそが、アメリカの車での旅を
強烈に印象付けていて、映画によって作られた
原風景を探すことに、ずっと憧れがあった。

今回のアメリカの旅では、
ロサンゼルスとニューヨークでのイベントの間を
利用して、車でパームスプリングスまで行く機会を
得ることができた。
パームスプリングスは、ロサンゼルスから東に
約180キロの場所に位置する都市で、今回イベント
会場となったエースホテルの支店がある。

僕らはロサンゼルスを朝に出発し中心地を抜けると、
あえてハイウェイを降りて、よりその土地の様子を
感じることができる国道線を進んだ。
僕らはワクワクしながら、ダイナーでアメリカでの
朝食の定番のパンケーキやフレンチトーストを
薄いアメリカンコーヒーと共に食べ、
延々と続く貨物列車が通り過ぎたり、
巨大なパームツリーが連なるロードサイドや
緑がほとんどないゴツゴツした砂漠地帯の山を
眺めながら車を走らせた。

パームスプリングのエースホテルは、
かつてのアメリカのモーテルをかっこよく
リノーベーションして作られていて、古き良き
アメリカを感じさせてくれてる、とても素敵な
ホテルだった。
夜まで少し時間があったので、どこかに行こうかと
みんなで話をしていると、橋本がネットを見ながら
「近くにヨシュアトゥリー国立公園というのが
ありますよ...」と言った。
嘘みたいな話だけど、ちょうどそのタイミングで
ラジオでU2のWith or Without Youが流れていて、
「それは行くべきでしょ」となった。
その曲は、僕が高校生の頃にヒットしたU2の
アルバム『ヨシュアトゥリー』に収録されている。
ジャケットには、アメリカの荒涼とした砂漠を
バックにメンバーが立っているモノクロの写真が
使われていて、ジャケット裏にはアメリカの原野を
象徴するかのようにヨシュアトゥリーが写っている。
そんなシーンの中にあるトラベラーズノートの写真
を見てみたいと思った。

慌てて車を走らせてその公園に向かったけれど、
やはりアメリカの近くは、日本のそれとは違って、
たっぷり1時間以上車を走らせなければならなかった。
日が沈むギリギリにその公園にたどり着くと、
あのジャケットにある荒涼とした大地と
ヨシュアトゥリーが、赤と青のコントラストが
美しい夕焼けの空をバックに見えた。

アイルランド出身のロックバンドU2は、
5枚目のアルバム『ヨシュアトュリー』によって、
ブルースやカントリーなどのアメリカのルーツ
ミュージックの影響を色濃く受けながら、
ブライアン・イーノなどのプロデューサー陣の力も
あってU2サウンドとしか言いようがない独自の
サウンドを確立。
それが大ヒットし、アメリカでの圧倒的な成功を
得ることにつながった。
カーステレオでiPodに入っていたU2を聴きながら
トラベラーズノートをアメリカで広めたいと
キャラバンイベントをしている自分たちと、
その音楽を照らし合わせていた。
もちろんレベルはぜんぜん違うんだけど、
そんなことが意図せず頭に浮かんでしまうのは、
旅の高揚感がもたらす効用なのかもしれない。

すっかり暗くなり寂しくなったアメリカの田舎道を
ホテルへ戻るために車で走りながら、
高校生の頃に出合った映画『パリ・テキサス』の
シーンを思い出し、同じく高校生の頃に出合った
アルバム『ヨシュア・トゥリー』のことを考える。
道はずっとつながっているんだなあ。


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2017年11月23日

TRAVELER'S COMPANY CARAVAN at Ace Hotel New York

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ニューヨークのAce Hotel は、昨年のイベントから
続き2回目だから、ちょっとだけ馴染みのような気分。

チェックインカウンターで名前を名乗ると、
「あ、トラベラーズカンパニーね、ようこそ!
イベント楽しみにしてるのよ」と言いながら、
裏へ何かを探しに行く。
そして、去年のイベントで作った
スパイラルリングノートを手にして戻ると、
僕らに見せてくれた。
カラフルな紙が綴じられたそのノートには、
1年間分の旅の記録が綴られていて、
ちゃんと使ってくれているのも嬉しかった。
「私も彼女からイベントのことを聞いて
ノート作るのを楽しみにしているの」
隣りに立つスタッフもそんなことを笑顔で言った。

イベント担当のベンに会うと、笑顔でがっちりと
握手をして再会を喜んだ。
また、ここにやって来たんだな。
ルー・リードが流れるホテルの広いロビーを
見回しながら、しみじみとその喜びをかみしめた。

イベントの準備は、
なぜかいつものようにちょっとしたトラブルがあって、
バタバタしながら慌ててやるんだけど、
やっぱりいつものように開始時間ギリギリでなんとか
間に合った。
ほっとしながら周りを見渡すと、イベントに足を
運んでくれたたくさんの方々が周りを囲んでいて、
僕らはびっくりしながらも嬉しくなった。

昨年のイベントにも来てくれた方、
何時間も車を走らせて来てくれた方、
びっしり書き込んだトラベラーズノートを何冊も
持ってきてくれた方、
10年前からトラべラーズノートを使っている方、
3日間毎日来てくれた方、
たまたまAce Hotel にいた方、
ニューヨークの発信基地となるようなホテルだから、
様々な人種に、様々な国から来た旅行者も
たくさんいる。

「ニューヨークに来てくれてありがとう」
みんな笑顔で僕らに言いながら、紙を選んだり、
商品を手に取ったりしてくれる。

「君のノートと同じようにしたい、リフィルの
どれとどれを手に入れればいいんだ?」
僕のトラベラーズノートを手に取り、興味深げに
見つめながら、そう言って新たにノートを買って
くれた人もいた。

Ace Hotel のスタッフに、ストンプタウンコーヒー
のスタッフも仕事中に会場の近くを通りがかると、
紙を眺めながら「後でノート作りに来るからね」と
声をかけてくれる。

夜になると、Ace Hotel のロビーはますます
賑やかになる。
あちこちでパーティーのような歓声が聞こたり、
DJによるジャズやロックが流れる。
そんなガヤガヤした中でノートを作るのも、
またニューヨークっぽいなあ、と思いながら
僕らもその空気を楽しんだ。

ニューヨークの3日間も、LA同様ほんとうに
たくさんの方が来てくれて、たくさんのノートが
作られた。さらに、自分のトラベラーズノートを
見せてくれる人もたくさんいた。
アメリカで確実にトラベラーズノートのユーザーが
増えているのを実感できたし、なにより
ノートを作ったり、自分のノートを見せてくれる時の
たくさんの笑顔を見ることができたのが嬉しかったな。
そろそろ冬が始まろうとしているニューヨークの
11月の空気は冷たかったけど、
会場はみんなの熱気に包まれていた。

今、東京に向かう飛行機の中でこのブログを書いて
いるんだけど、正直に言うと、もっとアメリカに
いたかったなあという気持ちでいっぱいだ。
もちろんアメリカにも悪い面や問題点だって
いっぱいあるけど、やっぱり自由を感じることが
できるし、来るたびに好きになっていく。
この場所で、もっとトラベラーズノートが広がって
いくと、きっとさらに楽しいことがいろいろ
はじまるんだろうな。
サンフランシスコ、サンディエゴ、ポートランド、
シカゴ、ピッツバーグ、ワシントンDCなどなど、
他の地域の人たちから、キャラバンを開催して
ほしいというメッセージをもらった。
もちろん簡単にはできないだろうけど、
いつかアメリカ中をトラベラーズワゴンで回って
キャラバンできたら楽しいだろうなあ。


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2017年11月16日

TRAVELER'S COMPANY CARAVAN at Ace Hotel DTLA

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ロサンゼルスは、11月だというのに、
カルフォルニアらしい青い空から強い太陽の光が
差し込んできて、昼間はジャケットなしで過ごせる。

ロサンゼルスの朝は、飾らないローカルなカフェで
食べるベーグルとコーヒーとともにはじまる。
卵やハムを挟んだり、ベーグルにもセサミやシナモン
などいろいろな種類があるけど、結局プレーンの
ベーグルにクリームチーズとジャムを塗ったのが
いちばん好きだ。
それを軽くてクセがないからゴクゴク飲める
アメリカンコーヒーとともに食べる。
日本で言えば、タマゴかけご飯に味噌汁の朝食みたい
なものだろうか。

朝食を終えると、Ace Hotelの屋上へ上がり、
バーのスペースの一角に荷物を広げて、
トラベラーズカンパニーのポップアップショップと、
スパイラルリングノートバイキングの準備をする。
さらに、Ace Hotelの隣にあるシアターのチケット
売り場もトラベラーズの商品に看板を並べて
ポップアップショップに衣替えする。
上に下にエレベーターで行き来してバタバタしながら
準備をしていると、トラベラーズノートを手にした
お客さまが少しずつ集まってくる。

「もうちょっと待ってね」
思わず笑顔になって話しかけながら、同時に
汗をぬぐい準備の手を早める。
11時ぎりぎりにセットが終わり、スタート。

1階、シアターチケット売り場は、まるで
ミニ・トラベラーズファクトリーみたいだ。
1950年代に建てられて今もなお現役でライブや
ショーが開催される風格あるシアターに、
トラベラーズショップが出現。LAにお店ができた
みたいな気分になる。
屋上のバーUpstairsの入り口を入って右側、
プールサイドにもポップアップショップが登場。
こちらは、LAでトラベラーズノートを販売して
くれているショップ、Baum Kuchenのオーナー、
和可子さんにサポートしてもらった。
左側には、スパイラルリングノートバイキングの
コーナー。どちらも上を見上げれば青い空が
眺められる開放的でゆったりしたスペースの会場
になった。

オープン早々プールサイドのポップアップショップは、
たくさんの人に囲まれる。
続いてスパイラルリングノートバイキングコーナーも
すぐに賑わった。

「最初に表紙を選んで、紙はこのゲージに入るまで。
リング穴は広い方が上ね。それではノート作りを
楽しんでくださいね」
最初はたどたどしかった英語での説明も、
何度も繰り返すうちに、淀みなく言えるようになった。
トレイを手に、わくわくしながら紙を選ぶ様子は、
日本で開催する時と一緒だ。

買い物が終わってノートが出来上がっても、
みんなすぐには帰らない。
バースペースだから、ビールを飲んだりしながら、
ノートを見せ合ったりして話している。
ここで初めて会った人たちがグループになって
話をしている光景もたくさんあった。
みんなトラベラーズノートが大好きで、
カルフォルニアの空の下の開放感も手伝って、
盛り上がるのが必然みたいだ。

屋上から眺める夕暮れは美しい。
映画「ラ・ラ・ランド」で見たような景色が
広がると、ノートバイキングコーナーの横に
DJブースが登場し、音楽が流れる。
ガンガン鳴らすというよりは、
モータウンやサイケデリックなど、緩やかに
のれる音がイベントを盛り上げてくれる。
プライマル・スクリームのボビー・ギレスピー
みたいなDJもレコードをターンテーブルに
のせる合間に、ノート作りを楽しんでくれた。
「紙を選んで流れを考えながら並べていくのは、
DJがレコードを選んで順番にかけていくみたいだ」
なんてことを言っていた。
紙を選ぶのに夢中になって、曲が終わったのに
気付かないのを教えてあげると、慌ててDJブースに
戻っていったのは、なんだか微笑ましかったな。

3日間イベントが続くと、Ace Hotelのスタッフも
すっかり顔なじみになって、コーヒー飲む?
と僕らのことを気遣ってくれる。
同じ場所に通うことで、僕らもここでの仕事が
ちょっとした日常のような気分になってきた。

アメリカにも、たくさんのトラベラーズノートの
ユーザーがいてくれて、イベントを楽しみして
足を運んでくれて、素敵な空間で最高の人たちと
過ごす3日間。
何が言いたいかというと、つまり最高の3日間
だったということ。
いろいろあるけど、僕らはアメリカという国と、
そこで暮らす人たちのことが今までよりに好きなり、
この場所でノートを通じて新しくてわくわくする
何かが始まりそうな素敵な予感を感じている。

Ace Hotelのフレンドリーなスタッフたち、
3日間に渡りサポートしてくれたBaum Kuchenの
和可子さん、そして足を運んくれたたくさんの皆様、
ほんとうにありがとうございます。

今、LAの余韻に浸りながら、ニューヨークへ向かう
飛行機の中でこのブログを書いています。
さて、次はニューヨーク。気温は一転して寒く
なるみたいだけど、楽しみ。
こちらにもたくさんの出会いがあるといいなあ。


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2017年11月 6日

好きこそ物の上手なれ

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先週トラベラーズファクトリーで開催した
ROSSO展に参加いただいたステンドグラス作家
n on make こと小林さんの作品に昭和プロレスと
名付けられたブローチがあった。
その名前の由来は、プロレス好きの小林さんが
かつてBI砲と呼ばれ、日本のプロレスの基礎を作った
二人、ジャイアント馬場とアントニオ猪木のタイツを
モチーフに作ったから。

一見すると、ちょっといびつなホームベース型の
赤と黒のブローチなんだけど、
馬場と猪木が並ぶ写真と一緒に見ると、馬場の赤は
少し丈が長かったり、けっこうリアルに作られていて、
もうプロレスのタイツにしか見えなくなってしまう。
でも、おしゃれな女性が普通に付ければ、
抽象的なデザインの素敵なブローチに見える。
プロレス好きはもちろん、そうでない人も
そんな楽しい仕掛けを聞くと、思わず笑顔になり
たくさんの方が手に取ってくれていた。
ブローチの裏の部分を改造したら、
プロレス好きの方にぴったりのトラベラーズノート
のチャームになりそうだ。

付加価値という言い方は、取って付けたような価値
みたいで、あんまり好きではないけれど、
モノの背後にある意味や物語が、使い手の思入れや
深い愛着を生むことはとてもよく分かるし、
実際、僕自身もそういうものに囲まれて暮らして
いたいと思っている。

例えばトラベラーズファクトリーやイベントで
皆さんのトラベラーズノートを見せてもらうと、
そこに付けられたチャームや表紙に貼ったステッカー、
ざっくり挟んだ紙片が、その持ち主にとって
特別な意味を持つことが多い。
それは自分の好きなコトやモノを示してたり、
思い出の場所で手にしたものだったり、
大切な人からもらったものだったり、
自分で一生懸命作ったものだったりする。
ダイレクトにそれが伝わる場合もあるし、
まるで自分だけに分かる秘密の暗号みたいに
さりげなく示していることもある。

トラベラーズノートに大切な何かを付けたり、
挟んだりして、毎日共に過ごすことで、
自分にとっての大事なことについて、深く考えたり、
感じたりすることは自分の暮らしを豊かにしてくれる
ことだと思う。

毎日の暮らしは、一見何でもないような些細な
出来事を繰り返しながら過ぎていく。
それをただやり過ごして生きていくこともできるけど、
そこから何を感じとれるかが大事だと思う。
例えば、ふとどこかで流れた音楽に心が揺れたら、
その音楽の曲名を調べて、CDを探してみたり、
自分と趣味が合う友人が話の中で映画をすすめたら、
時間と作って見に行ったりする。
さらに、そのアーティストの他のアルバムを聴いたり
その映画の監督が影響を受けた映画を見たりすると、
どうして感動したのか、どうして好きなのか、
自分はどんなものが好きなのかが分かってくる。
そして、それをトラベラーズノートに書いたり、
挟んだり、付けたりしながら、自分の中に蓄えていく。
それらは、毎日の生活ではあまり役に立たないかも
しれないけど、出汁をとるための昆布と鰹節みたいに
じんわりと味わいを加え、化学調味料にはない深みを
毎日に与えてくれる。

例えば、映画愛に溢れた監督によるマニアックな
オマージュが詰まった映画は、気づかれることを
目的にしているのではなく、純粋な愛情表現であり、
そのオマージュに気づかなくても、自然と溢れる
愛情と深みを感じることができる。

でも、ある時ふとオマージュに気付いたことで、
その映画への理解がさらに深まるように、
ふとしたきっかけで何かと何かがリンクして
日々の生活や仕事のなかで大きな喜びや創造を
生み出すことがある。
好きである何かにアイデアや勇気を与えられたり、
救われたりすることもたくさんある。

自分が好きなものについて笑顔で語る姿は美しいし、
その共感によって深いコミュニケーションが生まれる。
一方嫌いなことを語ったり、グチを聞いたりするのは、
楽しい時間ではないし、あまり建設的なことを
生み出さないような気がする。
もちろん時には、そういったことも必要だけど
やっぱりそれ以上に好きなことについて語り合いたい。
そういえば、ROSSO展の打ち上げでは、
お互い好きなことについて語りあえて楽しかったな。
素敵な仕事をしていたり、素敵なモノを作る人は、
好きなことをたくさん蓄えている。
もっともっと好きな何かをトラベラーズノートに
記していきたいな。

今週は、いよいよ USA キャラバンです。
僕らも好きなAce Hotel でのイベント。
同じ好きという価値観を、国境を越えて
共有できるのが楽しみです。

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2017年10月30日

ニコル・アペル氏の絵を見て思ったこと

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すでにサイトにアップしているように、
11月に Ace Hotel の LA とニューヨークで
トラベラーズカンパニーキャラバンを開催するの
だけれど、今回もイベントとあわせて Ace Hotel
とのコラボレーションアイテムを作っている。
リフィルは昨年に続きニューヨークにある
Land Galleryに所属するアーティストの作品を
使わせていただいている。
Land Galleryは、幼少時から障害を抱えた人達に
アートの才能を元にライフスキルを与えようと
活動している非営利団体のギャラリーで、
現在16名のアーティストが所属している。

今回はその中のひとり、ニコル・アペル氏の二つの
作品を元にリフィルを作っている。
ひとつは、アメリカのロードサイドによくある
ガソリンスタンドの看板やポンプが画面いっぱいに
並ぶ「ガスポンプ」という作品。
二つ目は、オイルサーディンの缶詰のラベルに混ざり、
往年のボクシング試合のポスターやチケットが並ぶ
「サーディン&ボクサー」。
ポスターの中には、
ボクシングに詳しくない僕でも聞いたことがある、
モハメド・アリが王者ジョージ・フォアマンを
劇的なKOで破り、キンシャサの奇跡と呼ばれた試合
のものある。

彼女の絵に、鳥や爬虫類、猛獣などの目の部分だけ
を切り取ったものと、ロシアの民芸品の箱が並ぶ
不思議な絵がある。これは、眼科医をしている
ロシア出身の母親のために描いたそうだ。
もちろん絵を見る者に、そのつながりなんて理解
できないから、不思議なモチーフの組み合わせに、
様々なイメージが頭に広がっていく。

今回のリフィルの絵に描かれている
ガスポンプにボクサーとオイルサーディンは、
日本人の僕らにとって、古い映画に出てくるような
アメリカの日常の暮らしを懐かしさとともに
感じさせてくれるモチーフだ。
絵を眺めていると、それらを愛するアメリカ人の
ソウルのようなものが伝わってくる。
そして同時に、自然と高揚感が沸き起こってくる。
そうだ、好きなものを好きなように描けばいいんだ。
自由でのびのびしていながら、詳細まで丁寧に
描き込まれている絵には、その対象に対する
愛情や興味、敬意が溢れている。

それに気づいて、無性に絵を描きたくなった。
小さい頃、僕はよくひとりで家でノートに絵を
描いていた。
例えば、恐竜が好きだった頃は、何ページも
図鑑から恐竜を描き写していたり、
ソニーや東芝など家中にある電気製品のロゴを
書き写したりしていた。
きっと好きなものを無心に描いていくのが
純粋に楽しかったんだろうな。
ニコル・アペル氏の絵は、あの頃抱いていた
ただ純粋に表現したいという気持ちをもう一度
思い出させてくれて、見る者にそれを掻き立てて
くれるような気がした。

小学生の頃によく描いていた恐竜をノートに
描いてみた。
あの頃は、恐竜のことが大好きで暇さえあれば
図鑑を眺めて、その特徴を調べ、彼らが生きて
動いていた世界をいつも想像していた。
そんなことはすっかり忘れてしまった今の僕が
描いた恐竜の絵は、ぼんやりした記憶の中にある
あの頃の絵と比べても、あんまりいい出来だとは
思えなかった。
だけどその分、絵を描いたり、表現したり、
作ったりする時のヒントをちょっとだけ
教えてもらったような気がした。

Ace Hotel とのコラボレーションアイテムは、
日本では12月6日より、トラベラーズファクトリー
各店で販売します。よろしくお願いします。
このリフィルに何を描こうか、今から楽しみです。


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2017年10月23日

新しいノートと『パターソン』

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雨の日曜日、
選挙の投票のために行った小学校から帰ると、
カバンの中から新しい画用紙リフィルを取り出した。
僕はトラベラーズノートの新しいノートリフィルの
封を開ける瞬間が好きだ。
パッケージから取り出されたばかりのノートは、
まるでクリーニングから戻ってきたYシャツみたいに
折り目正しくぴしっとしている。
最初のページを開くと、まずは真ん中を指で
馴染ませるようになぞって落ち着かせた。
毎週一枚描いている画用紙リフィルもこれで4冊目。
新鮮な気持ちで真っ白なページを眺めながら、
さて何を描こうかと考える。

どうしてノートに絵を描いたり、文章を書いたり
するのだろう。
仕事の備忘録だったり、打ち合わせの記録だったり、
さらに書くことでアイデアを視覚化したり、
頭の中を整理するためにノートを使うことも多い。
これらの使い方は、書くことによってトラブルを
未然に防いだり、何か問題を解決したり、効率的に
仕事をするために記しているからで、つまり書く
目的ははっきりしている。
だけど、ノートに絵を描いたり、文章を書いたり
することで、すぐに何かの役に立ったり、何かを
解決してくれる訳ではない。
それでも、これといった目的もなくノートに
絵を描いたり、コラージュする人は多いと思うし、
僕もまたちょっとワクワクしながら新しい画用紙
リフィルの封を開けて、何かを描こうとしている。

先日、トラベラーズファクトリーでライブを
開催してくれた山田稔明さんの薦めに従って、
ジム・ジャームッシュ監督の映画『パターソン』を
観に行った。

主人公は、
アメリカのパターソンという小さな街で生まれ、
そこでバスの運転手をしながら、判で押したような
日々を暮らすパターソンという名前の平凡な男。

彼には、常にノートを持ち歩き、そこに自作の詩を
書き留めるという習慣がある。
映画は、ノートに向かって、美しい言葉が連なる詩が
綴られるシーンが繰り返されながら進んいく。

その詩のことを知り、才能を認める唯一の存在である
彼の奥さんは、素晴らしい詩なんだからコピーをとって
出版社に持ち込むべきよ、なんて言うのだけど、
パターソンははにかんだ笑顔を見せるだけで、
コピーすらしようとしない。

なぜ彼は詩を書くのだろう。
有名になるため? 誰かを喜ばせるため?
そんな気持ちがまったくない訳ではないだろうけど
それが理由ではなさそうだ。
ジム・ジャームッシュの映画らしく、そこに明快な
答えが用意されている訳ではない。
その美しい詩を映画の画面の中で読む僕らは、
そんな理由はどうでもよくなり、普通の市井の人が、
目的も報酬もなく、ただ純粋に日々の生活のなかで
表現をし続けることの素晴らしさに感動をする。

詩人でもある主人公は、
仕事であるバスの運転をしていても、乗客のちょっと
した会話や、日常の風景のささいな変化にも敏感で、
そこからインスピレーションを得ながら、
日々を慈しむ心や周りの人たちへの深い愛を詩という
形で表現する。
彼の視点はまるで旅人のようで、映画のなかで
彼はいっさい旅をしていないのに、ロードムービーの
ような旅情を感じさせてくれる。

主人公は毎日ノートに詩を描くことで、
そして彼の奥さんは家の模様替えをしたり、
エキセントリックなパンケーキを発明したり、
カントリー女王を目指しギターを練習することで、
人生という旅の中で、ここではないどこかへ行こう
としている。

あまり面白くない開票速報のニュースをぼんやりと
眺めながら、新しいノートに、映画『パターソン』に
出てきた印象的な道具たちを描いてみた。
そして、訪れたことがないその土地の暮らしを想像し、
いつか旅してみたいなと思った。
何かを描くことは、僕に旅人の視点を思い出させて
くれる。

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2017年10月17日

6周年記念と『notebook song』

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始めた頃は3年後のことですら
想像もできなかったのに、
トラベラーズファクトリーがオープンして6年を
過ぎようとしている。
6年といえば、ランドセルが重そうな小学1年生が、
すっかり大きくなって声変わりなんかして小学校を
卒業する頃で、そう考えるとけっこうな年月、
続けてきたなあとも思う。
6年経ってあらためて周りを見渡してみると、
変わったこともけっこうあって、
例えば、駅前の高架下には新しいお店がいくつも
できたし、その分なくなったお店もいくつかある。
相変わらず静かであまり変わっていないように見える
トラベラーズファクトリーの近くの路地だって、
いくつかの古い建物が壊されて新築に変わっていった。
だけど、トラベラーズファクトリーの無骨な建物は、
変わらず路地裏に佇んでいる。

先週は、トラベラーズファクトリー6周年の
記念イベントということで、
山田稔明さんのライブと、アアルトコーヒー庄野さん
のカフェイベントを開催した。
これらのイベントもオープン当初から毎年欠かさず
ずっと続けてきたことで、山田さんはこの場所で
最も多くライブをしてくれたミュージシャンで、
庄野さんは最も多くイベントを開催してくれた方だ。
お二人に、またイベントに足を運んできれた皆様に
感謝します。

トラベラーズファクトリーがオープンする時、
そのお店の在り方を示すためのメッセージとして
HAVE A GOOD DAY, GOOD MUSIC,
GOOD COFFEE, AND A GOOD NOTEBOOK
というコピーを作ったけど、6年経ってもその思いは
ちっとも変わらない。
先週のイベントは、ノートと供に、素敵な音楽と
美味しいコーヒーがある場所でありたいと思っている
トラベラーズファクトリーにとってまさに6周年に
ふさわしいイベントとなった。

さらに、このイベントにあわせて、
6年間続けてきたご褒美のような作品が生まれた。
山田稔明さんのシングルCD『notebook song』だ。
その内容についてはこちらに書いたのでここでは
繰り返さないけど、音楽に救われ、音楽に憧れ、
音楽に勇気をもらい続けきた僕らにとっては
夢がまたひとつ実現したような気分だ。
山田さんがトラベラーズノートのことを歌った曲に、
ジャケットはトラベラーズのデザインをずっと
担ってきたハシモトが制作し、流山工場で活版で
印刷して作ったCDが生まれた。
僕らなりにがんばってノートを12年間作り続けて、
トラベラーズファクトリーを6年間続けてきたけど
一生懸命何かを続けていると神様からの
プレゼントって本当にあるんだなあ、なんて
昔ばなしの教訓のようなことを思った。
続けていくってことは楽しいことより辛いことの
方が多かったりするけど、本気で続けていかないと
見えない景色ってあるんだな。

ライブの打ち上げには、『notebook song』で
キーボードを演奏してくれた佐々木さんも参加して
くれて、山田さんと、CDが間に合って本当に
良かったね、と話していた。
その時にあらためて、厳しいスケジュールの中で
録音してくれたことや、マスタリングが佳境だった時、
山田さんが寝込むほどの病気で、まさに必死で
仕上げてくれたことを知った。
一方、ハシモトだって遅くまで残って最高の
デザインを仕上げたし、流山工場のスタッフも
厳しいスケジュールの中で面倒な活版印刷で
味のある風合いを活かしたジャケットを仕上げて
くれた。
正直に言えば僕は大したことはやっていないけど
みんながギリギリに追い込まれた中で、プロの仕事
で仕上げた僕らにとっては最高の作品で、そこに
少しでも関われたことも嬉しい。
ちゃっかりジャケットの裏のスペシャルサンクスに
掲載してもらった自分の名前が誇らしい。

山田さんはじめ、このCDの制作に関わってくれた
すべての方々に感謝の気持ちでいっぱいです。
そして、トラベラーズノートを使ってくれて、
トラベラーズファクトリーに足を運んでくれた
すべての方々に聴いてほしい名曲です。
現在中目黒で発売中で、10月19日より東京駅と
成田空港のトラベラーズファクトリーでも発売。
さらにその後オンラインショップでも発売します。

話は変わりますが、現在トラベラーズファクトリー
では、スタッフを募集しています。
こちらに仕事のことなどを掲載してもらっている
ので、興味のある方はぜひごらんください。
本気長く続けていきたい方と出会えるといいなと
思っています。


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2017年10月10日

チェンマイで学んだこと

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今、バンコクから日本へ帰る飛行機の中で
この日記を書いている。
バンコク発成田行きのタイ航空676便は、
朝6時50分にバンコク・スワンナプーム空港を
出発した。
そのためホテルを出たのは朝5時の夜明け前。
まだ外は真っ暗だった。
飛行機に乗るといつも楽しみにしている映画も
見ないでしばらく眠っていたけど、
だいぶ眠気も取れてきた。
飛行機は、今台湾上空を過ぎたところだ。

今回の旅の目的は、もちろんチェンマイにある
トラベラーズノートの革カバーを作る工場を
訪れること。最近は、いろいろなタイミングが
重なり、秋に訪れることが多い。

ちょうどこの時期のチェンマイは雨期にあたる。
雨なんてまったく降るように見えない青空が、
突如雲に覆われると、滝のような雨を降らせる。
ひどい時には道路が川のようになってしまうくらい
降るけど、それも長くても1時間程度で、
しばらくすると雨は上がり、さっきまでの雨は嘘
だったようにまた青空になる。
この季節には、ほぼ毎日こんな天気が続く。
雨は、ある人にとっては仕事を中断させる小休止
となり、ある人にとってはその日に片付けようと
思っていたちょっとした何かを諦める理由になる。
さらに、雨は一時的な冷却装置となって涼しさを
人々にもたらし、豊かな収穫の源にもなる。

激しいスコールを眺めながら、この雨もまた
チェンマイの人たちが持つ、温かく穏やかな人柄に
大きな影響を与えているんだろうなと思った。

今回もこのチェンマイで、工場のオーナー夫妻と
打ち合わせをしながら、新しいプロダクトをいくつか
作り上げていった。
出張前に依頼していたサンプルを確認し、
不具合がないか、より良いものにできないか、
お互いに意見を出しながらチェックしていく。
そして、いくつかの修正点を決めると工房で
作り直してもらい、再びチェック。
それを何度か繰り返しながら最終形へと仕上げていく。
もちろんメールと国際宅急便で同じことをすることも
多いけど、現地の方がスピードも速いし、
加工現場を確認しながらオーナー夫妻と話をしたり、
さらにチェンマイの空気を感じながら進めることで、
よりトラベラーズらしいプロダクトになるような
気がする。

僕らはプロダクトから滲み出るような空気感とか、
佇まいを大切にしている。
それは、デザインやコンセプトだけではなく、
生産現場となる場所の雰囲気やその土地の空気も
影響を与えながら、自然と形成されていくものだと
思っている。

トラベラーズノートが生まれたきっかけの一つは、
このチェンマイの人たちとその土地に魅了され、
その空気を感じられるプロダクトを作りたかった
からでもある。

チェンマイ最後の夜は、オーナー夫妻と食事を
しながら、トラベラーズノートが生まれた時の話で
盛り上がった。

それは彼らにとっても新しい試みだったから
大変なことも多かったけど、何年か続けることで
仕事を楽しむということが分かったような気がする、
と話してくれた。
それは僕らにとってもまったく同じことで、
彼らと仕事をすることで、チェンマイの自然や文化、
さらに彼らのパーソナリティーからも、様々なことを
学んだ。

仕事と暮らしにはっきりした境界線を引かず、
趣味や家族との遊びすらも仕事に結びつけて、
それぞれに喜びと楽しみを生み出していくこと。
自分たちの生まれた土地に愛情と誇りを持ち、
その土地だからできることを強みにすること。
思いついたらすぐに手を動かし形にすること。
そんなものづくりの考え方は、トラベラーズらしさへ
繋がっていった。

約15年前にタイで知り合い、それからお互いの
仕事や人生に大きな影響を与えながら関係性を深め、
今もまたこれからのお互いの夢についてワクワク
しながら話をしている。
チェンマイに来ると、僕らはいつも初心を思い出し、
同時に未来への夢が浮かんでくる。
チェンマイには僕らにとって大切なことがたくさん
詰まっている。

アナウンスによると、そろそろ飛行機は
着陸態勢になるそうだ。
CAがテーブルをたたむよう声をかけてきた。

さて、チェンマイから戻り、今週末には、
トラベラーズファクトリー6周年記念のイベント。
10月14日んは山田さんのライブ、15日にはアアルト
コーヒー庄野さんのカフェイベントにコーヒー教室が
開催されます。
コーヒーの淹れ方から、豆や深さによる味の違いなど
わかりやすくお話ししてくれます。
さらに庄野さんの新刊『コーヒーと随筆』のことも
お話ししてくれます。
そういえば、庄野さんもコーヒーを通じて、
チェンマイの工房オーナーのように僕らに仕事に
対する向かい方からものづくり、お店造りに大きな
影響を与えてくれた仲間の一人。まだ席に余裕が
あるので皆様の参加をお待ちしています。
詳細はこちらをご覧ください。>>>


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店長のプロフィール

(株)デザインフィルでトラベラーズノートの企画を担当している飯島です。