2017年3月21日

Stand By TRAVELER'S notebook

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去年の12月、アメリカ西海岸の
サンフランシスコからLAまでを車で移動の際、
オリーブエディションが似合う風景がないかと、
探していた。ウェブで紹介する時に使う写真が
欲しいと思っていたのだ。
ハイウェイを何度か降りてみたけど、それほど時間に
余裕がなかったので、あまり遠くに行くことができず、
最初に予定していた深い森での撮影は諦めざるを
得ないことに気づいた。
そんな中、突然海が見えてきて、海岸線の美しさに
惹かれて車を止めた。
車を降りてしばらく歩いてみると、緑が生える
切り立つような崖のワイルドな海岸が見付かった。
さらにその海岸には単線の線路が続き、崖の崖の間には
錆びついた鉄橋が通っていた。
僕らは、最初に思い描いていたイメージとは違うけど
オリーブエディションにぴったりの風景だと思った。
早速、みんなで線路にノートを置いたり、鉄橋の上を
緊張しながら歩いたりして、写真を撮った。

鉄橋の上に立つと、映画『スタンド・バイ・ミー』
を思い出した。
ベン・E・キングのテーマソングが鳴る中で、
少年たちが線路を歩いていく、あのシーンが頭に
浮かんだ。

汽車に轢かれそうになりながら鉄橋を渡って
森に入り、沼でヒルにかまれたり、野宿をしたり
しながらの、死体探しの冒険の旅。
将来への不安や家族や先生への不信、
コンプレックスとプライドが入り混じる思春期特有
の不安定な精神状態、それゆえに深い結びつきが
生まれている仲間たちとの旅。

映画のような風景でトラベラーズノートを撮影
していると、映画が、大人になり小説家となった
主人公による少年時代の回想で始まるように、
かつての旅の記憶が蘇ってくるような気がした。
そして、僕らがいる今現在もまた、あの頃から
ずっと続く旅の途中のような気分になっていた。
少年時代の友情、秘密基地、初めてのナイフ、
家出願望、森の中での野宿、少年時代に誰もが
きっと心に持っていた冒険の旅への憧れ。

そんなイメージが頭に浮かび、甘酸っぱくて切ない
懐かしさと同時に、新しい旅をはじめる勇気が
わいてくるような気がした。

さて、いよいよあと少しでトラベラーズノートの
オリーブエディションやブラス万年筆などが発売。
毎年のことながら、この瞬間には、新しい仲間たちが
皆さんにどんな風に受け止めてもらえるのか、
緊張感とワクワクがまざった複雑な気持ちになる。

2006年に発売して以来トラベラーズノートや
その仲間たちは、毎年3月に新しいプロダクトを
リリースするというのを繰り返している。
規則正しく年中行事のように、10年間生真面目に
それを繰り返してきた。

最初にトラベラーズノートが発売された2006年。
発売直後に、銀座の伊東屋さんに行って、きれいに
作っていただいていた売り場を眺めながら、
やっぱり嬉しさと緊張がまざった複雑な気持ちに
なっていた。

あれから11年が経つけど、いつまでたっても、
この気分はあまり変わらない。
むしろ、今はトラベラーズファクトリーがあり、
さらにみんなの投稿やインスタグラムなどで、
世界中の方々のその反応を聞いたり、見たり
できるから、嬉しさもドキドキもより大きく
なっているような気もする。

新しい仲間たちが、皆様にとってワクワクする
ものであり、新しい旅をはじめる勇気を与えて
くれるものであることを願っています。
それでは、よい旅を!


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2017年3月13日

Trip Into The Wild with Olive Edition!

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3月24日の発売に向けて、現在流山工場では
トラベラーズノート オリーブエディションの
最終のセット作業の真っ最中。
皆様のもとに旅立つ準備も佳境に入っている。

先月から、サンプルとしてできあがったオリーブ
エディションをいち早く使っているんだけど、
なかなか良い感じ。
いつも持ち歩くトラベラーズノートの色が変わる
だけで、気分も変わるのが不思議だ。

例えば、あたらしいジャケットを手に入れる時、
形が決まって色をどれにしようか考える場合、
好みの色とか自分に似合うとか、そんなことを
思って選ぶけど、同時に、それを着た時の気分や
シーンを想像する。

ネイビーのジャケットだったら、夜のニューヨーク
の路地裏で、ポケットに手を突っ込んで歩いている
姿だったり、キャメルカラーだったら、
長距離バスを乗り継いでたどり着いた砂漠の
オアシスを目的もなく歩き回っている姿だったり、
オリーブだったら、朝もやに包まれた森の中の
キャンプサイトでコーヒーを飲んでいる姿だったり、
ふと頭にそんなイメージが浮かんでくることがある。
それが現実的かどうかはあまり関係なくて、
そんなシーンをイメージできると映画や小説の
登場人物になったみたいでワクワクする。
僕らは、ジャケットを手にれる時に、温かさや
着心地、ファッション性などと同時に、
そんな気分を手に入れている。

トラベラーズノート オリーブエディションを手に
して浮かんだイメージは、Trip Into The Wild。
ジョン・クラカワーの『荒野へ』を原作にした
映画『Into The Wild』で、主人公が放浪の果てに
たどり着いたアラスカを旅する姿だった。
僕は、アラスカにはまだ行ったことがないけど、
かつて、アラスカを舞台にした野田知佑や星野道夫
の本をわくわくしながら読んだ記憶が蘇ってきた。
気高く美しく、優しさと温かさに満ちていながら、
同時に厳しく冷酷な原生林の荒野を1冊のノートを
手に歩く。
オリーブエディションは、そんなイメージを頭に
呼び起こしてくれた。

正直に言うと、トラベラーズノートの新しい色
として、オリーブの色味を詰めていた時には、
そんなイメージは浮かんでいなかった。
ただ、トラベラーズノートらしい色という曖昧な
イメージを追求しながら試作を繰り返して、
やっと完成した時には、これでトラベラーズノート
としての理想的な色になったと自然に思えた。
でも、こうやって形になったノートを手にして、
ひとつの旅のイメージが頭に浮かんだ時、その時
の思いが確信に変わった。
僕はこのノートを手にしてまた新しい旅に向かい
たいと思った。

でも、アラスカにはそう簡単には行けないから、
まずは久しぶりに『荒野へ』を再読している。
ルー・リードが『ワイルドサイドを歩け』と
歌っているように、荒野はアラスカだけでなく、
街にもあるし、日常のなかにもある。
トラベラーズノート オリーブエディションを
手にしたことで、善人未踏の荒野を歩く勇気が
わいてくるような気がしている。

オリーブエディションと一緒に使ってみたい
オリーブカラーの道具をいろいろ集めてみると
さらに気分は高まってわくわくする。
いつかこれらの道具とともに、ほんとうに
アラスカの荒野を旅できたらいいな。

話変わって、3月17日~20日までトラベラーズ
ファクトリーで春の恒例イベントBAG&SHIRTS
を開催します。
今年のテーマはカスタマイズということで、
AIRROOM PRODUCTSさんは、ヴィンテージの
ボタンをいろいろ用意してくれます。例えば、
袖のボタンを変えるだけで、気分も変わります。
Ko'da-Styleさんは、トラベラーズノートの革で
バッグに取り付けられるキーホルダーを作って
くれました。
暖かくなったらオリーブエディションとともに、
出かけたいシャツとバッグを探しに、ぜひ
遊びに来てください!


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2017年3月 6日

TRAVELER'S TRAIN

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トラベラーズトレインと呼ばれる列車が
どこかにあるらしい。
それはトラベラーズステーションから不定期に
出発する寝台夜行列車なんだけど、時刻表には
載っていないので、いつどこへ向かって出発する
のかは誰もはっきり分からない。

蒸気機関車が引っ張るから、速度はずいぶん
ゆっくりで、一度乗車すると何度も車内で夜を
過ごさないとならないようだ。
だけど、古い木造列車をカスタマイズして
作られた客車は、不思議に居心地が良くて
それも苦にならない。

歩くとミシミシと音が鳴る木の床は、毎日丁寧に
磨かれているから美しく黒光りしているし、
革張りのシートは、たくさんの人の重みを受け
止めてきた歴史を感じる。
夜になると乗務員がシートを倒してシーツを
かけてくると、快適なベッドになる。

食堂車に足を運べば、丁寧に作られた素朴で
おいしい食事がいただける。
トラベラーズブレッドと呼ばれるナンのような
パンが主食で、そこに肉団子やカレー、蜂蜜などを
のせてその日の気分でカスタマイズして食べる、
異国情緒を感じさせるのに、どこか懐かしい味が
する料理だ。
材料は途中の駅で仕入れているから新鮮だし、
旅情を感じることもできる。
大きめのマグで出されるコーヒー、トラベラーズ
ブレンドを飲みながら、みんなゆっくり食事を
楽しんでいる。

トラベラーズトレインには、コンテナのような
貨物列車が連結されていて、普段は荷物を運んで
いるんだけど、途中の駅で荷物がおろされて空に
なると、ライブなどのイベントを開催してくれる。
アコースティックギターの弾き語りやハープの
演奏、変わったところではノートを作るイベント
などさまざまな催しが行われていて、
乗客はそれをけっこう楽しみにしている。
また、荷物を積んでいる時には、かなりの確率で
無賃乗車の旅人がそこに潜んでいるらしいけど、
どうも車掌はそれを黙認しているらしい。

本をたくさん積んだライブラリー車両もあって、
乗客は自由に本を読むことができるし、
そこで誰かに手紙を書いたり、ノートに何かを
書き込んだりしながら思い思いに旅の時間を
楽しんでいるようだ。

乗客はどこに向かって走っているのか、
いつ目的地に着くのか、よく分かっていない。
車窓からの風景は、毎日同じ場所を巡っている
ようにも見えるし、はじめて見る景色のようにも
見える。時には、海上を一直線に走っていたり、
星空に囲まれた宇宙空間を走ることもある、
そんなことがまことしやかに乗客の間で話されて
いる。

トラベラーズトレインの切符は、今ではちょっと
珍しい厚い紙に活版で印刷された硬券の切符で、
席に着くとカイゼル髭をはやした不思議な風貌の
車掌がパチンとハサミを入れてくれる。
だけど、この切符をどうやって手に入れることが
できるのかは、誰も知らない。
そこにはもちろん行き先も書かれていないけど、
乗客は、旅を続けていくうちに、降りるべき駅を
自然と見つけるらしい。
やるべきこと、会うべき人、帰るべき場所がふと
頭に浮かびその駅に着くと、列車はホームに停車し、
ひっそりと乗客をおろしてくれる。

トラベラーズトレインについての噂はいろいろ
あるみたいだけど、鉄道年鑑には記録がないし、
鉄道雑誌で特集されることもないので、
詳しいことは誰も知らない。

話変わって、10周年記念キャンペーンの
ポストカード、世界中からたくさん届いています。
少しずつ目を通していますが、温かいメッセージが
たくさんで、トラベラーズノートが多くの方々に
愛されているのをあらためて実感しています。
現在集計中ですので、抽選と賞品の発送までは
しばらくお待ちください。


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2017年2月27日

No Border

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ちょっと抽象的な言い方になってしまうんだけど
トラベラーズノートを手にしてから、
僕らのまわりにあったボーダーのようなものが、
なくなってきたような気がする。

例えば、そのひとつは業界の枠組みのようなもの。
もともと僕らの作る商品は、文房具業界の中で
メーカーという立場で作られ販売されてきたけれど、
最近、その枠組みはずいぶんぼんやりとしてきた。
トラベラーズノートを一緒に作っている仲間や、
トラベラーズファクトリーでイベントをしたり、
販売させてもらっている仲間には、全く違う業界で
生きている人たちがたくさんいる。

もっと細かいことを言えば、以前は商品の
企画やデザイン、生産管理など、僕らの仕事は
ものづくりに関わることだけだった。
だけどトラベラーズノートを作った時、その
ウェブサイトを作ろうと思ったことからはじまり、
文章を書いたり写真を撮ったり、さらにイベントで
空間を作り、仕入れや接客もして、仕事の枠組みが
どんどん広がっていき、店舗運営の経験もない中で、
手探りでトラベラーズファクトリーを作った。
また、このブログもそうだけど、プライベートと
仕事のボーダーもずいぶん曖昧になっている。

本来の意味である国境も簡単に飛び越えることが
できるようになった。
世界中でたくさんのトラベラーズノートユーザーが
ウェブサイトやSNSで日々発信する情報をチェック
してくれているし、僕らもまた、彼らがアップする
写真をたくさん見ることができる。
実際に会うために海外でイベントも行っている。

それは僕らの仕事に限ったことでなく、
メーカーが直営店を持ったり、小売店がオリジナル
商品を作ったりすることはもう当たり前のことだし、
業界や国境を越えて、モノを販売することだって、
規模の大小に関わらず当然のように行われている。
作ったモノや使ってくれる人たちに真摯に向かい
合えばそうなるのは必然だし、世の中の潮流
なんだろうと思う。

インターネットの出現によって情報を得たり、
発信することに、既得権や大きな投資が必要では
なくなってきたことや、流通のグローバル化が
進んできたことなど、理由は様々だと思うけど、
世の中のボーダーはどんどん曖昧になっている。
きっと高い壁を作ってもその流れは止められない。

僕が大学生になって、バックパッカーとして
海外を歩くようになって、しみじみと思ったのは、
やっぱり自分は日本人だなあということで、
日本の自然や文化の良さについてあらためて
気付かされたし、いい意味でも悪い意味でも自分が
日本人の気質みたいなものを持っていることを
身にしみて感じた。

それと同じように、僕らがトラベラーズノートを手に
ボーダーを越えていこうとする時に思うのは、
僕らの中心にあるのは、トラベラーズノートを作る
ノート屋であるということだ。
そこに僕らの存在価値があり、その世界を広げていく
ことができる無限の可能性を感じる。

例えば、3月に発売するブラス万年筆は、世の中に
ある多種多様の万年筆のなかで、決して最高のもので
あるなんて思ってはいない。
だけど、トラベラーズノートと一緒に使う万年筆
としては最高だと思っている。
それだったら、トラベラーズノートを作り続けている
経験を持つ僕らだからこそ、万年筆作りに長い経験を
持つパートナーと出会うことで実現可能なことだと
思っている。
それと同じように、トラベラーズファクトリーは、
トラベラーズノートのための最高の空間だと信じている。

4月27日にオープンするトラベラーズファクトリー
ステーションの準備も佳境に入りつつあるけど、
その時にまず考えるには、東京駅という場所に、
トラベラーズノートの空間ができた時にどんな世界が
そこにできたら楽しいだろうか、ということだ。

そして、これらの新しい商品や場所が、また僕らに
ボーダーを越えるきっかけを与えてくれている。
ボーダーを越えるような旅には危険がつきもので、
不安や緊張もあるんだけど、それ以上に僕らは
ワクワクしながら、それを楽しんでいる。

先日、情報をアップしたことで、できたばかりの
オリーブエディションを最近使い始めたんだけど、
それだけで気分が少し変わり、あたらしい冒険の旅
に向かっていく勇気がわいてくるような気がする。
ぜひ、皆さんにもそんな気分を味わっていただけたら
嬉しいです。


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2017年2月20日

僕らが欲しかった万年筆

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僕にとっての万年筆との出会いは、中学生の
入学祝いで両親からもらったのが最初だった。
当時はまだそんな習慣がぎりぎり残っていて、
万年筆も腕時計や革靴みたいに大人になるための
通過儀礼のような道具のひとつで、
入学や卒業祝いにあげるモノの定番だった。

手に入れると、早速カートリッジインクを
差し込んだり、紙にインクを垂らしたりして、
ちょっと大人になった気分でワクワクしながら
その新しい道具を使ってみた。
だけど、中学生にとって万年筆が必要なシーンは
ほとんどなく、いつからか引き出しの奥に
しまわれて、その存在を忘れるとともにどこかに
なくなってしまった。

その後、万年筆をまた使ってみようと思ったのは
ちょうど10年前のトラベラーズノート発売時。
そのアナログな質感に万年筆が似合うと思って
土橋さんがすすめてくれたラミーのアルスターを
手に入れた。
それからは、お気に入りのデザインを見つけると
何本か購入し使っていたんだけど、どれも安価な
ものばかりでずっと使い続けるまでには至らず、
それほど熱心な万年筆ユーザーにはなれなかった。
ただ、手紙やお礼状などを書く際には、やっぱり
ちゃんとした万年筆で書きたいなと思い、数年前、
思い切ってペリカンのスーベレーンを購入。
書き味はもちろん、手にした時の存在感も
素晴らしくて、手紙などを書く時のためにいつも
ペンケースに忍ばせている。
だけどトラベラーズノートのペンホルダーに付けて
ふと思い付いたことを書き留めるには、ちょっと
大げさ過ぎるような気がした。

3月、トラベラーズノートの仲間、
ブラスプロダクトに万年筆が登場する。
トラベラーズノートにしっくりくる万年筆が
ずっと欲しかった僕らにとって、2010年に
ブラスプロダクトをリリースして以来、万年筆を
そのラインアップに加えることは念願だった。

トラベラーズノートのペンホルダーにざっくりと
差し込んだり、ポケットにそのまま放り込んだり
して、いつでもどこでも気軽に持ち歩き使える。
ちょっとした傷はあまり気にならず、むしろ
それが味と思えるような、タフでガシガシと使える、
使い勝手の良い職人の道具のような佇まい。
高級品ではなく、かといって壊れやすい安物でもない、
シンプルだけど丁寧に作られた上質な日用品のような
使い心地。
毎日使うことで愛着がより深まり、人生の旅の相棒
として永く使い続けたくなる。
目指したのは、そんな万年筆だ。

だけど、それは簡単なことではなく、構想から
形になるまでずいぶんと時間が経ってしまった。
それを可能してくれたのは、100年以上前からペンを
作り続けている日本のある工場との出会いだった。
職人や技術者たちがコンマ単位で調整した精密機械の
ようなパーツを設計からサンプル作成を何度も
繰り返してくれて、やっと形になった。
手にした時の質感、書き味、キャップが閉まる時の
カチっと鳴る音、そして無垢の真鍮の佇まい。
最終サンプルができた時には、僕らがずっと欲しかった
僕らにとっての理想的な万年筆が生まれたのを実感する
ことができた。
僕はその最終サンプルを2週間ほど使っているけど、
とても気に入っている。
真鍮の色がいい感じに味が出てきて、書くことが
また少し楽しくなったような気がする。

それぞれの仕事場や静かな書斎のデスクはもちろん、
空港のラウンジや長距離電車の中、旅先のカフェで、
さらにアウトドアのキャンプサイトや、安宿のベッド
の上でも、ふと何か思い付き、書き留めるのに
使ってほしい、そんな万年筆です。
あと1ヶ月と少しで店頭にも並ぶと思いますので、
ぜひ、手にとってみてください。


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2017年2月13日

東京駅からはじまる新しい旅

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たまの出張で、東京駅へ行き新幹線に乗ると、
今でもちょっとわくわくする。
朝から駅弁を買って、西に向かう時なら
横浜を過ぎたあたりで食べ始め、車窓から
富士山が見える頃に、車内販売のコーヒーを飲む。
そして、文庫本を開いてのんびりページをめくる。
そんなことを想像して、弁当は何しようかとか、
持っていく本を選んだりするのもまた楽しい。

ふと窓の外を見ると、海が広がっていたり、
一面雪景色になっていたりして、そんな時は
本を読むのを休んで、しばらく車窓を眺める。
到着駅についてホームに降りると、体に感じる
空気の温度や匂いが新鮮で、やって来たなあ、
としみじみ感慨にふけるのもいい。

学生の頃によく利用した青春18切符での旅も
いいなあ。
何度も乗り換えなければいけないけれど、
その分、それぞれの土地の空気を感じられるし、
通勤や通学などで利用する乗客たちの言葉が
だんだん変化していくのも楽しい。
気が向けば、予定を変更して訪れたことがない
町を歩くことだってできる。
夜になって住む人の少ない路線を走っていると、
だんだんと乗客も減って、車窓からはぽつん
ぽつんと見える家の光をながめている時の
うら寂しい気分も好きだ。

寅さんが、家族と喧嘩をしたり、ふられたり
すると、トランク片手に家を出て、駅に向かう。
僕はそんなシーンを見ると、切なくなるのと
同時に、ほのかな憧憬の念を抱いてしまう。

海外で電車に乗る時は、なおさら高揚する。
インドの混沌とした寝台列車、バンコク発
チェンマイ行きの個室寝台。夜の闇のなかを
疾走するミッドナイトエクスプレス......。
スピードや便利さ、価格などでは、飛行機や
高速バスに比べると劣ることも多いけれど、
やっぱり電車や駅には、旅情をかきたてる
特別なものがある。

先週末にすでにこちらでお知らせしていますが、
今年4月27日に東京駅のグランスタ丸の内に、
トラベラーズファクトリー ステーションを
オープンします。
ゆっくりページをめくる時間を持てる電車の
旅は、トラベラーズノートとの相性もぴったり。
このあたらしい場所を起点にどんなノートとの
旅がはじまるのか、僕らも今から楽しみです。
栄光に向かって走るあの列車に乗って行こう、
なんてフレーズが頭のなかをぐるぐる巡って
いるのです。
まさにこれからその準備が本格的にはじまるの
ですが、皆さまも楽しみにしていただければ
嬉しいです。

話変わって、2月14日のバレンタインデーに
トラベラーズノートと仲間のあたらしい
ラインアップをトラベラーズカンパニー
オフィシャルサイト
にてお知らせします。
こちらもぜひ楽しみにしてください。


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2017年2月 6日

Born To Run

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先日のイベントの打ち上げで、
シンガーソングライターの山田さんが
最近出版されたブルース・スプリングスティーンの
自伝が面白いと話をしていて、そういえば、
アメリカでも本屋でその本が平積みされていたのを
思い出して、読んでみることにした。

ブルース・スプリングスティーンといえば、
出会いはやはり僕が中学生の頃に大ヒットした
『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』。だけど、
本当の意味で彼の音楽にはまっていったのは、
その次にリリースされたレコード5枚組のライブ
アルバムだった。毎週のように通っていた
錦糸町の貸レコード屋、友&愛でそのレコードを
見つけて借りることにしたのは、その物量に対して
レンタル代がお得だと思ったからのような気がする。
そんな理由はともかく僕はこのライブ盤を何度も
聴くうちに、スプリングスティーンの放つ
ロックンロールマジックにすっかりノックアウト
されて、彼がそれ以前にリリースしたアルバムを
一枚ずつ、友&愛で借りていった。
(まだ高校生だったからね)

ブルース・スプリングスティーンの自伝は、
ちょうど上巻を読み終えたところ。
幼少期からはじまり、ロックに目覚めギターを
手にし、バンドを組んでライブを重ねていく場面を
経ながら、『ボーン・トゥ・ラン』で成功を手に
するまでを中心に描かれている。
だけど、ロックスターのサクセスストーリー
というより、悩み傷付きながら自分なりの表現を
手にしていくまでの軌跡が生生しく綴られている。
そこで何よりも感じるのは彼のロックへ向かう
真摯な姿勢と深い愛情だ。

読みながら、僕もロックに何度も救われてきた
ことを思い出した。
自分が何者か分からず、周囲に馴染めず、
間違った場所にいるように感じていた思春期。
ロックが、孤独な日々をやり過ごす勇気を
与えてくれた。

バンドを組んでギターを手にして歌うことで、
自分にも何かができるかもしれないと思うことが
できたし、メンバーとグルーブを体感することで、
同じ思いを共有できる仲間と一緒に何かを作ること
の喜びを教えてもらった。
それは孤独で内向的だった僕を大きく変えて、
世の中に向かっていく力を与えてくれた。

さらに、トラベラーズノートを作る時には、
ロックが僕らにヒントを与え、目標となった。
ロックがかつての僕の心を触発し、生きていく
勇気を与えてくれたように、僕らが作ったものも、
わずかでも誰かに勇気や希望を与えられるかも
しれない。
それを本気で信じることで、仕事のやり方が
大きく変わっていった。ロックを奏でるように
プロダクトを作り、ライブをやるようにイベントを
行い、お店を作った。

この本のなかで、スプリングスティーンは、
ラジオからはじめて自分の曲が流れてきた時の
ことを、興奮気味に語っている。
かつて15歳の彼がラジオから流れるボブ・ディラン
の音楽に触発され、心を呼び覚ましてくれたように、
自らも同じ旗を立てる誰かを触発している。
そんな栄光の連鎖のひとつになれたのだと実感した
と語っている。
ちょっと夢みたいなことかもしれないけど、
僕らもいつかそんなことを実感したくて、
ノートを作っているのかもしれない。


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2017年1月30日

魅惑のオリーブ

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どうでもいい話だけど、オリーブの塩漬けが好き。
イタリア料理やスペイン料理などで付け合わせで
よく出てくるあの緑や黒の小さな果実。
見かけるようになったのは、大人になってからで、
子供の頃はその存在すら知らなかったし、
きっと最初に見かけた時は、なんだこいつは?
と思いながら無理して食べて、結局なにがおいしい
のかよく分からなかったような気がする。
だけどスペインを旅した時に、なにかにつけて
これが出てきて、なんとなく食べているうちに、
すっかりその味が癖になって、好きになっていった。

ピーマンとかミョウガのように、子供の頃には
嫌いだった食べ物のおいしさに、大人になって、
ふと気付いた時もそうだけど、
ぜんぜん聞き取れなかった英語の会話の意味が
ぼんやり分かった時や、うるさいだけだったロックの
ビートの気持ち良さにはじめて気づいた時みたいに、
自分の世界が広がった気分になり嬉しくなった。

それからは日本に帰ってからも、たまに
ディーン&デルーカとかで、詰め合わせの
オリーブを見つけると買って帰り、パクパクと
何個も食べてしまう。

オリーブの塩漬けは、きっと日本でいえば、
たくあんとか梅干しみたいな存在で、海外でそれを
食べると、きっと日本のことを思い出すように、
オリーブの実を食べることで、スペインの照りつける
日差しやバルの匂いを思い出して、ちょっとした
旅気分を味わったりもしている。

なんとなくオリーブについて調べてみると、
古代ギリシャの繁栄に、当時貴重だったオリーブの
栽培が大きな影響を及ぼしていて、そのことから
ギリシャ神話や聖書には、富や勝利、平和の象徴
としてオリーブが登場しているそうだ。
黄金色をしたオリーブオイルは、いかにもそんな
例えにされそうな色だし、ヨーロッパの硬めのパンを
オリーブオイルに浸して食べるとおいしいもんね。
3月15日には、オリーブの日というのもあるそうで、
個人的なオリーブブームはしばらく続きそうなのです。


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2017年1月23日

好きなものは好きだと言おう

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先週土曜日のトラベラーズファクトリーでは、
アアルトコーヒーの庄野さんが来てくれて、
昼間はカフェイベント、夜はコーヒー教室&
ブックトークを開催。

カフェイベントでは、吉祥寺のカレー屋、
ピワンさんとアアルトコーヒーのカフェ14gに
よるコラボカレーパンが登場。
これがもう絶品で、カレーパンの概念が変わる
ような味だった。
スパイスの効いた深みのあるカレーに、素材の
あまみを感じるパンの味......、思い出したら
また食べたくなってきたなあ。
カレーパンは早々と売れ切れてしまって、それを
お目当てに来ていただいた方にはとても残念な
思いをさせてしまったし、なによりおいしいので
いつかまた皆様に届ける機会を持ちたいな。

そして、夜はコーヒー教室&ブックトーク。
前半には、庄野さんのコーヒー教室を行い、
後半は庄野さんと僕で、庄野さんのあたらしい本
『コーヒーと小説』のことを中心にお話しする
トークイベントを行った。

実は、シンガーソングライターの山田稔明さんが
たまたまギターを持って遊びに来ていて、急遽、
飛び入りで歌ってくれることになった。
コーヒー教室とブックトークの合間に、
トラベラーズノートのために作ってくれた
『notebook Song』と、14gのために作った
『my favorite things』の2曲を演奏してくれた。

思いがけずスペシャルなイベントとなり、
その後のトークイベントで、僕は思わず
トラベラーズブレンドや『notebook Song』が
生まれたいきさつを話した。
どちらも僕らが憧れ好きなものを作る人に気持ちを
伝えることから生まれたもので、庄野さんも、
やっぱり好きなものは好きだと言う方がいい、と
言った。
そういえば、山田さんが歌った『notebook song』
には、ノートに詰まった好きなものがいくつも
登場してくるし、『my favorite things』はその
曲名のとおり、朝のコーヒーからはじまる好きな
ことを綴った歌だ。

『コーヒーと小説』もまた、小説好きの庄野さんが
純粋に面白い話だから読んでほしいと10編の小説を
選んだ本。
イベント前に再度読み返すと、その小説の多くに
登場する女性がしたたかで魅力的であるのと同時に、
男はいじいじ悩んでばかりでなんともだらしない。
トークショーでは、庄野さんも僕と同じように、
もともとは好きなものを素直に好きだと胸を張って
言うことができないひねくれもので、ネガティブで
悩んでばかりだったということがわかった。
だから、そんな登場人物にシンパシーを感じるの
かもしれない。
素直に好きだと言うことができるようになったのは
大人になってからだけど、そのおかげで素敵な仲間と
出会えたし、 さらに美味しいコーヒーやパンに
素晴らしい音楽が僕らの基地、
トラベラーズファクトリーに集まって、お客様と
ともに楽しむことができたんだ。
その喜び実感できる素敵な1日になった。

トークイベントでは、おみやげとして、僕が本に
ついて書いた文章と絵をまとめたZINE、
TRAVELER'S DIARIES about Booksを参加して
くれた方々に配った。
サンフランシスコのお店で、Zineが壁一面に並ぶ
姿に感動して、急遽作ってみたんだけど、ハシモトが
素敵な表紙をつけてくれて、思いのほかいい感じに
できあがったので、もうすこしページを増やして、
また作ってみたいなと思っている。


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2017年1月16日

おいしいコーヒーを飲もう

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先月のアメリカへの旅では、いろいろな場所で
コーヒーを飲んだ。
以前と比べると、アメリカでもエスプレッソを
出してくれるカフェが増えたけど、
普通のダイナーやグロサリー、ホテルの朝食で
飲むコーヒーは、まさにアメリカンコーヒーと
言いたくなるような、薄めのすっきりした味の
コーヒーが多い。
これを飲むと、アメリカにいるなあと、
しみじみと思うことができる。

映画『バグダッド・カフェ』の冒頭シーンを
思い出す。
ラスベガスとロサンゼルスを結ぶ砂漠地帯に
あるモーテル兼カフェ。
なぜかカフェにとって大事な商売道具である
コーヒーマシンが壊れている。
客からコーヒーのオーダーを受けると、
道端で魔法瓶を拾ったのを思い出し、その中に
入っていたコーヒーを入れて、常連客に出す。
すると、客は苦いと思わす吹き出してしまう。
そして、たっぷりお湯を足して、
うん、これだと言いながら飲む。

その魔法瓶はドイツ人の旅行者が置いていった
もので、アメリカとヨーロッパの文化の
ギャップを感じさせるシーンだ。

ヨーロッパは、濃いエスプレッソが主流。
エスプレッソをお湯で薄めたアメリカーノも
飲めるけど、ドリップコーヒーと比べると
おいしいものでもないし、現地でもちょっと
邪道扱いだったりする。

アメリカの薄いコーヒーも、ヨーロッパの
エスプレッソも、旅慣れてくるにつれて、
だんだんその魅力がわかってきて、
おいしく飲めるようになってくるのだけど、
日本に帰って、深煎りのコーヒー豆を挽いて
ハンドドリップでいれたコーヒーを飲むと、
やっぱりこれがおいしいなあって思うのは、
長年飲み続けているからだろうか。

今週末、アアルトコーヒーの庄野さんが
トラベラーズファクトリーにやってきて、
コーヒーを淹れてくれるイベントを開催する。

いつもイベントの準備が終わると、
オープン前に庄野さんがコーヒーを淹れてくれる。
僕はこのコーヒーが好きだ。
焙煎したての豆で庄野さんが淹れてくれるから
おいしいにきまっているんだけど、
窓から明る光が差し込むトラベラーズファクトリー
の2階で、徳島からやってきてくれた庄野さんと
お互いの近況などを話しながら飲む。
そんな状況が、コーヒーの味をさらにおいしく
させてくれるような気がする。

今回は、徳島のアアルトコーヒーのカフェ14gの
パンやお菓子も持ってきてくれるし、ちょっと
特別なパンを試作中とのことこちらも楽しみ。
ぜひ、遊びにきてください。

昨年『コーヒーと小説』も出版したところでも
あるので、ぜひ、コーヒーを飲みながら、
本やコーヒーの話も楽しんでいただけたら
嬉しいです。

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店長のプロフィール

(株)デザインフィルでトラベラーズノートの企画を担当している飯島です。