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The Art of Travel


もう10年以上前、東北で営業の仕事をしていた頃。

その頃は、まだ秋田から仙台まで高速道路が

つながってはいませんでした。

担当していた秋田から家のある仙台に帰るには、

一度横手で高速を降りて、山道を走り峠を越えて、

岩手の北上で再び高速にのらなければなりませんでした。


秋田からの帰り道、ちょうど夕食の時間にそこを

走ることが多く、峠に入ると食堂もなくなるので、

峠の手前にある「でめきん食堂」というところに

よく立ち寄りました。


そこは、トラックがとめられる大きな駐車場が

ある昔ながらの地方によくあるドライブイン。

店員やお客さんの数に不釣り合いな広い店内には

不揃いのテーブルやイス、ぼろぼろになった

スポーツ新聞やマンガ雑誌が雑然と置いてある

そんな食堂でした。


夜の8時頃、薄暗い店内でそれぞれ離れた席に座る

2、3人の客が黙々とカツ丼やしょうが焼き定食を

食べている姿は、旅の孤独を感じさせるのに十分でした。


峠の途中にあるため、周りに人が住む気配が

いっさい感じられず、

そのことも孤独な雰囲気をさらに強めていました。




「旅する哲学」は、さまざまな文学者や画家、詩人

の視点を借りて、旅で見えることの意味を語ってくれます。


私にとっては今まで考えてきた、旅の意味を明確に

分かりやすく説明してくれる本でした。

例えば、9章ある中の2章目では、画家エドワード

ホッパーと詩人ボードレールの視点から旅の意味を

教えてくれます。


エドワードホッパーは、車でアメリカ中を旅し、

そこで出会ったガソリンスタンドやモーテル、

自動販売食堂に漂う孤独な風景の中に詩情を見つけ

描いてきました。


孤独は心を空白にし、自分にとって大切な感情や

考えに接触するところまで引き返してくれると

この本に書かれています。

ホッパーの絵は旅の孤独を客観的に提示することで

そのことを教えてくれます。


もう一度ここで書かれている旅人の視点で

でめきん食堂のことを思い返してみると、

そういえば、ひとりカツ丼を食べている時間は、

うら寂しい気分ではありましたが、

そこでしみじみといろいろなことを考えている

のは嫌いではなかったことを思い出します。


今では高速道路も秋田から仙台まで繋がって

降りずに行くことができます。

でめきん食堂は、まだあるのかなあ?

 

コメント (4)

HIRO:

初の投降失礼します。

でめきん食堂まだありますよ。
食事をすると、お店の温泉に入れるのも(お店の好意で)知る人ぞ知るという感じです。
独特な油臭が癖になるようです。

追伸 御社のMさんにトラベラーズノートの商品交換を迅速に行ってもらいました。娘も喜んでます。この場を借りてお礼します。
(私も愛用しております。)

中熊猫:

インフラ整備は政治家の影響?

sakura:

飯嶋さんの紹介して下さる本など楽しみにしています。購入して現在、読んでいます。

iijima:

HIROさま 
コメントありがとうございます。
まだあるんですね〜。また行きたいです。
ここの温泉には入ったことないですが、よく近くのほっと湯田駅のお風呂はよく入りました。
これからもトラベラーズノートをよろしくお願いします。

中熊猫さま
政治家の影響なのかはよく分かりませんが、雪の中を狭い山道の峠越えをしなくてよくなったのは、車で秋田に行く人にとってはけっこう助かっていると思います。

Sakuraさま
コメントありがとうございます。
読んで頂きありがとうございます。
旅人の視点をとても分かりやすく説明してくれている本だと思います。
これを読むと、また旅に出たくなります。


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店長のプロフィール

(株)デザインフィルでトラベラーズノートの企画を担当している飯島です。