久しぶりに下北沢に行った時、
気になっていたカフェがあったのを思い出し、
寄ってみることにしました。
cafe ordinaireは、自由に読めるたくさんの本と
シンプルで心地よいインテリアが魅力のカフェ。
カウンターテーブルに座り、コーヒーをオーダー
すると、カウンターの上ににずらりと並んでいる
本を眺めました。それらは、1冊ずつ丁寧に
パラフィン紙でカバーが掛けられています。
目の前にはロック関連の本が並んでいました。
その中から、ブライアン・ジョーンズのことが
書かれた本を手に取りました。
ブライアン・ジョーンズは、初期のローリング
ストーンズのリーダーで、ギタリスト。
その一週間前、彼をテーマにした映画を見て、
音楽面の業績にはほとんど触れずに、
スキャンダラスな面を強調した描き方に、
なんだか納得がいかないものを感じたのを
思い出したのです。
その映画の中でのブライアンジョーンズは、
音楽的才能を失い、他のメンバーから邪魔者扱い
されながらドラッグと女に溺れて死んでいく、
単なるダメ人間。
しかし、この本の冒頭で書かれているように、
「 ブライアン・ジョーンズは1人目の
ローリング・ストーンズ」だったのです。
さらに、「 ブライアンこそがこのグループの
創始者であり、そして世に売り出した男」なのです。
YouTubeなどで初期のストーンズのライブ映像を
見ると、最初のヒット曲となったNot Fade Away
のハープやLittle Red Roosterのスライドギターを
演奏する姿がむちゃくちゃかっこいいし、バンド
サウンドをリアルなブルースを聴かせるレベルに
引き上げるのに大きな役割を担っています。
さらに、Paint it BlackやStreet Fighting Man
でブライアンが演奏しているシタールの音は、
インド音楽的な味付けではなく、ちゃんとロック
の音になって、サウンドに深い奥行きを加えています。
ストーンズがブルースのカバー中心の構成から
ミック&キースのオリジナル曲中心のアルバムを
制作していくなかで、30種類以上の楽器を
操ることができた彼の音楽的なセンスが大きく
貢献していることは疑いのない事実です。
好きなアルバムの一枚「Between The Buttons」、
その中では、ギター、ハーモニカの他に彼が奏でる
リコーダー、セロ、マリンバ、チェンバロ、
アコーディオン、ダルシマーなどが効果的に
使われています。
例えば、名曲She Smiled Sweetlyなんてあの
メランコリックなオルガンがあって成立する曲。
Sympathy for the Devilのレコーディングシーン
を映像化したOne Plus Oneでは、虚ろな目を
してキースの指示通りただコードストークを
しているだけで、しかも耳を凝らしてみても、
CDからはその音を耳で拾うことはできません。
その頃のブライアンは、ほとんどレコーディング
にも参加しておらず、やっかい者だったことは
事実だと思います。
ただ、この本によると同曲が収録されている
アルバム「Beggars Banquet」の中の、
No ExpectationsやJigsaw Puzzle、
Salt of The Earthで聴ける印象的なスライド
ギターは、ブライアンジョーンズによるもの
とのこと。
ゴダールによる映画、One Plus Oneが
Sympathy for the Devilでなく、せめて
Street Fighting Manのレコーディングシーン
を撮っていたら、なんて思ったりもします。
もちろん、ミックやキースが優れたアーティスト
であることは疑う余地のないことです。
もうこの世にいないアーティストとしてブライアン
のことを考えるとき、彼がどう破綻し破滅したか
ではなく、彼がどんな素晴らしい作品を残し、
影響を与えてきたかということで評価するべき
なのだと思います。
そういえば、80年代のミュージックシーン
に多大な影響を与えたマイケル・ジャクソンも
晩年の彼の奇行ではなく、作品や表現によって
記憶に残っていくことを願います。
7月3日はブライアン・ジョーンズの命日。
ちょうど40年前の今日、自宅のプールで彼は
亡くなりました。
それは、私が生まれて1ヶ月と少し経った頃
のことです。