冒頭のシーン。
年代は明らかにされていませんが、きっと200年
くらい前、南米の奥地に静かに佇む村マコンド。
開拓されたばかりの小さな村に、毎年3月になると
ジプシーの一団がやってきます。
彼らは村のはずれにテントを建てると、
笛や太鼓をにぎやかに鳴らし、持ち込んできた
珍しい物を村人たちに見せてお金をとる。
初めて見る磁石、望遠鏡、氷。
ジプシーは、それらで摩訶不思議な演出をし、
村人達は、驚き魅せられていく。
そして、村の代表的な人物はそれらに取り憑かれ
高いお金を支払って手に入れ、家の中で妖しい
実験を繰り広げていく。
そんな過程が緻密な描写とともに綴られています。
ここで、私は幻想的で混沌とした不思議な村
マコンドに迷い込んだ旅人のような気分になり、
同時にその世界観に引き込まれてしまいました。
この感じは、インドのヒンドゥー教聖地、
バラナシを歩いた時の記憶を思い出させてくれます。
入り組んだ迷路のような狭い路地。
道の真ん中で、人々の通行の邪魔をする牛。
スパイスや穀物を売る店から漂う匂い。
生地屋に並ぶサリー用の派手な色の生地。
笛や太鼓を鳴らしながら売り歩く人。
大きなヴォリュームで流れるインド映画音楽。
さまざまな場所から手を差し伸べる物乞い。
白く顔を塗ったヒンドゥー教の修行僧サドゥー。
歩いた瞬間、その妖しく混沌とした街の
圧倒的な迫力にすっかり魅せられました。
今までの自分の日常とはかけ離れた幻想的で
非現実的な世界を目の当たりにしたような
気分になりました。
でも、それは紛れもなく現実の世界なのです。
そこには、たくさんの人々が生き、私たちと
同じように日々悩んだり、喜んだり、悲しんだり
しながら毎日の生活を送っている。
ずっと昔から、そして、これからも。
「百年の孤独」は、マコンドという物語上の村に
生きたブエンディア家の盛衰を百年にわたって
描かれた小説です。
非現実的で神話のような奇怪なエピソードととも
伝えられる一族の放蕩と混乱の日々。
エキゾチックで情熱的な南米のイメージもあって、
ファンタジックなストーリーが不思議とリアリティ
を持って迫ってきます。
この物語のなかで、生まれ、そして死んでいった
ブエンディア家の人々。彼らと同じように、
私たちもまた、日々悩み、喜び、悲しんでいる。
世界中に住む68億の人々と同じように。
なんだか、そんな壮大なことに気付かされてくれる
不思議な魅力に満ちた本です。
コメント (2)
「百年の孤独」は皇太子の好きな幻の麦焼酎のイメージがある。
投稿者: 中熊猫 | 2009年09月11日 16:34
日時: 2009年09月11日 16:34
私はあまりお酒が得意ではないので、幻の麦焼酎のことは知りませんでした。でも、本の方も面白いですよ。
投稿者: iijima | 2009年09月14日 00:08
日時: 2009年09月14日 00:08