最近はDVDやビデオに変わってしまいましたが、
昔は休日前の深夜にテレビで流れている映画を
だらだらと見ているのが好きでした。
その頃、深夜枠でよく放映されたのは
もちろん話題の最新作ではなく、既にテレビで
何度も放送された70年代のアメリカ映画。
ヒッチコックのサスペンス、イージーライダーや
スケアクロウなどのニューシネマとあわせて、
深夜枠の定番のひとつが70年代の
クリント・イーストウッドの出演作でした。
ダーティハリーなどで見られるアメリカ70年代の
都会の生活を映した枯れた感じの映像。
その危険で怪しい雰囲気がかっこ良く見えました。
錆びが所々にあるアメ車で乗りつけて入る
ダイナーやモーテル。
雑然としたオフィスで罵りあう上司と部下。
捜査のなかでいつも訪れる場末の娼婦街や
半裸の女性が踊るバー。
そこに漂う退廃的な雰囲気は、アメリカ社会の
奥深い裏側を感じさせ、クリント・イーストウッド
演じる主人公は、そんな社会で生きる大人の男の
流儀を教えてくれたような気がします。
彼の役どころは、いつも男の美学を貫き通す
アメリカの良心のような存在でした。
彼の出演作品でもっとも好きな映画のひとつ
サンダーボルトで、犯罪者の役を演じた時でさえ
そうでした。
クリント・イーストウッドの最新作グラントリノ
では、彼の美学は極限まで研ぎ澄まされて私達に
強烈なメッセージを訴えかけてきます。
舞台はアメリカのデトロイト、
昔気質の頑固さで息子や孫たちからは疎まれている
クリント・イーストウッド演じる老人は、
妻に先立たれ、フォード70年代の車グラントリノ
を眺めながら、夕暮れ時にひとりでビールを
飲むような生活をしている。
そんな彼が、隣家の東南アジア少数民族出身の
無職の青年と触れ合い、彼を一人前の男にしようと
することに、ちょっとした生き甲斐を感じ始める。
そして、ある事件に巻き込まれていくなかで
身をもって彼流の男の美学を教え込んでいく。
そんな彼の生き様は、その青年だけでなく
見ている私たちにも、男が持つべき究極の美学を
教えてくれます。
もうすぐシルバーウィーク、秋の夜長に
DVDで見るのに、おすすめの映画です。