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濹東綺譚

 

 

 

雑誌BRUTUS最新号の特集は「東京の東へ」。

スカイツリーの建設で話題の隅田川流域エリア

が、あらたなカルチャーを発信する場として

特集されています。


今までファッションやカルチャー系の雑誌では

まったく無視されてきたこのエリアで生まれ育ち

現在も住んでいる私としては、思わず熱くなって

しまう特集なのです。


クリエイターたちや小規模のブランドがこの

エリアに移っている背景には、賃料の安さや

職人や町工場が周囲に集中していること

など様々な理由があると思いますが、面白い

ところは、大手資本による誘導ではなく、

インディーズの自発的な動きによって、この

エリアが少しずつ変わっていること。


だから、その変化も実は地味で、例えば、

シャッター商店街のなかの古い建物を使った

個人経営のショップや古い長屋を改築した

カフェがぽつんとあるようなレベルだったり

します。


でも、その街のコミュニティーや歴史と密接に

関わりながら、新しい文化を作ろうとしている姿は

資本投下型のスクラップ・アンド・ビルドによる

大量消費社会以降の、新しいサスティナブルな

消費文化を作り上げる可能性を感じさせてくれます。


スカイツリーは、その動きとはあまり関係ない

ところで、象徴的にそびえ立っています。


永井荷風の「濹東綺譚」は、スカイツリーに

ほど近い向島玉の井を舞台にした小説です。

この小説が書かれた昭和11年頃、このあたりは

私娼街となっていて、狭い路地にその手の店が

たくさんあったそうです。

今でもこのあたりを歩くと、曲がりくねった

細い路地がたくさん残っていて、そこに下町

風情を感じる長屋を見つけることもできます。


小説の主人公は、隣の家から聴こえてくる

ラジオの音を嫌悪し、震災前の東京の風情が

残る玉の井に通うようになります。そこで、

娼婦のお雪と出会い、そして、別れるまでを

玉の井の情緒的な風情とともに美しくも

哀しく描いています。


ここで描かれている玉の井の魅力は、懐かしさや

親しみを感じる素朴で古い町並み、そこに住む人

の飾らない純朴な人柄、そして、荷風がラビラント

(迷宮)と呼んだ下町特有の並ぶ込み入った路地と

そこにある盛り場が醸し出す妖しさ。


実は、この魅力はBRUTUSが今の東京の東の

魅力として伝えていると部分と重なるところが

多いのです。

この小説を読むことで、このエリアの本質的な

魅力を見つけるヒントがたくさん見つけること

ができます。


これからは、東側が面白くなってきますよ!

 

 

 

 

コメント (2)

Hide:

BRUTUSのその号はいい特集でしたね。僕も購入して少しずつ読んでます。
東京の Far East で育ち、今も住んでいる者には嬉しいようなあまりいじらないで欲しいような
正直ビミョーな感じです(笑)。
トラベラー各位には、興味を持ったとしたら、是非ゆっくり歩いてみてはいかがと思います。

iijima:

Hideさま、コメントありがとうございます。
確かにずっとこの場所に住んでいる私たちにとっては、複雑ですよね。
少なくとも、なんとかヒルズやなんとかモールみたいな巨大な施設は、この場所には似合わないですよね。
それよりも今までの良さを残しながら地に足がついた形で変化していくのが理想です。
そのほうがトラベラーたちにとっても歩く価値のある場所だと思いますし。

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店長のプロフィール

(株)デザインフィルでトラベラーズノートの企画を担当している飯島です。