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2011年01月 アーカイブ

2011年01月01日

Happy New Year, 2011

 

 

 

年末の休みに日光・鬼怒川へ行って来ました。

その途中で寄った東武ワールドスクウェアが

意外に素晴らしく、ミニチュア世界一周旅行を

楽しむことができました。


ピラミッドやアンコールワット、

タージマハールにエッフェル塔など、25分の1の

世界の有名建築物がかなり精巧に作られていて

アップで写真を撮るとまるで実物のよう。さらに

万里の長城では三蔵法師や孫悟空が旅をしていたり

する遊び心もあって、きっと作り手も楽しんで

作っているのが伝わってきます。


これらの展示物を見て、つくづく思ったのが

まだまだ世界には行ったことがない場所が

たくさんあるということ。


2010年は何度も旅をして、多くの方々と出会う

ことができました。

でも、まだ行ってみたい未踏の地はたくさん

あります。会いたい人ももっといるはず。


トラベラーズノートと出合って始まった旅も

今年で5年になります。この不思議なノートは

私たちを新しい世界に連れて行ってくれました。

今まで見た事がない景色や想いを共感できる人たち

との出会いへと導いてくれました。


私たちにとってトラベラーズノートは、

きっとミュージシャンにとってのギターであり、

絵描きにとっての筆やキャンバスなのです。

世界と自分との接点を与えてくれる道具であり、

ほんとうの自分らしさを追求し、表現することを

促してくれる存在なのです。


自分の存在理由が分からなかった孤独な少年が、

ギターを手にして、音楽を奏でることで、仲間と

出会い、世の中と本気で向き合う方法を見つける。

そして、自分の未来に希望と夢を見いだす。


それと同じようにこのノートを手にすることで、

誰かが新しいことを始めたくなったり、旅に出る

勇気を手にしたり、夢に向かって前進しようと思う。

そんなことが起こったらなによりも嬉しいこと。

なぜなら、自分たち自身がそうなっているから


2011年は5周年という節目の年。

やりたいことはたくさんあります。

夢はさらに広がっています。

世界には、まだ見た事がない美しい風景と

出会っていないステキな人たちに溢れています。

もっと遠く、もっと空高く、もっと深くに。

トラベラーズノートの旅は、次のステージに

向かいます。


2011年も良い旅をしましょう!

今年もトラベラーズノートと仲間たちを

よろしくお願いします! 

 
 
 

2011年01月05日

After The New Year Holidays

 

 

 

もういくつ寝るとお正月~という歌がありますが、

昔からお正月は、お年玉をもらうこと以外は

あまり好きではなかったような気がします。

年が明けると同時に年末の活気が失われて、

街中が静けさに包まれる。

子供にとってはあまり美味しいものではない

おせち料理をつまみながら、大人たちは一日中

お酒を飲んでだらだら過ごす。

外に出かけても誰もいないし、テレビは面白く

ないし、なんだか退屈でつまらないなあと思い

ながら過ごしていたような気がします。


正月の退屈な印象は大人になってもあまり変わらず

正月休みは、年内には年賀状やら大掃除、

年が明けたら実家に家族が集まったり、初詣など、

単発的にやることがあって、結局たいしたことを

しないまま、だらだらと過ごしてしまいます。

まあでも、一年に一度、そんな時があるのは

悪いことではないのかもしれません。


さて、お正月ももう終わり。

くだらないテレビ番組を消し、少々食べ過ぎの

なまった体を起こして立ち上がろう。

そして、温かい部屋からドアをあけて外へ出て

2011年の旅を始めよう。

あたらしい旅の始まりに胸が高まります。

 

2011年01月06日

空港への旅

 
 


新年の仕事が始まって早々、

1月6日から久しぶりの中国出張です。

羽田空港の国際化ということで、12月の

ソウル行きに続き、今回も羽田発。


学生時代、初めて海外に行った時は上野から

京成電車に乗って成田に向かいました。お金を

節約するためスカイライナーではなく普通列車。

ゆっくり走る列車の車窓からのんびり田園風景を

眺めていると、国内の小旅行をしているようで、

初めての海外への旅のちょっとしたプロローグ

となりました。


それからも自宅からの乗り継ぎの都合で、成田に

行くときはいつも京成電車の普通列車です。

午前中の早い時間に飛び立つ飛行機に乗ることが

多いため、成田に向かう車内でよく日の出を

見ることができます。


1年ほど前に成田の少し手前で見た風景が印象的

でした。朝日が昇り空が明るくなるのと同時に、

田んぼの上に朝靄がたちこめてきて、とても

幻想的な風景が広がっていました。


遠い成田空港にはそんな楽しみもありますが、

海外の旅の出発地に、都内の羽田空港という

選択肢が増えるのは利用者にとっては良いこと

ではあります。


空港は、旅立ちの高揚感や緊張感にあふれた

独特の雰囲気の場所。今でも、そこに足を

踏み入れる瞬間は胸が高まります。

いつまでもそんな気持ちを忘れないでいたい

ですね。

 

 

2011年01月11日

Changes in Hong Kong & China



久々の中国出張。

中国の工場と香港をめぐって思ったのが、

さまざまな変化がおこっているということ。


香港では、中国大陸の経済成長のため景気好調

のようで、ショッピングモールにはたくさんの

人々にあふれ、活気がある光景を見ることが

できました。香港ドルと人民元の価値も逆転し、

大陸からの買い物客が大量に押し寄せている

ようです。


中国の工場では、人件費の高騰が進んでいて、

いかに人の手をかけずに、機械化をして効率化

していくのかを考えざる得ないようになって

います。

工場周辺の街でも、5年前には何もなかった

場所に次々と高層マンションや大型の商業施設

が出来ています。


香港でも、九龍の尖沙咀を歩いただけですが、

高級ブランドの入った新しいショッピング

モールをいくつか見かけることができました。

中国の経済成長は、香港の街の変化に大きな

影響を与え、スクラップ&ビルトの原動力と

なっているようです。

ただ、それでもまだまだ古いものがたくさん

残っています。古いモノと新しいモノが

渾然一体となっているのが香港の魅力。


香港の街を歩いて、もうひとつ思ったのが

今まで以上に日本発のモノを見かけることが

多くなったこと。

日本食レストラン、日本のファストフード

チェーンは、モールの中にはいくつもあるし、

ブランドショップから街中の薬屋やスーパー

まで、さまざまな場所で見かけるMADE IN

JAPANの商品は以前よりも多くなりました。

 

トラベラーズノートも香港のCity Super

LOG-ONで販売しています。香港で、その

販売店舗が少しずつ増えているのも、嬉しい

変化です。


中国の経済発展と人件費高騰、そんな中での

ジャパンブランドの広がり。日本では、まだ

厳しい経済情勢が続いていますが、こんな時

こそMADE IN JAPANに大きなチャンスが

あるのかもしれません。
 
 
 
 
 

2011年01月13日

みすぼらしくて美しいもの

 

 

 

香港の裏通りを歩いていて、つげ義春氏の漫画

「近所の景色」に引用されている梶井基次郎氏の

「檸檬」の一節を思い出しました。


「何故だかその頃私は見すぼらしくて美しい

ものに強くひきつけられたのを覚えている。」


つげ義春氏の漫画は、まさにその”みすぼらしく

美しい風景”を切り取った作品が多く、活気に

満ちた華やかな表通りよりも、裏通りの古い

長屋が並び、その脇には薄汚れた洗濯物が

物干し竿にかかっているような場所を散策する

シーンがよく見られます。

さらに、そこで出会う人々とのリアルな生活感

漂う切ないやりとりが胸に響くのです。


新しい物と古い物、高い物と安い物など、

それぞれが小さなスペースのなかで渾然一体と

なって入り交じっているのが香港の魅力ですが、

私は、表通りよりも裏通り、ラグジュアリー

ブランドが集まるショッピングモールよりも

夜店の屋台、高級レストランよりもローカルの

軽食屋・茶餐庁の方が好き。


特に路地裏の古くからある少し朽ち果てたビルが

建ち並ぶ風景に惹かれます。そこを歩いていると、

どこか儚くも温かい居心地の良さを感じるのは

きっと、そこに長年暮らして来た人々の歴史を

感じることができるからなのかもしれません。

 

 

 

 

 

2011年01月17日

The Social Network


 

 

海外行きの飛行機に乗ったときの楽しみに

日本で公開前の洋画が見られることがあります。

先日の香港行きの際には、日本で公開直前だった

ソーシャル・ネットワーク」を見ることが

できました。


前に予告編を見たとき、聖歌隊のような歌声の

レイディオヘッドの名曲「クリープ」のカバーが

とても印象的で、気になっていた映画でした。


「ソーシャル・ネットワーク」は、世界最大の

SNSサイト、フェイスブックを創設したマーク・

ザッカーバーグを描いた映画。

ハーバード大学の学生だった主人公が、友人らと

一緒にフェイスブックを作り上げていき、さらに

仲間との確執やさまざまなトラブルを経験しながら

世界で最も若い億万長者となるまで成功していく。


いろいろな見方のできる映画だと思いますが

なにより感動したのは、主人公マークのフェイス

ブックへの強い情熱と愛情。

振られた女性に認めてもらうためとか、

権威的な人々に対する反骨精神、アイデアの借用、

裏切り、巨万の富など、彼の成功のさまざまな

要因が伏線として描かれていますが、あたらしい

何かを産み出し、それを育て上げていくには

何よりも作り手の一貫した強い想いが一番大事だ

ということを語っているように思いました。


なんとか収益を出そうと街を歩き、やっとの思いで

スポンサーを探してきた共同経営者の友人を、

主人公が広告を載せるなんてクールじゃないよと、

一蹴してしまうシーンが印象的でした。 


それにしてもネット業界のスピードの早さは

凄いですね。この映画の中の話だって、わずか

5年前の話。


新聞で見たのですが、数年前までSNSの覇者

といわれていたアメリカのマイスペースは

フェイスブックに押されて従業員の半数を

リストラするとのこと。

悪名高いナップスターの創業者も映画のなかで

重要な役割を果たしていたりしますが、それも

すっかり過去の話。


ネットをうまく利用しながらも、やっぱり

リアルで息の長い物づくりや人間関係を構築

していきたいなあとも考えたりしました。

 

 

2011年01月18日

タイムマシン

 

 

 

タイムマシンのチケットを手に入れたとします。

ただ、このチケットには制限があって、

自分が生まれたあとの時代から現在までにしか

行けません。でも、その間であれば好きな場所に

行くことができます。


もちろん、タイムパラドックスの可能性がある

ので、過去を変える可能性があることは禁止。

過去の自分に助け舟を出したり、競馬の大穴を

教えたりするのはダメ。


そんな時、どこに行くのだろうか?

そんなことを考えてみます。


自分が生まれた年は、1969年。


ビートルズの来日公演は無理ですが、

ウッドストック・フェスティバルは間に合います。

アメリカのオルタモントで、ミック・テイラー

加入直後の映画にもなったストーンズのライブを

見るなんて凄いなあ。


大阪万博なんてどうだろうか。

実はそこに行った時の写真はあるのですが、

まだ1歳なのでまったく記憶がありません。

日本の高度成長時代の活気に満ちた華やな

イベントを見るのも楽しいかもしれません。


中国返還よりずっと前の今よりも混沌とした

香港や、パンクロック全盛時代のロンドンも

行きたいな。


それとも、少年時代の秘密基地?

初恋の人を見に行く?

初デートをこっそり覗いてみる?


でも、やっぱり記憶のなかのシーンよりも

自分が体験したり見ることができなかった、

その時代にしか見ることできないイベントや

風景を見てみたいと思います。

あと10年長く生きると、思い出の風景の

方を見てみたくなるのでしょうか?


まったく意味がないのですが、ふと、

そんなことを考えてみました。

 

 

話変わって、今月も投稿ページ更新しています。

shinhuさんのカフェでトラベラーズノートと

旅の計画を立てるシーン、

cowleyさんのオリジナルエンベロップをセット

したトラベラーズノート。

やまちゃんさんの大成丸とトラベラーズノートの

写真。どれもステキな作品です。


さらに今月はストーリーが4作品です。

ゆいにゃんさんの「私のSTORY」は、

トラベラーズノートへの想いを綴ってくれました。

へいさんは、お母さんとの松山への旅のお話は

温かい気持ちになります。

おなじみHideさんは旅先でめぐったBarの話。

ニューヨークでふと入ったBarでのシーンが

旅情をそそってくれます。

かわうそさんの「ある日」はまだまだ続きます。


また、大変遅くなってしまっていますが、

トラベラーズポストカードキャンペーンの

入賞作品の掲載、もう少々お待ち下さい。

ステキな旅情報ページにすべく現在作成中です。

 

2011年01月19日

どこでもドア

 

 

 

どこでもドアがあったらいいなあというのは、

きっとドラえもんで育った人は誰もが考えた

ことがあるはずです。


例えば、最近のような寒い朝。

自転車に乗って駅に行くのはやっぱり辛い。

さらにそこから満員電車に乗っていると、

ふと、こんな時どこでもドアがあればなあ、

なんて思います。


南の島に行くのもいいなあ。

今日みたいに疲れてちょっと憂鬱な日の夜、

モルディブ辺りに行けば、ちょうど夕暮れ時の

涼しい時間。海に沈む夕日を眺めなら、

ハンモックに揺られていれば少しは気分が

晴れるのかな。


そう言えば、南米ボリビアのウユ二塩湖に

行ってみたかったんだ。ここは日本の新潟県

くらいの広さに、真っ白な塩の結晶が広がる

場所。日本の夜の時間に行けば、ちょうど

朝日が見えるかもしれません。

きっと雄大で幻想的な風景なんだろうなあ。


今すぐ会いたい人に会いに行くことも

できるし、食べたいものを食べに行くことも

できます。


でも、どこでもドアで簡単にどこでも行ける

ようになると、旅っていう概念がなくなって

しまいます。

目的の場所に行くまでのわくわくした気分も

旅の途中の偶然の出会いも味わえない。

それはそれでつまらないのかも。

 

憧れの場所は、簡単に行くことができない

から憧れるのであって、そこに辿り着くまで

の道程が楽しみだったりもします。


やっぱりどこでもドアはない方がいいのかなあ。

でも、もしもボックスなら万能だから欲しいなあ。

 

今日もまた意味のないことを考えてしまいました。

ちょっと現実逃避傾向ですね。

 


2011年01月24日

北極海へ

 
 


寒い日が続きます。

寒いのが苦手なので、つい外に出るのを

ためらって家でダラダラしている時間が

多くなってしまいます。

せめて、頭の中だけでも旅気分を味わおうと

古本屋で見つけた野田知佑氏の本を手の取り

ました。


野田知佑氏は、日本のツーリングカヌーの

第一人者で、カヌーの旅を題材にした本を

たくさん書いています。学生時代に氏の本

を読んで、独自の美学に基づいた自由な旅の

スタイルにとても憧れました。


バイクを手に入れた当初、キャンプ道具一式

を積んで、よく一人でふらりとツーリングに

行ったのは、彼の本の影響も大きかった

ような気がします。


もともと日本でカヌーは、競技スポーツとして

発展してきたため、それで旅をするというのは

当時はまだ異端でした。

しかもカヌーに犬をのせたり、ビールを飲み

ながら川を下って行くようなスタイルは、

スポーツとしてカヌーを捉えている人からは、

かなり批判を浴びたようです。

でも、彼の提案するカヌーの旅は、自由で

自分のスタイルを貫き通す大人の男の遊びの

楽しさを教えてくれました。


「北極海へ」は、カナダの北部マッケンジー川

を下っていくカヌーの旅の記録です。

誰もいない荒野の川を何日も誰にも会わずに

漂って行く時の寂寥感。人恋しくなれば流れ着いた

小さなインディアンの集落で、彼らの家に入り込み

何日も居着いてしまう。

そして、また一人船を出し、孤独を楽しむ。

食べ物がなくなれば、川に釣り糸をたらし魚を

得たり、銃で鳥を打ち、食べる。

自分のことは全部自分で決める。

100パーセント自分の運命や人生の主人公である。

すべての幸福も不幸も自分のせい。

そんな旅に憧れます。

 

 


2011年01月26日

風邪にご注意を

 

 

 

風邪が流行っているようです。

会社でも風邪が蔓延し、休んだりマスクをしたり

している人が多くなっています。

私は今のところは大丈夫ですが、風邪包囲網が

すぐ近くまで迫ってきていて、もはや時間の

問題かもしれません。


どんな時でも風邪になるのは辛いですが、

旅の途中や直前に風邪をひいてしまうと大変です。

ちょうど20年前、38度の高熱のなかで、ひとり

香港を旅した時のことを思い出します。


最終目的地のトルコに行く途中、トランジット

で香港に立ち寄りました。

香港ははじめての訪問でした。

 

出発直前に風邪をひいてしまったのですが

学生時代最後の旅だということもあり、躊躇する

ことなく出発を決めました。寒いトルコへ向かう

前に、暖かい香港で体調を治せばいいと考えた

のです。


飛行機では珍しくほとんど機内食を食べず、

毛布を重ねてくるまり、ずっと寝ていました。

その姿に同情してくれたのか、隣に座る日本人

の男性が、香港の街中まで向かうタクシーに

同乗させてくれると言ってくれました。


その方と一緒に空港の税関を出ると、香港人

の女性が手を振って迎えています。

その女性と3人でタクシーに乗り込みましたが

どう考えても私は邪魔者。街に着くなりタクシー

を降りてお礼を言うと、早々と退散しました。


とりあえず、安宿がある重慶大厦の前まで行き、

最初に声をかけてきた客引きについていきました。

とにかく早く横になりたかったのです。


ベッドが一つあるだけの薄暗くて狭い部屋に

入ると、すぐに着替えて横になりました。

体調が優れないと、旅気分も盛り上がりません。

空港から一緒にタクシーに乗ってきたカップルの

ことを思い出し、少し寂しい気持ちになりました。


天井を見上げると、ゴキブリが動いています。

しかし、それに対してなんの反応をすることもなく

ぼんやりとその動きを見つめ続けました。

ここでいったい何をしているんだろうか。

そんな気分になりながらも、知らないうちに眠り

に落ちていきました。


2、3時間眠り目が覚めると、何かを食べようと

外に出ました。街はネオン輝く華やかな夜の世界が

広がっていますが、気分は晴れません。

いくつかローカルの食堂を覗いてみましたが、

体調のせいで、慣れない食べ物をトライする

気持ちも湧かず、結局マクドナルドでハンバーガー

とコーラを買って宿で食べました。


旅先での好奇心や高揚感よりも、不安や寂しさ

が勝る。そんな香港の夜でした。

皆様も風邪にご注意を。

 
 

2011年01月28日

鱒釣り

 

 

体調がすぐれない日の会社帰り、ふと久しぶりに
中目黒のカウブックスに行こうと思い立ちました。
iPhoneで閉店時間を調べると夜9時までやって

います。時計を見たら8時を少し過ぎたところ。
充分間に合う時間です。

 

冬のウィークデー、夜8時30分の目黒川沿いは
人もまばらでとても静か。寒いなか薄暗い道を
歩いていると、お店がまだ開いているのか少し
不安になります。
ほとんどの店はシャッターが閉まっていて、
もう通り過ぎてしまったのかと思い始めた頃、
優しく光る牛のロゴを見つけました。

 

ちりひとつない空間に、整然と並べられた古い本。
小説、詩集、評論から写真集や漫画まで、ジャンル
はさまざまですが、心に優しくあたたかい灯を
ともしてくれそうな本ばかり。目にとまった本を
手にとり、ぱらぱらめっくているだけで、気持ちが
落ち着き清々しい気分になってきました。

 

ふと、数日前にリチャード・ブローティガンの
小説「アメリカの鱒釣り」の文庫本をジーパンの
ポケットに入れたまま洗濯してしまったのを
思い出しました。

洗濯物は細かい紙くずにまみれ、読みはじめた
ばかりなのに、本は背をわずかに残してボロボロ
になってしまいました。

実は「アメリカの鱒釣り」は、3年前にも旅先で
読みはじめたばかりの時になくしてしまったこと
があります。

どちらも自分の不注意で大切な本を無駄にして
しまったのですが、まだその本を読むべき
タイミングではないんだろうなと、都合良く
解釈をしていました。

 

リチャード・ブローティガンはここのオーナー
のフェイバリットな作家のひとり。早速、探して
みました。

 

「アメリカの鱒釣り」はありませんでしたが、
ブローティガンの作品は数冊棚に並んでいました。
そして、ずっと読みたいと思っていた小説
「東京モンタナ急行」を見つけました。

 

奇妙な旅を予感させるコスモポリタンなタイトル、
表紙に描かれた颯爽と走るどこか懐かしい黄色い
電車のイラスト。
手に取ってその中身を想像するだけで、胸が
高鳴ってくる、そんな佇まいを持った本でした。
しかし、価格を見てすぐ買うのを諦めました。
希少な本のようで、定価の何倍もの値段がついて
いたのです。
きっとこの本も今はまだ読むべきタイミングでは
ないのでしょう。

 

その後、さらに棚を眺めていると「モンタナ急行
の乗客」という本を見つけました。

こちらはブローティガンの小説ではなく、笠智衆、
沢木耕太郎、サム・シェパード、スプリング
スティーンらについて書かれた雑誌編集長による
ノンフィクション。この本を手に取って、レジへ
持って行きました。

 

まったく予期していなかった新しい本との
出会いに満足しながら店を出ると、閉店時間を
過ぎていたようで、お店の方が店じまいを
始めました。

 

また人通りの少ない寒い夜の道を歩いて
駅まで帰りましたが、帰り道では冬の夜の
冷たい空気がなんだか心地よく感じました。
そして、誰かを温めてあげたくなりました。

 

最後までなくさずに読めたブローティガンの
「芝生の復讐」からの引用で締めたいと思います。

 

”本を棚に返して、彼は書店を去った。
出て行く彼はとても落ち着いているように見えた。
わたしがそこに行ってみると、床の上に彼の
ためらいが落ちているのを発見した。”

 

 

2011年01月31日

Hand Rolling Tabacco

 

 

 

前にタイを旅していたときの事。

同じゲストハウスに泊まっていたドイツ人が、

実に器用に手巻きタバコを巻いて吸っていたのを

思い出します。


話をしている途中でも、それを止めることなく

何気なく葉っぱと紙を取り出し、手の上でするする

と一瞬で巻いてしまう。そして、口にくわえると、

マッチを擦って火を付ける。その一連の動作が

手品のようで、ゲストハウスの退廃的な雰囲気にも

あっていて、とてもかっこ良く見えました。


彼にタバコと紙をもらって、自分でもやって

みましたが、紙はくしゃくしゃになって、葉も

こぼれてしまって、うまく巻くことができません。

なんとか吸おうと火を付けてみたけど、すぐに

火は消えてしまいました。


その後、手巻きタバコのことはすっかり忘れて

いたのですが、年末に友人よりタバコの葉と紙、

手巻き器を頂き、もう一度挑戦してみることに

しました。


手巻き器もありますが、やはりあの時のドイツ人

のように手だけで巻けるようになりたい。

ネットで巻き方を調べて何度かやってみるうちに

コツをつかみ、なんとか巻けるようになりました。


夜、一人部屋で音楽を聴きながら、本を読んだり

ノートに向かう時間、ゆっくり葉や紙の感触を

味わいながらタバコを巻くのもなかなか楽しい

時間です。


 

タバコに対して昔のように寛大ではない現在では

外で巻くのは憚れますが、旅先ならばそんな時間

も持てそうです。


例えば、東南アジアの田舎の小さな街、人が

少ないローカルな食堂やカフェのテラス席で、

夕暮れの風景を眺めながら、ゆっくりタバコを

巻いて吸う。


例えば、ひとりテントで泊まる夜、コーヒーを

飲みながら、焚き火を眺めている。ふと思い立ち

タバコを巻いて火をつける。


そんなことを想像すると、また旅へ出たく

なります。


 

 

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店長のプロフィール

(株)デザインフィルでトラベラーズノートの企画を担当している飯島です。