ストーリー
トラベラーズ ストーリー
トラベラーズノートが伝えたいのは、旅するように毎日を過ごして欲しいということ。
旅人の視点で見つめることで、なにげない日々の出会いや風景の中に新しい発見や感動を見つけることが出来ます。
ここでは、トラベラーズノートを携えて旅をする中で出会ったモノ、コト、ヒトについてのストーリーを綴っています。
005 ニューヨーク CBGB

ニューヨークで、ぜひ行きたい場所のひとつがライブハウスです。
そのライブハウスのなかでも、ロック系の老舗である「CBGB」に行くことが出来ました。
ここは、70年代ニューヨークパンクの全盛時代、ラモーンズ、テレビジョン、パティ・スミスなどが出演していた伝説的なライブハウス。間もなく閉鎖してしまうという話を聞き、出張でのニューヨーク訪問でしたが、なんとか時間を作り行こうと決めました。
仕事が終わり、自由になった時には夜の11時。予定時間より遅くなりましたが、迷わずホテルから地下鉄に乗り込み、メモに書き写した地図を片手に、駅からしばらく歩くと、おなじみのロゴの看板が見えてきました。
少し緊張しながら中に入ると、薄汚れたカウンターバーやバンドのチラシが幾重にも張られた壁がそれらしき雰囲気を醸し出しています。
しかし、意外に小さなステージでは、太目のさえないボーカリストが歌っているのを見て、軽く期待を裏切られた気分になりました。「さえない奴がステージで輝く瞬間こそがロックンロールマジックだしな」と聴き続けましたが、最後まで心を揺さぶられる音を聴くことはありませんでした。
時間は1時になろうとしていましたが、このままホテルに戻る気にもなれず、次のバンドを期待することにします。
次はスリーピースのバンドで、エッジの効いたギターとパワフルなリズムが疾走する、そんな音を聴かせてくれました。 それなりに良い演奏なのですが、ニューヨークの伝説的なライブハウスということで期待していた「特別な何か」を見付けることは出来ませんでした。
それでも、この場所に来たことでそれなりの満足を感じながら外へ出ると、隣にロゴが入ったTシャツなどを売っているショップを見つけました。 中に入ると、店は明かりも消されて営業時間は終わっているようですが、その奥には小さなステージがあります。そこでは、 観客が数人しかいない寂しい雰囲気の中、薄暗いスポットライトを浴びながらミュージシャンがひとり弾き語りでルー・リードの「ワイルドサイドを歩け」を歌っていました。
「Walk on the wild side」を連呼し、こちらに問いかけてくるような歌声を聴いていると、だんだん胸に熱いものが込み上げて来るのを感じました。
この「ワイルドサイドを歩け」というフレーズこそが、ニューヨークとそこに住む人々を象徴的に表している言葉であり、そんなニューヨークに憧れ、今その場所にいることに深く感動している自分に気付いたのです。
CBGB OMFUG
315 Bowery New York, NY, U.S.A.
