TRAVELER'S notebook & company
トラベラーズノートと仲間たち

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ストーリー

トラベラーズ ストーリー

トラベラーズノートが伝えたいのは、旅するように毎日を過ごして欲しいということ。
旅人の視点で見つめることで、なにげない日々の出会いや風景の中に新しい発見や感動を見つけることが出来ます。
ここでは、トラベラーズノートを携えて旅をする中で出会ったモノ、コト、ヒトについてのストーリーを綴っています。

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013 ホーチミンシティ レックスホテル

学生のころデートといえば、もっぱら散歩でした。目的もなくただ歩き回ることに膨大な時間を費やしていたような気がします。
付き合い始めた頃は、ディズニーランドに行ったり、映画を見に行ったりしていましたが、そうそうお金も続きません。
しかし、時間だけはたっぷりあったので、街から街へぶらぶら歩くことで時間を消費していました。
あの頃は、とにかくよく歩いていました。
ある時、ふと思い立って新宿から学校のある八王子まで友人と歩くことにしました。
夜中の12時に新宿を出発。多摩川の土手で焚き火をしたり、深夜の公園でギターを弾いて騒いだりしながら、だらだらと歩き、学校に着いたのはお昼の12時でした。
へとへとになりながらも、ちょっとした達成感を感じましたが、よくよく距離を調べてみたら、四十数キロしかありません。
12時間かけて歩いたのは、マラソンランナーなら2時間ちょっとで走ってしまう距離でしかないことに気付きました。
街を歩くことは、趣味の合う素敵なお店を見つけたり、風の匂いに季節の移ろいを感じるといった楽しみがあります。
しかし、それが目的で歩いていた訳ではないような気がします。
何もせずに時間を浪費してしまうことに疑問を抱きながらも、本来やるべきことに手を付けられなかったり、またはそれを見つけられない。
そんな焦燥感を歩くことで忘れようとしていたのかもしれません。

ベトナム最大の都市ホーチミンシティを訪ねると、今この場所が成長の最中にあることを感じます。
そこに暮らす人々は活気に溢れ、新しいビルや道路が次々建設されています。
レックスホテルは、そんなホーチミンシティの中心部に建ち、明るいイルミネーションで街を照らしています。
1925年フランス植民地時代に造られたコロニアルな雰囲気の建物に、屋上にあるシンボルマークを模った巨大な王冠がくるくる回る東南アジア的な派手な姿は、この街の今を象徴しているようです。
ホテルの前には、四方からの道が交差するロータリーがあります。そこは、交通の要所として昼間もたくさんのバイクや車が行き交う場所ですが、夜になるとさらに多くのバイクが集まってきます。そして、彼らはただひたすらロータリーの周りを走り続けます。
日が沈み暗くなるにつれ、ロータリーに流れ込むバイクは増えていき、しばらくすると隙間なく周りを埋め尽くしてしまいます。
走り続けるバイクの流れは、台風が大きく成長していくように巨大なうねりとなっていきます。
バイクの排気音、クラクション、人々の騒ぎ声、それは夜明け前まで止むことなく続きました。
発展途上の街では、その波に乗りながらうまく立ち回る人々がいる一方で、波を感じながらも乗り切ることが出来ない人たちもたくさんいるはずです。
そんな人たちがじっとしていることが出来ずに、目的なく走り回っている姿は、学生時代の歩き回っていた自分とどこか似ています。
目的のない旅もまた、同じ理由でするのかもしれません。
それならば、うねりから飛び出して、より広い場所を回ってみるのも良いかもしれません。

REX HOTEL
141 Nguyen Hue Blvd., Dist. 1, Ho Chi Minh City, Vietnam

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