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手紙ごころ、日々のいろ 第1回「ふだん着の手紙」
みなさんは、どんなときに手紙を書きますか?
周りの人に聞いてみると、たいてい「年賀状だけ」との答え。たしかにそうかもしれません。でも、それじゃ、ちょっとさびしい。手紙がもっと身近なコミュニケーションツールであってほしいから、特別ではないふだんの日にもだれかに手紙を書きたくなるような愉しさを、もう一度見つめてみます。
メールやSNSを使ったコミュニケーションがどんどん活発になって、だれかにメッセージを送る機会はむしろ増えている昨今。
「きょう、こんな可愛いもの見つけた」
「あのお店のランチおいしかったよ」
たわいのない言葉のやりとりや、ちょっとした日常の気づきをだれかと共有できる喜びがありますね。
かつて、メールも電話もなかった時代には、そういった小さなコミュニケーションの主役も手紙でした。襟を正してしたためる手紙ばかりじゃなく、ささいな日々の出来事をつぶやくような手紙もあったわけです。そんなふだん着の手紙なら、長文を書く必要も、形式にこだわる必要もありません。おもしろかったこと、最近見た素敵なもの、近況の知らせなどを思いつくままに書けばいいのですから、そういう意味ではメールと同じ。
では、メールとの違いはというと、とにかく“時間”がかかること。これをただ単に不便ととらえるか、魅力ととらえるかが分かれ道になりそうです。
そこで提案。手紙と気楽に付き合うには、手間暇やタイムラグも含めて楽しんでしまいましょう。
1. 便箋やハガキを選ぶ
相手を思い浮かべてすてきな便箋を選ぶのは、プレゼント選びのように心躍るもの。逆手にとれば、それを買うために手紙を出すとことだってありえます。
2. メッセージをしたためる
ゆったり、リラックスして書くのがおすすめ。たとえばカフェでお茶を飲みながら、家で好きな音楽を聞きながら、手紙に向かうひとときそのものを楽しんでみては。
3. 宛名を書いて切手を貼る
記念切手などいろいろ揃えておけば、どれを使おうか悩むのも一興。切手を貼ると、作品が完成したようなうれしい気持ちになりますね。
4. 郵便ポストへ投函する
外まで出かけていって、赤いポストにコトンと投函。明日届くかな、明後日かな? すぐに届かないもどかしさもまた、いいものです。
一つひとつのプロセスぜんぶが楽しみになるのが、なんといっても手紙のいいところ!離れて暮らす家族や親戚、久しぶりに連絡してみたい友だち、最近顔を合わせたばかりの人にだって、思い立ったら手紙を出してみましょう。
メールにはなくて手紙にあるもの。それは“温度”。達筆な字じゃなくたって、たいした内容じゃなくたってだいじょうぶ。そこには、差出人のあなたが、その人に宛てて書いたというたしかな温もりがあります。もうそれだけで気持ちは十分に伝わっているのです。
文/ 黒澤 彩