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手紙ごころ、日々のいろ 第2回「北欧のクリスマスシール」
街がイルミネーションできらきらと煌めくクリスマス。
1年のなかでもいちばん気分が華やぐ季節です。
日本では、冬の手紙といえばなんといっても年賀状なのですが、最近ではクリスマスの気分と年末年始の挨拶を合わせて、冬のご挨拶として手紙を出すこともあるようです。クリスマスのモチーフはかわいいものばかりなので、年賀状とは別にクリスマスカードを送ってもいいですね。
クリスマスの本場といえば、北欧が思い浮かびます。クリスマスカードや手紙の封筒などに貼る、この「クリスマスシール」も北欧デンマークから始まったもの。切手のように見えますが、郵便切手ではありません。
年代ごとのデザインの変遷を見ているだけでも楽しめます。こちらはコペンハーゲンの古切手専門店で購入した1950〜60年のもの。愛らしいモチーフでも色使いがシックなのが北欧らしさ。
1904年、デンマーク郵便局員のエイナー・ホルブル氏がクリスマスシールを発案しました。クリスマスカードに貼れる素敵な絵柄のシールを郵便局で販売し、その収益を当時ヨーロッパで流行していた結核に苦しむ子どもたちへの寄付に当てようというアイデアです。
このすばらしい提案はデンマークのみならず世界各国から共感を呼びました。今では結核撲滅活動のための「複十字シール」として、日本をはじめ80カ国以上に広まり、各国でオリジナルデザインのシールが作られています。
なかでも、発祥の地であるデンマークのクリスマスシールは、そのデザイン性の高さからたくさんのコレクターもいるほどの人気。
天使や妖精、小鳥や動物たち、少年少女、ツリー、雪の結晶…、温かみのあるクリスマスらしいモチーフで1枚1枚が本当に可愛いのですが、1シート(50枚)でひとつのアートになるというのも大人買い心をくすぐるポイントかもしれません。シートのまま額装して飾ればクリスマスのインテリアにもなりそうです。
デンマークの人々は「今年のクリスマスシールはどんなデザインだろう」と毎年楽しみにしていて、クリスマスシーズンの風物詩になっているのだとか。
だれかへ贈るクリスマスカードに貼る美しいシール。北欧では、街角の郵便局でそれを買うだけで社会貢献にもなるのです。そんなふうに幸せを分け合うことは、クリスマスの精神にぴったりだと思いませんか?
文/ 黒澤 彩