ホーム > 特集 > 手紙ごころ、日々のいろ > 手紙ごころ、日々のいろ 第9回 「はがきの愉しみ」

特集

手紙ごころ、日々のいろ 第9回 「はがきの愉しみ」

img_sp140326_21

誰もが使う、いちばん身近な手紙ツールといえば、「はがき」ではないでしょうか。

語源を引くと、紙片などに記した覚え書きのこと、とあります。
昔は「端書」または「羽書」と書いたそうですが、明治時代に郵便制度が始まってからは
「葉書」という当て字が使われるようになったのだとか。

誰かから届いた「はがき」や「封書」を“一葉の手紙”と言ったりしますが、
手紙や写真、栞などの薄い小さな紙を木の葉に見立てるこの表現は、
とても繊細で素敵だなと思います。

そのルーツからもわかるように、「はがき」はいわば略式の手紙。
ビジネスでの重要な伝達や目上の方へのお礼状は、「はがき」ではなく「封書」で送ります。
でも、略式であることを逆手に取れば、親しい人に宛てて送るにはぴったりだということ。
「暖かくなったね。元気にしてる?」という他愛もない季節の便りを書いてみたり、
特別な用件がないときに、ただ「かわいいはがきを見つけたから」という理由で送っても構わないのです。
そのくらいの気軽さがちょうどいいので、メッセージもできるだけさらりと、軽やかに。
「封書」はどちらかというと秘めておくものだけれど、「はがき」はオープンなもの。
そこを意識して使いわけるといいかもしれません。

まず、選ぶのがとにかく楽しい。
ちょっと変わったおもしろい「絵はがき」を見つけようものなら、
自分と同じようにそれを好きそうな友達に送りたくてたまらなくなります。
送る相手を思い浮かべて、どんな絵柄のものが似合うかな、と選ぶのもいいですね。

もちろん、もらうのも嬉しい。
無造作に押された消印、端のほうが剥がれかかった切手、
ときには角が折れていたり、雨で筆跡が滲んでしまっていることもありますが、
そんな手触りもまた魅力です。
まるで遠くからやってきた証のようで、なんともいい味わい。
届いた「はがき」は壁に貼ったり、ボードにピンで留めたりして、ふとしたときに眺めます。

メッセージや画像だけなら簡単にやりとりできる今だからこそ、
「はがき」はささやかなギフトのような気がします。

文/ 黒澤 彩

ページ先頭

このページは役に立ちましたか? はい いいえ 6人中6人がこのページは役に立ったと言っています。

PAGE TOP