2019年8月19日

自転車旅、青森に到着

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自転車旅の続き。
十和田を出発してから、雨が降ったり、パンク
したりと、ちょっとした困難もあったけれど、
無事青森に到着した。

自転車の旅で辛いのは、雨とパンクだ。
僕の場合は、それに当たる確率がどうも他の人より
高い気がするので、雨具とパンク修理キットは必ず
荷物に入れてある。

さて、十和田市内から、長い山道に入ると
雨脚も強くなってきたので、カバンから取り出して
ポンチョを着た。
そして、雨でタイヤを滑らせないよう注意しながら、
長い坂道を下った。
視界に青森湾が現れると、雨も止んで青空が見えて
きた。ポンチョを脱ぐと、思わず僕は笑顔になって
シーサイドの道を快調に走っていた。
そんな気持ちの良い時間は、突然、前タイヤの空気が
抜けてしぼんでいくのと同時にあっけなく中断した。
とりあえず自転車を止めて、どうしようかと
考えていると、マウンテンバイクに乗った少年が
通りがかった。
「この辺に、自転車屋さんとかあるかな?」
少年に声をかけると「ないよ」とあっさりと告げて
「バイバイ」と元気よく去っていった。

自分で直すしかないなと諦めて、しばらく自転車を
押して歩いた。
10分ほど歩くと、軒先きで作業をしている
おじいさんがいたので声をかけた。
「すみません、自転車の空気入れお借りできますか」
「空気入れかあ、あったかなあ」
そうつぶやくと納屋の奥に入り、しばらくがさごそ
と探し、空気入れを手にして戻ってきた。
農家の納屋には、たいていの道具があるのだ。

早速、この家の軒先きを借りて、パンクの修理を
はじめた。トラベラーズバイクは、旅先でも容赦なく
パンクをするので、パンク修理もだいぶ慣れた。
作業中、おじいさんがずっと横に立って、
見つめていたので、ちょっと緊張したけれど、
なんとか無事修理をすることができた。

「どっから来たの?」
「盛岡から走っていて、今日は十和田から
来ました。これから青森に向かいます」
そう答えると、顔をしかめて「暑いのによくやるね」
と褒めるわけでも、かと言ってけなすわけでもない
微妙な言葉をかけた。
そして、「なんで青森に行くの?
もうねぶたも終わったし、見るものなにもないよ」
と追い打ちをかけるように言った。
僕もまた微妙な笑顔を返しながら、お礼を言って
出発した。

パンク修理で時間をロスしてしまったのとあわせて
浅虫温泉でお湯に浸かったり、海を眺めたりしながら
のんびり走ったので、青森に着くころにはもう夕方に
なっていた。
ホテルにチェックインすると、ここでも銭湯に行き
旅の疲れをいやした。
そして、本屋に入ってみたり、お土産屋さんを
覗いたりして、自転車で街をのんびり走った。
確かに、なんで青森に来たのかと言われると、
返す言葉もないかもしれない。だけど、こんな風に
知らない街をたいした目的もなくぶらぶら巡るのは、
嫌いではない。

すっかり暗くなると、なんとなく目星をつけていた
寿司屋にひとりで入り、レモンサワーを頼んで、
お刺身をつまみに飲んだ。
もともとお酒も強くないし、ましてやひとりで
回らない寿司屋に入るなんてことは普段はしない
のだけど、旅先ではそんなこともしてみたくなる。
最後にお寿司も1人前をオーダーし、お腹いっぱい
でホテルに帰った。

翌日は、朝早くホテルを出て、8時20分発の
新幹線はやぶさで東京へ帰った。
上野まで3時間18分。

2014年の夏休みにスタートし、その年は
東京から福島県白河まで、2015年の夏休みには
白河から仙台まで。2016年は入院したので休み、
2017年も電車で岡山まで行ったので休んで、
2018年は仙台から盛岡。そして今年2019年、
盛岡からやっと青森までたどり着いた。
足掛け6年、実質16日間かけてやってきた道のりも
新幹線では、わずか3時間18分で戻ってきた。
やっぱり新幹線は、すごいなあ。

そんな旅に付き合ってくれたトラベラーズバイクも
今回の旅で、変えたばかりのブレーキシューも
かなり減ってしまったし、重い荷物を長いこと
積んでいたせいかキャリアがすっかりダメになって
しまって、もはや満身創痍。
この旅の続きは、2代目のトラベラーズバイクと
ともになるかもしれないな。


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2019年8月13日

自転車旅の途中で

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昨年の夏に続き、トラベラーズバイクでの自転車旅。
今年は、盛岡を出発し青森を目指している。
昨日は盛岡から八戸までアップダウンの激しい中を
1日中走り続けたので、今日は八戸からわずか
35キロの十和田に宿を決めた。

朝8時に八戸を出ると、昨日と違って平坦な道のり
は走りやすく、途中道の駅で休んだりしながらも、
10時過ぎには十和田に着いた。
ホテルへ行き、自転車のキャリアに積んでいた
重い荷物を降ろし、フロントに預けた。

まずは、ここに立ち寄ることにした理由の一つ
でもあった、十和田市現代美術館へ向かった。
高さ4メートルもあるリアルな女性像からはじまる
展示は楽しく自転車の疲れも忘れて見入った。
個人的に一番気に入ったのは、薄暗い空間に
閉店後のダイナーのような空間が再現され、
窓には夜の高速道路が広がっている
「ロケーション(5)」という作品。
入った瞬間は暗くてなにも見えないけれど、
目が慣れるにつれて、まっ黒に塗られたテーブル
の上のメニューやソルト&ペパーなどの小道具に
も気づく。
窓に広がる、オレンジ色の街灯が続く道路は、
なんとも言えない孤独感や旅情を感じさせ、
さりげない音量で流れるBGMも心地よい。
まるでエドワード・ホッパーの絵の中に
紛れ込んだような気分になって、しばらく
座席に座り続けた。

隣接のカフェでコーヒーを飲んでくつろぎ、
昼食はホテルのチラシで紹介していた十和田名物
バラ焼きを食べてみる。
豚肉と玉ねぎを鉄板で炒めるというシンプルな
料理で、旅先での空きっ腹にはとても合う。
鉄板の熱に汗をかきながら一気に食べてしまった。

昼食後は、オープン直後の銭湯へ行く。
スーパー銭湯とかではなく、地元の人が行くような
古くて小さな銭湯だ。
一番風呂を期待してたら、まだ開店して5分だと
いうのに、おじいさんが2人いた。
男湯と女湯で真ん中を仕切られているかまぼこ型の
建物は、飾り気がいっさいなくペンキ絵もない。
雪国らしい質実剛健な佇まいに、これはこれで
いいなと思った。
まずはサウナに入ると、こちらは誰もいない。
独り占めでゆっくり体を温めると水風呂に入った。
水風呂は、家庭用らしきステンレスの浴槽がぽんと
サウナの横に置かれ、蛇口から繋がったホースが
水を流しっぱなしにしている。
水風呂に入ると、ざーっと風呂桶から水が流れた。
桶に入れて冷やされているスイカになったような
気分で、膝を抱えて小さな浴槽に浸かった。
まだ明るいうちの銭湯は、平和で気持ちいい。
天窓から差し込む光をぼーっと眺めていると、
心配事もお湯のなかにみんな溶けていってしまう
ようだ。お湯にのぼせたら、また水風呂に入って
スイカみたいに体を冷やす。
それを何度か繰り返して、外に出た。

外に出ると、今度はカフェに入ってコーヒーを
飲みながらこのブログを書いている。
朝からこの街にいるから、今日1日がまるで、
普段の休日のような気分になる。
旅先で、こんな時間を持つのもいいなと思った。

さて、時計を見るとまだ4時を15分ほど過ぎた
ところ。旅の1日は長い。
十和田現代美術館は、当日なら再入場可能の
ようなので、もう一度あの暗闇のダイナーに
行ってみようかな。


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2019年8月 5日

台湾ではみんなが温かく迎えてくれた

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香港から台北まではわずか2時間弱。
香港を飛び立つと、映画を一本見る間もなく
あっという間に台北に着いた。
まずは一服するために外に出ると、
南国の太陽の熱気が身体中を包み込んだ。
「また、やってきたんだなあ」
強い日差しを浴びながら、またこの場所に
来れたことを素直に喜んだ。

香港でのLOG-ONのイベントに続き、
台北では、誠品書店のイベントに参加することが
今回の一番の目的。
早速会場を訪れ、サインボードを設置したり、
商品を並べたりしていると、日本中を旅しながら、
テキ屋稼業をしている寅さんのような気分になった。
「男はつらいよ」ファンの僕は、そんな仕事が
嫌いではない。

設営の合間を縫って、トラベラーズノートを販売
してくれている、いくつかのお店を訪ねた。
グラフィックデザイナーでもあるオーナーの
カレンさんによりセンスがあふれた空間が魅力の
TOOL to LIVEBY。
文具好きが高じてお店をはじめたタイガーさんの
セレクトに加え、彼の淹れてくれるコーヒーを
飲めるPlain Statinery Homeware & Cafe。
スタッフによる手書きのトラベラーズノートの
使用例がとても素晴らしい美好文具室。
トラベラーズカンパニーに加え、ミドリの商品も
たくさん並ぶVision Stationery。
古いビルの閉ざされた鉄のドアの脇にある
小さな呼び出しのベルを押して恐る恐る階段を
上がっていくと、小さな空間に紙やペンがたっぷり
詰まった空間が広がる一分之一工作室。
そして、誠品書店信義店や敦南店のスタッフの
愛情がたっぷり感じられる手作りのディプレイで
作られたトラベラーズノートコーナー。

トラベラーズノートユーザーであれば、
これらのお店を巡れば、とても楽しい時間を
過ごせるはずだし、運が良ければオーナーと
話をしたり、地元のトラベラーズノートユーザー
に出会うことだってできる。

他にもトラベラーズノートに関係なく
魅力的な店は他にもいっぱいあるし、
安くて美味しい食べ物だってたくさんあるし、
飛行機で3時間程度で行ける台北は、ほんとうに
おすすめの旅先です。

さて、誠品書店でのイベントは、
はじまると同時にたくさんの方々が来てくれて、
僕らに話しかけてくれたり、トラベラーズノートを
手に一緒に写真を撮ったり、ほんとうに温かく
迎えてくれた。
ぜひ、日本のみなさんもトラベラーズノートを手に
台北を旅してもらって、彼らと出会う機会があると
いいなあと思った。
いつか、台北マップを作りたいな。

香港・台湾を旅して1週間ぶりに東京に帰ると、
長かった梅雨も明けて、8月らしい夏の暑さに
包まれていた。
歳をとるごとに猛暑は体に堪えるけれど、
それでもやっぱり夏は好きな季節だ。


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2019年7月31日

香港で世界記録に挑戦

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「トラベラーズノートのタワーを作って、
その世界記録に挑戦するんだよ」
パトリックがそう言って、イベントのアイデアを
僕らに伝えた。

パトリックは発売当初からトラべラーズノートを
扱うcity'super/LOG-ONで仕事をしながら、
個人的にもトラベラーズノートのユーザーとして
世界中の人たち人たちと繋がり、その楽しさを
伝えてくれている。
LOG-ON20周年を記念した今回のイベントは、
パトリックが中心となり企画が組まれ、
トラベラーズへの参加の依頼があった。

また、トラベラーズノートを積み上げてタワーを
作るということは、僕らが始めた訳ではなく、
ユーザー同士で自然発生的にはじまったことで、
今ではトラベラーズノートユーザーが集まる
ギャザリングイベントfでは恒例行事のように
なっている。

「香港はもちろん、マレーシア、シンガポール、
台湾、インドネシア、タイなど近隣の国の
ユーザーにも声をかけて、アジアのユーザーが
集まって、みんなのトラベラーズノートを積み
上げるんだ。たくさん集まったらギネスブックにも
世界記録として申請しようと思っている」
パトリックは、さらにそう付け加えた。

例えば、トラベラーズファクトリーの2階では
年齢や性別、国籍も違う人たちが、
ただトラベラーズノートを使っているということで
話をはじめて繋がっていくのをよく見る。
例えば、それほど英語が話せなくても、
国が違う人同士がお互いのトラベラーズノートを
見せ合いながらコミュニケーションを取り、
インスタのアカウントを交換して、その後も
連絡を取り合ったりすることもよくある。

さまざまな人たちのトラベラーズノートを
一箇所に集めて積み上げてできあがったタワーは、
まさにそんな人と人の繋がりを象徴するようで
SNSなどでトラベラーズノートタワーの写真を
見つけると嬉しくなる。

そんなわけで、香港のイベントでは
各地から香港まで足を運んでくれるユーザーと
会うことも、集まったトラベラーズノートを
見るのもほんとうに楽しみだった。

そしてイベント当日に朝、会場に着くと、まずは
ブラスクリップのカスタマイズワークショップを
開催。1時間ずつ3回開催し、全部で40名近くの
方にブラスクリップの刻印に色を入れるのを
体験していただいた。みなさんにとても楽しんで
くれていて、今後トラベラーズファクトリーでも
開催したいと思った。

そして午後から、だんだんと会場内に
人が増え、賑わいを見せるなか、世界記録へ
の挑戦がはじまった。
さすがにタワーを作るのは無理があるので、
LOG-ONで専用の棚を作ってくれて、そこに
ひとりずつ持ってきたトラベラーズノートを
並べていった。
最後の人が棚に並べ終わると、数量は206冊になり
みんなで記念撮影をした。
パトリックが会場に集まるみんなに声をかけると、
香港はもちろん、マカオ、マレーシア、タイ、
インドネシア、シンガポール、台湾、中国、韓国、
そして日本からトラベラーズノートユーザーが
集まった。
ニュースでご存知のように、今香港では旅に来ること
を躊躇してしまうようなことが起こっている中で
こんなにもたくさんの人たちがトラベラーズノートを
使うということを理由に集まり、繋がっている。
同じのものが好きだということで、年齢も性別も
国籍も政治的立場も超えて、笑顔で繋がっている。

なんだか面白い。
2006年にトラベラーズノートが生まれた時には
想像もできなかったようなことだけど、
トラベラーズノートは、思いかけないような
人たちとも繋げ、予想もしなかった面白いことに
導いてくれる。
そんなことを思いながら、次の旅先台北に
向かった。


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2019年7月22日

分断より共有

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それまでも海外を旅することはあったし、
仕事で海外に行くこともあったけれど、
トラベラーズノートの仕事をするようになって、
世界をより近くに感じるようになった。

例えばトラベラーズノートのイベントで海外に行き、
そこに足を運んでくれた人たちと話をすると、
トラベラーズノートを通じて、同じ価値観を共有
できる。その時には、まるで知らない土地で
同郷の人に出会った時のような、安心感を感じる。

トラベラーズノートは、日本においても
誰もが知るようなモノではないし、人によっては
どうしてこんなものがいいのだろう、と思われて
しまうようなモノでもあると思っている。
前にも書いたけれど、仮にその割合を考えると
こういったモノに興味を持って使ってくれる人は
100分の1くらいだろうと思っている。

ただ、その100分の1は、日本のみならず、
海外にもいるかもしれないということが分かった
時に、一気に世界が広がり、同時に世界を身近に
感じるようになった。

今まで、ヨーロッパではパリ、ロンドン、ベルリン、
アムステルダム、マドリード、アジアでは、ソウル、
香港、台北、上海、アメリカでは、ロサンゼルス、
ニューヨークでイベントを開催してきたけれど、
どのイベントでも足を運んでくれた人たちは、
みんな目を輝かせて、僕らに自分たちの
トラベラーズノートを見せてくれた。

さらに、このノートを使うことで毎日の暮らしが
変わったとか、この寛大で温かく優しい佇まいが
いいとか、このノートは自分の相棒だとか、
まさに僕らが思うトラベラーズノートの抽象的
だけどこうありたいと思うことを、彼らの言葉で
僕らに伝えてくれた。

それぞれの国の歴史や文化、受けてきた教育、
政治的な背景とは関係なく、トラベラーズノートを
作った僕らに敬意を示してくれて、同じ価値観を
共有できる仲間として僕らに接してくれたし、
僕らもまた異国で仲間と呼べる人たちに出会えた
ことが嬉しかった。

トラベラーズノートという一つの価値観が軸にある
ことで、国籍を超えて理解しあえることがたくさん
あった。

旅の楽しみは、文化の違いを発見することでもある。
だから旅が好きな人は、その違いを発見し、楽しむ
ことが得意な人が多い。
文化の違いを楽しむことができる人は、同時に
自分たちの文化を大切にしている。
世界にはたくさんの文化や考え方があるから
旅をする意義がある。
違いを尊重し、理解しあう。そのために共有できる
何かがあると世界はもっと近くなる。

インターネットやSNSは、心の声を世界にさらし
拡散することで、多くの分断を生んでいるけれど、
同時に好きを拡散することで、多くの価値観の共有
を生み出している。
トラベラーズノートを通じて、世界中の人たちと
好きを共有する楽しさを知ってしまった僕らは
後者を支持したい。

選挙のために、かつて子供たちが通っていた
小学校へ行く道すがら、そんなことを考えていた。


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2019年7月16日

トラベラーズ米 草取り編

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トラベラーズ米の田植えから約2ヶ月。
再び田んぼがある鴨川ヒルズに招集がかかった。
今回はミッションは、草取りだ。
トラベラーズ米は無農薬なので定期的に雑草を
手作業で除去しなければならないようだ。

そんなわけで土曜日、寝ぼけ眼をこすりながら
朝早く家を出て、電車に乗った。
東京を過ぎると少しずつ電車の中の乗客も減り、
千葉駅で内房線に乗り換えると車両はボックス席
に変わった。
向かいの席にハイキング姿のおじさんが座り、
おもむろに駅弁を広げて食べ始めた。
そんな姿にちょっとした旅気分を感じていると、
駅弁の匂いが漂ってきた。
あわてて家を出たので、朝食は小さなパンを
ひとつしか食べてこなかった僕はお腹が鳴った。
弁当を食べ終わって、さらに缶チューハイを飲んで
いたおじさんもやがて電車を降り、車内はさらに
閑散とした。だけど、目的の駅まではまだ先。

ボックス席を独占した僕は足を伸ばした。
電車のボックス席は、僕にとって本を読むのに
最高の場所だ。
前日はあまり寝ていなかったのに、眠くなること
もなく、たまに車窓の風景に目を休めながら、
ずっと本を読んで過ごした。
そして電車に乗ってから2時間半。
やっと目的の駅に着いた。

駅からは、車で迎えに来てもらいさらに20分。
途中スーパーに立ち寄りお昼の食材を買い、
やっと鴨川ヒルズに着いた。

5月に植えた稲は順調に育っていたけど、
その周りにはたくさんの雑草が生えていた。
今日はこれをすべて取り除かなくてはならない。
早速農作業用の長靴を履くと、勢いよく田んぼの
中に足を入れた。
すると足は田んぼの泥の中にズブズブと沈んだ。
泥の中は不安定で、一歩ずつ進むだけでも足が重い。
さらにずっと中腰のまま、泥の中に手を入れて
草を根から引っこ抜いていく。なかなかの重労働だ。
汗を滴らせながら、抜いても抜いてもなくならない
雑草と格闘した。

雑草魂という言葉にあるように、
僕はどちらかと言えば、雑草に対しては
ちょっとしたシンパシーを抱いていたのだけれど、
この日は心を鬼にして雑草を取り除いた。
「ごめんな。ここまでがんばって育ったのに
引っこ抜いてしまうのは不本意ではあるけど、
やっぱりお米が育つためにはしょうがないんだ」

40分ほど続けると、日頃の運動不足と寝不足、
さらに仕事の疲れがたまっていた僕は限界を感じて
休憩を提案。その後作業を再開するみんなを尻目に
しばらく休んでしまった。

お昼は、みんなで鴨川ヒルズにあったパスタを
茹でて、スーパーで買った野菜とベーコンを炒め
ナポリタンを作った。
棚田を見下ろすオープンデッキで、ビールとともに
食べるナポリタンは思いのほか美味しい。
気持ちの良い風にあたりながら、しばらく休んで
いると、雨が降ってきた。
その後、雨足はだんだんと強くなってきたので、
もうこれで草取りは中止かなあ、と勝手に思って
いたら、「さて、やっちゃいましょう」という声
が聴こえた。

「そうか、やるのかあ」
僕は観念して雨具を取り出し、再び草取りへと
向かった。小雨が降るなか、ズブズブと田んぼの
中に足を入れた。
みんな疲れているから言葉も少ない。
僕はもはや雑草の立場などこれっぽっちも考えず、
ただ黙々と雑草をむしり取っていった。

いつかそのことについてここに書くのか、
書かないのか、今は分からないけど、
最近出会ったある人たちの影響で、ここ数日
頭の中でオザケンの「痛快ウキウキ通り」が
リフレインしている。
「プラダの靴がほしいの〜」と頭の中で歌いながら
農作業用の長靴を履いて、田んぼの中で泥まみれに
なって雑草と格闘した。
歌詞の世界と現実とのあまりにも大きいギャップに
気づかないくらいヘトヘトになりながら、ようやく
今日のミッション終了。

たっぷり汗をかいたせいで、ほとんどその意味を
成さなかった雨具を脱ぎ、びっしょりに濡れた
Tシャツを着替えると、苦しみをわかり合ったみんな
でデザートにと買っておいた、スイカを食べた。

いや〜、お米づくりは大変です。
みなさん、ご飯は残さず食べましょう。


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2019年7月 8日

tokyobike × TRAVELER'S COMPANY

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先週の金曜日。
閉店間際にトラベラーズファクトリーに行き、
しばらく待っていると「お待たせしました〜」との
声とともに、楽しみにしていたものがやってきた。
もちろん、お寿司の出前でもないし、
最近流行りのウーバーイーツでもない。
Tokyobike中目黒の店長、深田さんがスタッフと
2人でトラベラーズバイクを持ってきてくれたのだ。
フレームには丁寧にスポンジが巻かれていて、
まさに出来立てほやほやといった感じ。

お店の中にいれると、さっそくそれらを取り外し、
トラベラーズバイクの全貌が目の前に現れた。
マット調の深めのオリーブに塗装されたフレーム
には、tokyobikeのロゴとあわせてトラベラーズ
カンパニーのロゴが記されている。
さらにフレームパッドとしてトラベラーズノート
の革が巻かれている。
自転車と顔となる正面に貼られているヘッドバッジ
は、無垢の真鍮にトラベラーズノートの地球のロゴ
が刻印されたオリジナルバージョン。
思わず「みんなでかっこいい〜」と声をあげた。

それまで2輪といえばオートバイだった僕が、
自転車で遠出をするようになったのは、
2013年に手に入れたtokyobikeがきっかけだった。

この年、会社からある賞をいただき、
金一封としてみんなで10万円ともらった。
その10万円をどうしようかと考えて思いついたのが
トラベラーズファクトリー用にtokyobikeを1台
買おうといことだった。

早速、tokyobikeに連絡してみたところ、
だったらコラボレーションモデルを作りましょう、
と声をかけていただき、最初のトラベラーズバイク
が生まれた。
あわせて、僕らもパスポートサイズのリフィルなど
のコラボレーションアイテムを作り、それらを
双方の店で販売した。
その時、僕も個人的にトラベラーズバイクを購入
した。

あれ以来、トラベラーズファクトリー中目黒の
ロフトには初代トラベラーズバイクが飾られ、
僕自身も、自宅から駅までの道を毎日走ることから
はじまり、東京から盛岡まで3年がかりで走ったり、
湘南、山梨、霞ヶ浦へ行ったり、日常の足として、
旅の道具として、たっぷり楽しませてもらっている。
トラベラーズバイクという新しい道具を手にいれる
ことで、日々の暮らしに変化がうまれ、
たくさんのあたらしい体験を与えてくれた。

あれから6年。
タイヤやブレーキパッドは何回か取り替えながら
毎日活躍している。
だけど何度か転倒したし、乗り方も荒かったせいか、
傷も増え、フレームやペダルにも少し歪みが
でてしまってもいる。

そんなある日、tokyobikeさんよりご連絡があり、
谷中のお店が10周年、中目黒のお店が5周年を
迎えるということで、6年ぶりにコラボレーションを
しませんか、というお誘いをいただいた。
僕らは喜んで「ぜひ!」と答え、早速打ち合わせを
はじめることになった。

トラベラーズノートと同じように、旅の道具で
ありながら、同時に日常にも旅気分をもたらして
くれるような自転車でありたい。
そんな思いでフレームの色を選ぶことからはじまり、
ハンドルにサドル、キャリアなどのパーツも
tokyobikeスタッフのアドバイスを受けながら、
みんなで選んだ。

例えば、スピード重視ではなく、気軽にのんびり
走りやすいように、ハンドルは手前に少し
カーブがはいったゆったりしたタイプを選んだり、
街乗りだけでなくツーリングにも使えるように
キャリアをつけ、そのデザインもシンプルで
質実剛健なものを取り付けてもらったりした。
さらにサドルは英国ブルックスの本革製で、
ベルやクランクボルトキャップは、無垢の真鍮製と、
素材や乗り心地もトラベラーズらしいものなった。

今回、一番嬉しかったのは、フレームとヘッド
バッヂにロゴを入れてもらったこと。
乗り心地には関係ないのかもしれないけど、
僕らにとってはトラベラーズのロゴが入った
tokyobikeなんて、夢のようなことだった。

そうやってできあがった二代目の
トラベラーズバイクを、Tokyobike中目黒店長の
深田さんが、トラベラーズファクトリーの天井から
ワイヤーで吊るして、店内に飾るのを手伝って
くれた。

天井からぶら下がっているトラベラーズバイクは
自転車で夜空に飛び立つ映画「ET」のワンシーン
を連想させ、ジョン・ウィリアムスによる
あの壮大なテーマソングが頭の中に鳴り響いた。
「かっこいいなあ」その姿を眺めながらあらためて
それぞれが呟いた。

トラベラーズバイクは中目黒にしか置いてませんが
tokyobikeとのコラボレーションで作った
パスポートサイズリフィルとtokyobikeが刻印された
ブラスタグは、トラベラーズファクトリー各店で
販売中です。オンラインショップでは7月9日より
発売します。
また、Tokyobike 谷中、中目黒、高円寺、豪徳寺
でも発売しています。

トラベラーズバイクは、Tokyobike 谷中と中目黒で
オーダー受付中です。もちろん私はオーダーします。
楽しみだなあ。


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2019年7月 1日

Global Gathering 2019 at Nagareyama Factory

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トラベラーズノートのリフィルや
スパイラルリングノート、他にもミドリの便箋や
メモなどを作っているデザインフィル流山工場は
1964年に建てられた。
この場所には、55年間紙製品を作り続けてきた
ことで、引き継がれてきたさまざまなノウハウが
あり、熟練の技を持つスタッフがたくさんいる。
場内には、最新の巨大なオフセット印刷機から、
壊れたら修理を繰り返して永く使い続けてきた
機械までさまざまな機械が並んでいる。
それらを職人たちが、操縦桿を握るように操作して
紙に印刷したり、切ったり、折ったりするのは
かっこいいし、眺めていても楽しい。

ましてや、そうやって作られたものが、
自分たちが好きで使っているものであれば、
なおさら楽しいと思うし、実際に作る工程や
作っている人を知ることで、よりモノに対する
理解を深め、愛着を持って使うようになる。
さらに、工場のスタッフにとっても、
実際に愛情を持って使ってくれたり、販売する
人たちと会うことは、嬉しいはず。

そんな思いがあって、海外のトラベラーズノート
の代理店の方に年に一度集まってもらい、
情報交換をしたり、方針を共有するためのイベント、
グローバルギャザリングを今年は流山工場で
開催することにした。

どうせやるなら、みんなに楽しんでもらいたいと、
工場長をはじめ、スタッフも全力で支援してくれて、
普段の仕事を止めて、この日は印刷も製本も
トラベラーズ関連のものを中心に流してくれた。

トラベラーズノートのリフィルを作る製本機は
見学のタイミングにあわせて、このイベントのための
オリジナルリフィルを製作。
できたてほやほやのリフィルに、自分の好きな色の
箔を選んで、その場で箔押しをして参加者の
みんなに配った。

さらに見学が終わると、工場の広い食堂を使い、
トラベラーズカンパニーの定番イベント、
スパイラルリングノートバイキングを開催。
また、ブラスクリップの工場から職人さんに
来てもらいクリップの刻印に好きな色を入れること
ができるカスタマイズイベントも実施した。

ここでも何度か書いているけど、
もともとスパイラルリングノートバイキングは、
流山工場で社内イベントではじめたのが最初だった。
みんなで集まって、取り寄せたアアルトコーヒーを
淹れて、カフェごっこのようなこともした。
その時の経験から刺激を受けて、自分たちの基地
となる場所を作ろうと決心したし、
その名前をトラベラーズファクトリーとしたのは、
流山工場に対する敬意からだった。
トラベラーズファクトリーは、流山工場から
はじまったという思いもある。

だからこそ世界各地でトラベラーズノートを
販売してくれている仲間が、ついに始まりの場である
流山工場に集まり、工場の機械をワクワクしながら
眺めていたり、あの頃と同じようにノートバイキング
を楽しんでいる姿を眺めるのは、僕らにとっても
とても嬉しく、感慨深いものがあった。

最後には、ビールとちょっとした食事も用意して
パーティーを行なった。
今は、YouTubeやSNSでは世界中で起こっている
光景を動画や写真で見ることができるし、
簡単に世界中の人たちと繋がることができる。
それはそれで素晴らしいことだとは思うけど、
こうやって世界中の人たちがひとつの場所に集まり、
ものづくりの現場を見たり、顔を合わせて話すのは
やっぱりネットでは得られない感動や体験を与え、
より深い人と人の繋がりを作ってくれるのだという
ことをあらためて実感できた。
みんな、旅とノートを愛する人たちだしね。

イベントが終わろうする頃、参加者の一人が声を
かけて、みんなのトラベラーズノートを一箇所に
集めた。そして、自然と手慣れた一人が上手に
積み上げて、タワーを作った。
いつ誰がはじめたのか僕らも知らないのだけれど、
こういったギャザリングイベントの最後に、
トラベラーズノートを積み上げた写真を撮ることが
恒例になっている。
食堂の壁に飾られている世界地図をバックに、
みんなのトラベラーズノートを積み上げて
記念撮影した。
それもなんだかトラベラーズノートらしいなあ
と思った。

次はぜひ一般の方に参加してもらえるような
イベントをここで開催したいと思うので、
工場長はじめ工場の皆様、その節はよろしく
お願いしますね。
皆様もぜひ楽しみにしてください。


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2019年6月24日

理想的永久コンビニ袋

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学生時代のこと。
RCサクセションのチャボを崇拝していたTくんは、
たいていよれよれの黒いジャケットか、
ラクダ色のカーディガンにブラックジーンズをはき、
手にはタワーレコードのCDサイズのビニール袋を
持って歩いていた。
服装は季節によって多少の変化があるけれど、
タワーレコードの袋はいつも変わらなかった。
チャボ以上に太宰治も崇拝する彼のその袋には、
ウォークマンと文庫本がいつも入っていた。
CDを買うと入れてくれるタワーレコードの袋は
持ち手もついていたし、確かにそれらを入れて
持ち歩くのにちょうど良いサイズでもあった。

大学を卒業してから5年後、
友人の結婚式で久しぶりに彼に会った時も、
期待通りタワーレコードの袋にウォークマンと
文庫本、さらにこの日は祝儀袋も入れてやってきた。

ちなみにTくんとは同じ学年だったけれど、
彼は2浪で年齢が2つ上だったため、なんとなく
敬意を表し「くん」付けで呼んでいた。
10年以上前に病気で若くしてこの世を去って
しまったのだけど、今でもTくんといえば、
黒っぽい服装に、黄色地に赤字のロゴが印刷された
タワーレコードのビニール袋を持っている姿が
頭に浮かんでくる。

Tくんの影響かどうかは分からないけど、
僕はコンビニの袋がけっこう好きで利用している。
特にあんパンと500mmlのペットボトル飲料を
買った時に入れてくれるような、小ささ目のサイズの
コンビニ袋がお気に入りだ。

例えば、東南アジアなどを旅していて、
ホテルの近くの屋台かローカルの食堂で軽く朝食を
食べようかという時。
トラベラーズノートにスマホとタバコを持って
出かけるのには、コンビニ袋が気軽でいい。
例えば、休日にタオルと髭剃りを持って銭湯に
出かける時もコンビニ袋がちょうどいい。
カバンの中にそのまま入れておけば、バックイン
バックとしても便利。
他の人に共感してもらえるかあまり自信はないけど
実はコンビニ袋は、かさばらなくて軽いし、
濡れないし、機能的の優れもののバッグでもあると
個人的には思っている。

ただコンビニ袋は薄すぎてすぐに破けてしまうし
なにより見栄えがよくない。
だから薄くて軽くて水を通さないという機能と形は
そのままで、もう少し丈夫で見栄えのよくて
長く使えるコンビニ袋があったらいいのになあ
と思っていた。

話は変わって、ちょうど一年前のこと。
毎年トラベラーズファクトリーでポップアップ
イベントを開催してくれているTO&FROの砂山さん
から、コラボレーションのお誘いをいただいた。

TO&FROは、国内外のアウトドアメーカーや
アパレルブランドに、長年生地を卸している石川県
の繊維メーカーが手がけるトラベルギアブランドで、
自社生産ならではの高機能のオリジナル生地を
使用しているのが特徴になっている。
例えば、オーガナイザーなどに使用している
ハミングバードという生地は、風になびくほど
薄くて軽く、シワにもなりにくく、触り心地も
やわらかく、さらに撥水性もあるという、
まさに繊維メーカーの技術の粋を極めた素材。
そのハミングバードをベースに、トラベラーズの
オリジナルカラーの生地を作り、さらにオリジナル
の形でポーチなどを作っていただけることになった。

アイテムとして、トラベラーズノートのレギュラー
サイズに、パスポートサイズがぴったり収納できる
オーガナイザー、そしてTO&FROの人気アイテム
でもあるマルチポーチと、オーガナイザーSサイズ
を作ることが決まった。

その打ち合わせの時に、ふとコンビニ袋のことを
思い出した。
風になびくほど薄くて軽くて、撥水性もあり、
さらに丈夫で触り心地もいい生地、といえば
自分が考える理想的なコンビニ袋にぴったりだった。
さっそく会社のゴミ箱を漁って見つけたコンビニ袋を
砂山さんに渡して、これを作ってくださいと伝えた。

使い古しのシワがついたコンビニ袋を差し出され
若干引き気味の表情を見せながらも砂山さんは
「わかりました」とまじめに応えてくれた。
その後何度か試作を繰り返し、今月トラベラーズ
ファクトリーで発売となったコンパクトバッグが
できあがった。

薄くて軽い生地は、折りたたむとびっくりするほど
コンパクトになって、トラベラーズノートの
ジッパーケースにも入ってしまう。
広げると、まさにコンビニ袋の形で、
トラベラーズノートに文庫本、スマホを入れて
でかけるのにぴったり。
さらに撥水性があるので、銭湯に行った時に
濡れたタオルを入れても大丈夫。
オリーブとブルーグレーのカラーの生地は、
手触りが心地よく、見た目もいい感じ。
あらぬ誤解を避けるため、コンパクトバックと
命名したけれど、個人的には
理想的永久コンビニ袋と呼んでいる。

今回のTO&FROとのコラボレーションアイテムは、
他にも超軽量でコンパクト、撥水性のある生地を
活かした便利な商品がたくさん登場しています。
個人的にはコンパクトバッグの他にトラベラーズ
ノートサイズのオーガナイザーも使っているけど、
生地が多少伸びるのでトラベラーズノートの他に
ぺンケースに水彩セットと老眼鏡を入れて、
お絵かき道具としてひとつにまとめて持ち歩いて
いる。

皆さまもお気に入りを探してみてください。


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2019年6月17日

Decade

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10年前の2009年7月のこと。
かねてよりおつきあいのあったプロダクト
デザイナーの山崎宏さんが主催のイベントが
神楽坂であり、チームみんなでお邪魔した。

山崎さんと親交のある何人かのデザイナーが
栓抜きをテーマにプロダクトを作り、展示する
というイベントだった。
家で飲むビールはほとんど缶という時代に、
あえて時代遅れとも言える栓抜きに焦点を
あてるという山崎さんらしいイベントだった。
イベント会場では、それらの栓抜きを実際に
使えるように、ビールも提供していて、さらに
つまみとなる料理も提供していた。その日は
オカズデザインさんが料理担当だった。

僕らは、そこではじめてオカズデザインさんと
出会った。
その1ヶ月後に彼らのアトリエ、カモシカに
ご招待いただき、お付き合いがはじまった。

そして、先週のこと。
そのイベントからちょうど10年ということで、
山崎さんが再び当時のメンバーに声をかけ、
前回と同じ神楽坂のギャラリーでイベントを
開催すると聞いて、僕らは感慨深い気持ちで
足を運んだ。
久しぶりに、山崎さんやオカズデザインの
吉岡夫妻とお話をし、さらにビールを飲みながら、
オカズデザインの料理を楽しんだ。
僕は何種類かの料理の中からパテをオーダー。
実はパテは、10年前にオカズデザインさんの
のアトリエ・カモシカで、生まれてはじめて
味わい、いたく感動した思い出の食べ物だった。
この日はイノシシの肉で作ったという
美味しいパテをいただきながら、しみじみと
10年前のことに思いを馳せた。

10年前の2009年は、僕らにとってその後も
長くお世話になる方とたくさん出会った年だった。
神楽坂の栓抜きイベントに行く前には、
蔵前のアノニマスタジオで開催していたイベントに
立ち寄り、チャルカの久保さんと初めて出会った。
その年の夏休みに、チームのメンバーと車で徳島へ
行き、アアルトコーヒーの庄野さんに初対面した。
TRUCK FURNITUREの黄瀬さんに、
AIRROOM PRODUCTのかもさんに出会ったのも
2009年だった。

3月に、青山スパイラルで初めてのトラベラーズの
イベントを開催。自分たちで空間を作り、
実際にトラベラーズノートを使ってくれている
方々をお会いすることで、大きな刺激を受けた。
その後、旅祭の出展に、BOOK 246/CAFE 246
でのイベント、さらにオカズデザインさんや
庄野さんたちと出会い話をすることで、何かが
うねりを伴いながら転がっていくような予感がした。

そして、その翌年の3月に再びスパイラルで
イベントを開催した時には、その予感が確信へと
変わった。

トラベラーズノートには、とてつもない不思議な
パワーがあって、それまでの仕事の領域や業界、
国境を超えた広い世界へ僕らを導いた。
僕らが好きなモノを作る憧れの人たちと、
自分たちが作ってきたトラベラーズノートに共感し、
好きだと言ってくれる人たちに、誠実に向かい合う
ことの意味を知った。
トラベラーズノートと自分たちの直感がコンパスと
なることで自分たちの目指すべき方向は明確になり、
世界はいっきに広がった。

僕は少年時代から音楽が好きだった。
リズムとメロディーが溶けていくように
体に染み込んでいき、心が高揚感に満たされる。
すると世界が愛おしくなり、なにかをはじめたくて
たまらなくなる。そして、悲しいわけではないのに
涙が流れてくる。
僕がずっと好きだったのはそんな音楽だ。
トラベラーズノートが、もしかしたら、
そんな音楽みたいな存在になれるかもしれない。
そう思えたのがこの時だった。
そして、その思いは今も変わらず続いている。

あれから10年。
なんだか、先週の土橋さんとのお話もそうだけど
僕らの原点みたいな気持ちを思い出させてくれる
出来事が最近多いのは、また新しい時代が始まろう
としているからなのかな。


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2019年8月

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店長のプロフィール

(株)デザインフィルでトラベラーズノートの企画を担当している飯島です。