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気をつけて町へ出る

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例年だったら秋から冬にかけては、
出張やイベントがあったりして土日も
バタバタ動き回っていることが多いけれど、
今年はゆっくり過ごせる日も多い。

そんな休日に少しでも旅気分を味わいたいと、
最近よく自転車でちょっとした遠出をする。
遠出といっても距離は往復30から40キロ程度。
日帰り温泉や銭湯を目的地にして、
途中に喫茶店などで休みながら、ゆっくり走る。

この日の目的地は、練馬の日帰り温泉施設。
グーグルマップで調べると家からは19キロある。
往復38キロだから、ちょうど良い距離だ。
あえていつもの通勤ルートとは違う道を選んだ。
上野から後楽園、目白を抜けると、だんだんと
下町の風情を感じる街並みが見えてきた。
目的地まではあと少しだけど、通りがかりに
懐かしい佇まいの喫茶店を見つけたので、
ひと休みすることにする。
薄暗い店内に入ると、赤いビニールレザーが
貼られたアールデコ調の味のある椅子に座る。
うん、良い感じの雰囲気だ。
寒くなってきたこの季節には、温かい店内と
一杯のコーヒーがありがたい。
かじかんだ手をカップで温めながら少し苦めの
コーヒーをゆっくり飲んだ。

喫茶店を出て少し進むと、
トキワ荘マンガミュージアムの看板を見つけた。
その存在は知っていたけど、この場所にあるとは
思っていなかった。そんな偶然の出会いに喜び、
立ち寄ってみることにした。
トキワ荘と言えば、かつて手塚治虫が住んでいて、
彼を慕い藤子不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫ら
の著名な漫画家たちが上京とともにそこに住み、
漫画の聖地とも呼ばれるようなった場所だ。
僕も少年時代には漫画家になることに憧れていたし、
そんなこともあって藤子不二雄Aの自伝的漫画
「まんが道」の熱心な愛読者でもあったから、
トキワ荘といえばそれなりに思い入れもある。

感染対策のためか、入り口で名前と連絡先を
書くと、ドキドキしながら階段を上がった。
階段は、当時の木造アパートだった時のものが
ミシミシと鳴る音まで忠実に再現されている。
二階に上がり最初に見えるのは、共同の台所。
テーブルには雑多に並ぶビールや焼酎のビンと
ともに食べかけのラーメンも置かれている。
よく見てみるとそのどんぶりに「まつば」の
文字を見つけた。
松葉と言えば「まんが道」の主人公、満賀道雄が
藤子F不二雄がモデルの才野茂とともに富山から
上京して食べて「東京のラーメンは一味違うな」
と言わしめ、さらにその後も何度も登場する
トキワ荘ご用達のラーメン屋だ。
奥には、風呂屋に行く金がなかった赤塚不二夫が
夜中に裸で体を洗っていた流し台もある。

その隣は、満賀道雄たちから優しい先輩と慕われ
リーダー的存在だった寺田ヒロオ氏の部屋。
4畳半の狭い部屋には、ブラウン管の白黒テレビに
机の上には書きかけの原稿もあったりして、
さらに気分は盛り上がる。

トキワ荘の一階では企画展として寺田ヒロオ展を
開催していたのでこちらも見学する。
寺田ヒロオは、「まんが道」によく登場するので、
名前は知っていたけれど、作品を読んだことは
一度もなかった。
展示を見ると、寺田ヒロオは野球漫画で
人気漫画家として成功するけれど、その後
劇画時代になると時代遅れになってしまい、
一線を退らざるを得なくなる。
それでも時代に迎合することを拒み、
児童漫画にこだわり続けた気骨の漫画家だった
ということがわかった。
滞在したのは30分くらいだったけど、満足感で
満たされながらトキワ荘を出た。
「まんが道」をまた読み返えさないとだな。

その後も、素敵レコードショップを見つけて、
立ち寄ったりしながら、やっと温泉施設に到着。

何度かサウナに入ってから、露天風呂に浸かって
いると、すっかり旅先にいるような気分になった。

感染も心配だけど、気をつけながら、自転車で
町を巡って少しでも旅気分を味わうのも大切。
だって、僕らにとって旅は、生きていく糧みたいな
ものだもんね。

来週は千葉の方にでも足を伸ばしてみようかな。


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コメント (2)

Hide:

いい時間をお過ごしですね!かつて吉行淳之介さんが「街角の煙草屋まで行くのも旅と呼んでいい」と書いていらしたので立派な旅だと思います。それも自転車を使った結構大掛かりな。
昨日の夕方玉ちゃんの「町中華で飲ろうぜ」は東長崎でした。そのいらっしゃったトキワ荘マンガミュージアムと松葉が出てきました。松葉で玉ちゃんは飲んだ締めにラーメンを食べていました。あのラーメンですね。玉ちゃんは町中華をテーマに旅をしているのだなと思いました。・・・で、飯島さん、この週末はどちらへ?(笑)。

iijima:

Hideさん、ありがとうございます。
松葉でラーメンを食べるのもまた旅を感じる体験になりそうですね。とりあえずはまんが道を読み返して思い入れを溜め込んで行くのがいいのかもしれません。

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(株)デザインフィルでトラベラーズノートの企画を担当している飯島です。