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B-Sides & Rarities Vo.1

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まず、いくつかのリフィルの試作サンプルがあった。
トラベラーズノートの発売以来、
ちょっとした思いつきや、面白い紙との出会いが
あった時に作っておいたサンプルだ。
さらに途中で頓挫してしまった企画のために
温めていたリフィルのアイデアもあった。
同時にそれらは、定番リフィルのライアップを
追加検討する際に、いつも候補に上がるのに
落選し続けてきたサンプルやアイデアでもあった。

用途がニッチすぎたり、わかりにくかったり、
他のリフィルとのバランスだったり、
コストや生産上ちょっとした問題を抱えていたり、
そもそもそれってノートとは言えないんじゃないの? 
というようなことまで、定番になれなかった理由は、
さまざまだったけど、なぜか諦めきれず、
追加検討の時にはいつもドラフト対象選手のように
候補に上がりながら、結局指名を受けることは
なかった。

だけど、そんなドラフト外のようなリフィルを
まとめて並べてみると、今まで思いもよらなかった
トラベラーズノートの使い方を教えてくれそうだし、
映画『がんばれ!ベアーズ』のような個性派の
落ちこぼれ集団が放つオーラみたいなものを感じた。

野球だったらドカベンに例えてもいいかもしれない。
悪球はホームランにするけどストライクゾーンは
空振りする岩鬼に、最高のバッティングセンスを
持ちながら鈍足の山田、エースなのに肩が弱い里中、
ピアノと野球を掛け持ちしてどっちつかずの殿馬、
主要キャラクターなのにほとんど活躍しない微笑。
そんなわかりやすい欠点と長所があるがゆえに
魅力的な明訓高校野球部のメンバーのような輝きを、
並んだリフィルのサンプルから感じたのだ。
(ドカベン プロ野球編では、みんなちゃんと
ドラフト指名されているけれど)

さらに「だったらこんなリフィルもいいかも」と、
新しいリフィルのアイデアもでてきた。
「よし、次はこれでいこう」
先週公式サイトにアップしたトラベラーズノートの
新しいラインアップはこんな風にして決まった。

タイトルの「B-Sides & Rarities」は、
完全に後付けで考えたものだった。
だけど今回のラインアップが生まれる成り立ちを
端的に表していると思うし、
このタイトルであれば、今回のリフィルの中に
ノートとしての本筋を外しているものや、
実験的なものがあることもちゃんと筋が通るし、
ポジティブに捉えられるようになった。

なにより、トラベラーズノート自体が、
シングルのB面のように余計なことを気にせず
個人的な表現を実験できる場であるし、
B面によくある憧れの曲をカバーするように、
自分の好きなものを描いたりする場でもある。
表通りよりも路地裏にシンパシーを抱き、
メジャーよりもインディーズでありたいと願う
トラベラーズノートにぴったりだと思った。
それになんといっても、このタイトルだったら
大好きなロックやレコードの要素をプロダクトに
盛り込むことができる。
旅とロックなんて最高じゃないか。
(さんざん野球に例えていたけれど、野球より
ロックの方が好きなのです)

タイトルが決まると、早速橋本がレコード盤を
模したかっこいいロゴをデザインした。
さらに「パッケージにはレコードの国内盤みたい
な帯をつけようと思う」とか、
「表紙はアルバムのジャケットみたいにしたいね」
と言いながらデザインのイメージが広がっていった。

表紙のイラストには、さりげなく僕の個人的な
ロック愛を盛り込んだ。
こんなことを説明するのは野暮かもしれないけど、
リフィル耐洗紙はソニック・ユースの
『ウォッシング・マシーン』、シール台紙は
『ベルベット・アンダーグラウンド&ニコ』、
ジャバラはピストルズの『勝手にしやがれ』、
メッセージカードはピンクフロイド『原子心母』へ
のオマージュとして描いた。
どれも音楽はもちろんジャケットのアートワークも
素晴らしい昔から大好きなアルバムだ。

例えば『ベルベットアンダーグラウンド&ニコ』は、
手に入れた時、シンプルでインパクトがあって、
前衛的で実験的で妖しくエッチでありながら、
ポップで知性と品があり、バンドが持つイメージを
端的に表す最高のジャケットだと思った。
このアルバムから、彼らの音楽はもちろん、
ジャケットをデザインしたアンディウォーホール
にも興味を持ち、モダンアートの世界への扉を
開けるきっかけにもなった。
手元のCDのジャケットは、35年経ってすっかり
色あせてバナナの色は黄色からほとんど白に変わって
しまったけれど、その月日の分だけ影響も受けたし、
思い出もたくさん詰まっている。

『勝手にしやがれ』は、高校生だった僕に
パンクロックを衝撃とともに教えてくれたアルバム。
いまだに「ノーフューチャー」と口ずさみながら
このアルバムを聴いて、心を奮い立たせる時もある。
『ウォッシング・マシーン』も『原子心母』も
個人的な影響も思い入れがたっぷりある大切な
アルバムだ。
僕の価値観を作り、辛い時を救ってくれたこれら
のアルバムへのオマージュをトラベラーズノートの
ラインアップに盛り込めただけでも大満足だった。

サンプルができあがり、レギュラーサイズと
パスポートサイズが並んだ姿を見た時は、
レコードとCDが並んでいるみたいだと思った。
これらのリフィルに、みなさんの記憶が刻まれ、
それぞれの生活に中で生まれる新たな実験や、
好きなことが記されていったら嬉しいです。

そんなわけで、B-Sides & Rarites コレクションは、
現在、流山工場を中心に鋭意生産中です。
このリフィルたちは、工場にとってもなかなか
くせもの揃いが多く、みんな苦労をしています。
その話はまた後日。


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コメント (4)

Sally:

ここ一週間、用途を色々考えていたのですが、これはユーザー側もなかなか苦労しそうなリフィルです。
でも、何を描こうか、どんな使い方をしたらカッコ良くなるかと、頭を捻ってる時間もまた、トラベラーズノート狂いの自分にとっては幸せでした。発売日が楽しみです♪

iijima:

Sallyさん、ありがとうございます。
使う方が苦労しながら用途を考える…なんていう商品も、正直言えばどうかと思いますが、それもまたトラベラーズっぽいかなと思ったりもします(笑)。
素敵な使い方、楽しみにしています!

Rie:

発売が楽しみです。使う道は決まりました。早く手にしたいです。

iijima :

Rieさん、ありがとうございます。どんな使い道なのか気になりますが、あと少しで発売です。よろしくお願いします!

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(株)デザインフィルでトラベラーズノートの企画を担当している飯島です。