村上春樹氏の小説を初めて読んだのは大学生の頃。
当時、ノルウェイの森が大ベストセラーで、
正直言うと、そのあまりの人気と、おしゃれな
イメージに食わず嫌いをしていました。
しかし、大学のゼミでその小説をテーマに
ディベートをすることになって、読み始めると
とても面白く、それまで書かれた小説をすべて
読み終わるまでそれほど時間がかかりませんでした。
初期の作品に漂う空虚で乾いたライフスタイル、
クールに悲劇や不条理に立ち向かい、それを
受け入れていく姿は、そこに暗示された意味を
理解していなくても、ただ単純に物語として
面白く読むことができました。
しかし、彼が僕たちの世代に教えてくれたのは、
アルデンテに茹でたスパゲティの美味しさや、
ビル・エヴァンスのワルツ・フォー・デビイが
月夜に似合うことだけでなく、
物事の表面的な見え方を疑い、自らの価値観を
形成していくことの大切さでした。
(もちろんアルデンテもビル・エヴァンスも
大切なことですが... )
ちなみに、ビートルズのノルウェーの森ですが、
中学時代、Nowhere Man(ひとりぼっちのあいつ)
の方をノルウェーの森だと思っていました。
どちらの曲も、ラバーソウルに入っているのですが、
Nowhere Man, don't worryというフレーズが
ノルウェーのも~り~って聴こえるんですよね。
今更ですが、1Q84です。
なんとなく発売してすぐに手に取る気にはならず、
手元にある未読の本を片付けてから読もうと
思っていたのですが、未読の本は増えるばかりで
いっこうに片付きません。
ブックオフでBOOK1を見付けたのを機に、
いっきに読んでしまいました。
もちろん、とても面白く読むことができました。
権力、宗教や世の中の風評、さらに自らの弱さなど
知らず知らずに僕達を束縛しようとしている
様々な事に立ち向かっていく宣言のような小説です。
私達は自由を求めていくと、それを妨げるものと
対峙したとき、新たな不自由に縛られてしまう。
その時に、不自由を受け入れてでも、自ら求める
自由を選んでいく強い意志を持つこと。
きっと読む人によってこの小説から感じ取れる
メッセージは違うのだと思いますが、私は
そんなメッセージを感じました。