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William Eggleston's Guide

 
 
 
ある古本屋さんで、ショーケースのなかに
飾られた1冊の写真集をしばらく眺めていたら、
店員さんが中から取り出して見せてくれました。
価格を見るとびっくり。
トラベラーズノートが15冊ほど買える値段です。
聞くと、サイン入りの貴重本とのことで、
少し緊張しながらゆっくりとページをめくり
拝見させていただきました。

その写真集「William Eggleston's Guide」は、
1976年に作者がニューヨーク近代美術館で史上初
のカラー写真の個展を行った際の作品集。
当時のアメリカの日常風景がリアルに映し出された
淡い色合いの写真は、その時代を知らない私にも
郷愁と憧れを感じさせてくれました。

1969年生まれの私にとって、少し上の世代とは
違って、アメリカは単純に憧れの存在ではあり
ませんでした。
自我が目覚めた10代初めのころは、アメリカと
日本の貿易不均衡が取り沙汰された時代。
アメリカ製品をもっと買いましょうという
キャンペーンが繰り広げられるなかで、
買うものなんてないよな〜と言っていた大人たち
の言葉が印象的でした。

音楽では、ブルース・スプリングスティーンの
ボーン・イン・ザ・U.S.Aやビリー・ジョエルの
ナイロン・カーテンがヒットしていて、工業都市
の衰退やベトナム戦争の傷が歌われていました。
(ボーン・イン・ザ・U.S.A.はアメリカ賛美の
曲ではなく、ベトナム帰還兵の帰国後の困難と
彼らのアメリカに対する複雑なやるせない気持
をうたった歌です。)

日本は平和で豊か、技術も世界で最も優れていて、
アメリカのシェアを奪いながらまだまだ経済発展
が進んでいく。そんなトーンに包まれながらバブル
へ向かっていった時代です。

もちろんアメリカの映画や音楽で好きなモノは
たくさんあったし、いつか行きたい憧れの国では
あったけど、ヨーロッパやアジアの他の国と比べて
特別強い憧れがあったわけではありません。

あれから世界はさらに変わりました。
日本の技術力は、アジア各国によって脅かされ、
私たちの身の回りには、当時よりもずっと多くの
アメリカブランドのモノが溢れています。

そんな時代に、1970年代のアメリカの日常風景の
写真を眺め、その世界に憧れている自分がいます。
きっと、そこにフロンティアスピリットと自由を
感じるからなのかもしれません。
そしてそれこそ、いつの時代も変わらないアメリカ
の最大の魅力であり、今の私たちに必要なことなの
だと気付きました。
 
 

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2011年08月

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店長のプロフィール

(株)デザインフィルでトラベラーズノートの企画を担当している飯島です。