ストーリー
トラベラーズ ストーリー
トラベラーズノートが伝えたいのは、旅するように毎日を過ごして欲しいということ。
旅人の視点で見つめることで、なにげない日々の出会いや風景の中に新しい発見や感動を見つけることが出来ます。
ここでは、トラベラーズノートを携えて旅をする中で出会ったモノ、コト、ヒトについてのストーリーを綴っています。
014 台北 士林夜市

台湾には、日本のファッションや音楽、アニメなどが好きな若者たちのことを称する「哈日族(ハーリィズー)」という言葉があります。
Nさんは、まさしく哈日族と呼ぶにふさわしい日本好きの台湾人女性です。
高校を卒業し、働いてお金を貯めると、かねてからの目標であった日本への留学を実行しました。
2年間アルバイトをしながら勉強し、日本語の読み書きが出来るようになると、台湾に戻り、日本と取引のある会社で働くようになりました。
そんな彼女とは、仕事上の担当者で知り合ったのですが、明るくオープンな人柄で、仕事以外の話も気軽にするようになりました。
流行りの音楽やドラマなど、日本の好きなことを率直に語る彼女の話は、私を日本人として素直に嬉しい気持ちにさせてくれます。
好奇心旺盛で行動的な性格は、恋愛にも反映されていて、当時は日本人と遠距離恋愛をしていました。
出会ったきっかけを聞くと、インターネット上で知り合い、メールやチャットをするうちに好きになったとのこと。しかし、何度か日本で会ううちに、その男性に奥さんがいることが分かり、大喧嘩の末に別れたそうです。その話を聞き、「ネット上で知り合う男なんてそんなもんだよ。」と軽くいさめると、逆に「日本は遅れてるんだよ。台湾ではそんなの普通のことだよ。」と言い返されてしまいました。
ある日、彼女から会社を辞めるという連絡がありました。
仕事で知り合った香港の男性と結婚し、彼の仕事を手伝うために中国のシンセン(香港に隣接する中国の都市)へ行くという話でした。
台湾では29歳に結婚するのは縁起が悪いそうで、その前に結婚をしたかったというのも決断をした理由のひとつだったようです。
仕事での関わりがなくなってしまうことに、寂しさを感じながらも、彼女らしい大胆な決断にエールを送りたい気持ちになりました。
写真は、Nさんに紹介してもらった台湾最大の夜市、士林夜市で撮影しました。
安くて美味しいものから、食べるのに勇気がいるちょっと怪しいものまで、様々な種類の食べ物が売られているたくさんの屋台。
アクセサリーや服、おもちゃなど雑多ものが売られている店々。
これらが密集し、狭い道を埋め尽くすようにたくさんの人々が歩いています。
台湾らしいパワーを感じる場所でもあり、同時に日本の夏祭りの夜店のような懐かしさを感じさせてくれる場所でもあります。
台湾のお好み焼きのようなものを食べながら夜市を歩いていると、子供の頃の夏休みの気分を思い出しました。
その後、久しぶりにNさんに会う機会がありました。
仕事で日本へ出張に来たとのことだったので、ご主人との仕事も順調にいっているのだろうな、と思い話を始めると、その人とは別れてしまったということから始まる、シンセンに行ってからの波乱万丈の生活を語ってきました。
付き合ってたときは優しかったその男性は、結婚すると急に冷たくなって話もほとんどしなくなってしまったそうです。
決断が早い彼女はわずか半年ほとで、彼と別れることにしました。
しかし、そのまま台湾には帰らずに、いままでの貯金をすべて使って、中国で会社を興しました。
彼との仕事や、前に働いていた会社でのノウハウや人脈を活かし、自ら社長として日本向けの貿易商社の経営を始めているのです。
「日本が好きだから、日本と関係のある会社にしたかったんだ。」とさらりと言ってしまう彼女の行動力と決断力に感服せざるを得ませんでした。
あらためて、もう一度彼女にエールを送りたいと思います。
士林夜市
台湾 台北市士林区文林路
