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本と映画の夏

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オリンピックもほとんど見なかったし、
2014年から続けているトラベラーズバイクでの
日本一周の旅もコロナのせいで2年連続で休みと
なってしまい、今年の夏は本を読んだり、
映画を観たりする時間がいつも以上に多い。

本を好きになったのはいつからだろうか。
小学生の頃、『ロビンソン漂流記』と
『十五少年漂流記』を学校の図書館から借りて
読んで面白くて興奮したのをうっすらと覚えている。
だけど、「こんな冒険をしてみたいです」と
読書感想文に書いて提出したら、二重丸の横に
「冒険は本の中だけにしましょうね」と夢のない
コメントが先生によって書かれて戻ってきたのは、
けっこうはっきり覚えている。

その頃は、隣町にあった勝山書店が行きつけの
本屋だった。2階建の小さな街の本屋さんで、
1階には雑誌と新刊本、2階は文庫本と漫画本が
置かれていた。
小学○年生とか少年ジャンプを買うついでに、
なんとなく背伸びした気分で文庫本コーナーを
覗いて手に取った星新一の『ボッコちゃん』が、
はじめて自分で買った大人向けの文庫本だった。
ひとつひとつの話が短くてこれなら読めそうだと
思ったのと、真鍋博による未来を感じさせるのに
どこか懐かしい不思議な挿絵に魅かれて、
思わずレジまで持って行った。
それからすっかり星新一のショートショートに
ハマり、既出の文庫本はほとんど読んでしまった。

その次にハマっていったのは、
星新一のエッセイによく登場していた
筒井康隆と小松左京の小説だった。
そのうち勝山書店では物足りなくなって、
自転車に乗って神保町の三省堂に通うようになった。
はじめて訪れたときは、まるで本のデパートみたいで
いたく感動した。

映画との出会いは、まずはテレビだった。
まだビデオも一般的ではなかった当時は、
月曜ロードショー、木曜ゴールデン洋画劇場、
日曜洋画劇場などテレビでよく映画を放映していた。
だから、チャップリンにヒッチコックから、
「ローマの休日」「猿の惑星」「ロッキー」など、
名作映画の多くは家族でテレビの画面で観たのが
最初の出会いだった。
ゴールデン洋画劇場のオープニングは、
ファンタジー、西部劇、アクション、サスペンス、
SF、恋愛ものなどの映画を連想させる場面が、
それっぽい音楽とともにテンポよく切り替わっていく
和田誠による映画賛歌のようなアニメーションで、
見ていると、いよいよ映画がはじまるんだなと
わくわくして好きだった。
和田誠も、星新一の本の挿絵をよく描いていたので、
知っているものが繋がるのも嬉しかった。

初めて子供だけで映画館まで観に行ったのは、
アニメ映画の『銀河鉄道999』で、場所は錦糸町の
楽天地だった。
映画の内容以上によく覚えているのは、
銀河鉄道999の定期券、パスのことだ。
先に映画を観た友人が、映画館で買ったという
パスを見せてくれた。
主人公の星野鉄郎が持っているパスと同じように
「地球ーアンドロメダ 無期限」と印刷されている
だけの紙のカードみたいなものなんだけど、
これがあれば自分も999で旅に出るような気がして、
映画館に行ったら絶対に買おうと思った。
だけど、僕が映画を観に行ったときには、すでに
完売になっていて手に入れることができなかった。
落胆した僕はどうしても諦めきれず、家に帰ると、
厚紙を使って手書きでこのパスを作った。
そして想像の中で銀河鉄道の旅を楽しんだ。

家から三省堂までは、自転車で30分くらい。
当時、新大橋を渡って隅田川を越えると、
川沿いに両端を柵で囲まれた細い道があった。
これがまるで『スターウォーズ』のクライマックス、
デススターの唯一の弱点を攻撃するために、
追撃をかわしながらルーク・スカイウォーカーの
操縦するXウィングがデススター表面の溝を飛行
するシーンみたいで、映画を見たばかりだった僕は、
この道をスターウォーズ気分で自転車で滑走した。
その頃、僕にとって隅田川は、東京の下町エリアと
中心部を隔てる壁のような気分で、橋を渡ることで
大人になったような気になった。

本が好きだから、本屋さんが書いた本が好きだ。
最近読んだのは、先週のブログの引用元、
『ヴィレッジ・ヴァンガードで休日を』に、
『小さな声、光る棚 新刊書店Titleの日常』と
『ガケ書房の頃 完全版 ――そしてホホホ座へ』。
本屋を続けていくのは、この時代なかなか大変
そうだけど、僕にとって憧れの仕事でもある。

ただいま、トラベラーズファクトリーでは、
「フィルムカメラを楽しもう」という企画を
開催中です。
京都の写真屋さん、Photolabo hibiとの
コラボレーション企画や、オリジナルリフィル、
Benlly's&Jobのカメラストラップなどを展開中です。
またRyuさんがレストアしてくれているハーフカメラ
もいつもよりラインナップを広げて展開中です。
ハーフカメラは、フィルムカメラながらコンパクト
で持ち歩きやすいし、フィルムの倍の枚数を撮影
できてお得だし、初心者にもおすすめのフィルム
カメラです。
なによりこの時代のカメラは、眺めているだけでも
うっとりするような美しさがあります。
僕も久しぶりにフィルムカメラで写真を撮って
みようかな。

各地で観測史上最大の大雨が降り、
コロナの感染者や重症者数は過去最多を更新。
まるで世界は昔読んだSF小説のようです。
とにかく安心して旅ができるような日が
早くやってくるのを願うのみです。


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コメント (2)

Hide:

僕も初めて買った文庫本は星新一だったと思います。「ボッコちゃん」といえば、石原裕次郎さんと百瀬博教さんの大阪へ行く機内での「ボッコちゃん」を巡る面白いやり取りが「不良ノート」にあったのを思い出しました。

iijima:

Hideさん、ありがとうございます。石原裕次郎さんと百瀬博教さんが「ボッコちゃん」についてやり取りをするというのもそれぞれのイメージとかけ離れていて不思議な感じがしますね。

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(株)デザインフィルでトラベラーズノートの企画を担当している飯島です。